魂ちゃん
ぬいぐるみを、作った。
うさぎさん。
水色と白の、あたしの可愛い可愛いうさぎさん。
おめめは黒いボタンで。
綿をたっぷり詰めて。
ひとはりひとはり。
ちくちくと。
お口は作らなかった。
いや、作りたくもなかった。
だって──────
左の耳に、お星様ふたつ。
首にはチェーンにかけた赤ボタン。
ボタン屋さんで買ったのよ。綺麗でしょ。
濃いめのいちごみるくみたいで、お気に入りなの。
左右非対称のうさぎさん。
完璧じゃないからこそ、人間なの。
右手を上げたうさぎさん。
今度はどこが変わるのかな?
光のない真っ黒な瞳は、どこを見ているのかな。
辛かった時、あたしが心の支えとしてつくったうさぎさん。
中にひとつ、紙を入れた。
『──────────』
中身なんて教えないよ。
みんなそれを知ったら、絶対絶対あたしを軽蔑するから。
あたしの魂半分こ。
感情半分こ。
お口の分だけあたしだけのもの。
見ざる、聞かざる、言わざる。