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 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして 著:島本理生

 大人の男性、椎名さんに恋をする知世の事を描いている。知世の友人は飯田ちゃんと茉奈だ。副題がそれぞれ付いていて、短編集と思いきや思いっきり恋愛小説だった。飯田ちゃんが語りを担当する章も出てくるし、茉奈が担当する章も出てくる。妹の知夏もだ。

 椎名さんは若い頃石垣島に一人旅して出会った女性との逢瀬でHIVが陽性になった。薬でそれを抑えている毎日だ。だからこそ、女性に紳士で大人な男性に知世は恋をする。旅行して、美味しい物たくさん食べて、避妊をちゃんとしながらセックスもする普通の恋人になるまでを丁寧に描いている。

 母親には結婚を反対されながらも二人は結び付く、夢のようなエンディングはロマンチックだ。

 今回は家庭の問題やトラウマを抱える主人公は登場しなかった。椎名さんがHIV陽性と言うことだけだ。今まで読んだ中で一番読み応えがあって好きな作品かもしれない。読むのに三日かかってしまったけど、章立てしてある分、休憩を挟み過ぎたのだ。

 この作品は雑誌に寄稿した第一章がそのままになるのが勿体無くて、その後のストーリーを書き加えて完成したと言う。島本理生さんには珍しい作品じゃないかと思った。

 『夜はおしまい』と『Red』が残ってる。急いで読まなきゃ。

 以上

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