見出し画像

真摯に向き合って共創する。スマートライフデザイナー開発を通じて築いたパートナーシップ

2022年に三井住友信託銀行からリリースされた、『スマートライフデザイナー』。三井住友信託銀行に口座をお持ちでない方も利用でき、家計簿やライフプランシミュレーションの機能を利用できるアプリです。

マネーフォワードエックスは、2020年のプロジェクト企画段階から参画。三井住友信託銀行様(以下、SMTB様)、金融領域における開発に強みを持つ日本IBM様と共同でアプリの開発を行いました。

今回は共創サービス本部・共創イノベーション部の副部長を務める紺野さんに、『スマートライフデザイナー』の開発プロジェクトについてお話を伺いました。

紺野 惇(こんの あつし)
2011年に新卒で大手Sierに入社し、大手金融機関向けのソリューション営業に従事。
2018年にマネーフォワードに入社し、金融機関向けのFintechサービスの営業職を経験した後、2023年12月より共創イノベーション部副部長として、金融機関とその先のエンドユーザー様向けの新規サービスの創出業務に従事。

人生100年時代に向けて必要なお金をデザインするアプリ

——『スマートライフデザイナー』はどんなアプリなのでしょうか?

『スマートライフデザイナー』は、理想のライフプランを実現するために必要なお金シミュレーションや、自動で家計や資産を見える化できる家計簿機能などユーザーの資産形成をサポートするスマートフォンアプリです。

SMTB口座の保有の有無を問わず、誰でも無料で利用できます。主にSMTB様の企業型確定拠出年金を利用している企業の職員の方や、住宅ローンをはじめとした同行金融サービスの利用者様を中心に、2024年8月時点で約43万人以上の方にご利用いただいています。

シンプルで分かりやすいUI/UXが評価され、2022年にはグッドデザイン賞も受賞しております。

三井住友信託銀行|スマートライフデザイナー

顧客目線を取り入れたサービス開発プロセス

——開発プロジェクトは、当初どのようにスタートしたのでしょうか?

当社は2020年頃から『スマートライフデザイナー』プロジェクトに参加しました。
同行のご担当者様と定期的にディスカッションを重ねる中で、SMTBとしてのより良いサービス、機能や最適なユーザー体験を模索しているようでしたので、マネーフォワードが得意とするデザインを活用したUXデザインワークショップ(ユーザー体験起点でサービスを考えるワークショップ)や機能要件の整理を半年〜1年程度かけて実施しました。提案だけではなく、時には壁打ち相手として伴走していきながら案件化を進めていきました。

▼UXデザインワークショップについては、以下の記事で詳しく解説しています。

その後、IBM様とともにマネーフォワードエックスがプロジェクトの上流フェーズに参画することとなりました。

——SMTB様は当初、どのような課題感をお持ちだったのでしょうか?

SMTB様は当初、2つの課題を持っていました。

1つ目は、オンラインチャネル(アプリ)を持っていなかったため、オンラインでの顧客接点を作れていなかった点。

2つ目は、顧客との継続的なタッチポイントの構築が難しいという点です。
SMTB様は信託銀行の特性上、給与振込口座として日常的に利用されるというより、ライフイベント(企業型確定拠出年金加入時・見直し時や、住宅ローン購入・借り換え時や退職金受け取り時など)のタイミングが顧客との主なタッチポイントとなっていました。
そのため、日常的なタッチポイントをどのサービスで、どんな機能で届けるかについて答えがない状態で、それ自体が課題感でした。

——その2つの課題を、どのように解決へと導いたのでしょう?

まずは顧客とのタッチポイントをどのように持つと良いのか、ユーザー目線で考えるUXデザインワークショップを開催しました。
マネーフォワードエックスでは『Money Forward Service Design(MFSD)』というUXの方法論が確立されており、主にサービスデザイナーが中心となり企画、実践しています。
このプロセスを挟むことで顧客目線のサービスアイデアを作り、プロジェクトメンバーが目的やゴールを共有することも合わせて可能となりました。

——UXデザインワークショップは、どういったプロセスで行われたのでしょうか?

オンラインチャネルを作った際に、例えば既存のSMTBユーザーにどんな機能であれば日常的に利用いただけるか、実際に利用するペルソナを想定してアイディエーション(アイデアの発散・具体化)を行いました。また、そのアイデアは実際に価値があるのかワークショップの中で評価をして、SMTB独自のアプリを作っていこうという形にまとまりました。

UXデザインワークショップの様子

——なるほど、その後どのようなプロセスを経て、アプリのコンセプトを決定されましたか?

コンセプト設計は、上記のワークショップや機能要件の整理(各機能に対する優先度の整理など)を通じて、当社が中心となって行いました。
そのプロセスを経て、最終的には家計簿や資産管理、ライフプランシミュレーション機能を持った将来のお金の課題を解決できるサービスを作りたいという方向性に定まりました。


日常的な顧客接点を増やすには、SMTBユーザーが普段使いできるようなサービスを提供することが有効な手段だと考えたためです。

率直に意見を述べて議論できるパートナーとしての姿勢

——SMTB様には、マネーフォワードエックスのどのような点を評価していただいていたのでしょうか?

少し異なる角度での回答かもしれませんが、私たちマネーフォワードエックスの強みの一つは、ポリシーに置いている「User Focus」「Flexibility」だと思います。

本プロジェクトを振り返ると、前述の通りUXデザイナーが中心となって、実際にサービスを利用するユーザー目線からアプリの機能を考えるワークショップの実施や、機能要件整理のご支援をしたりと、要件定義に近い内容を行いました。こうした柔軟性のある踏み込んだ提案活動を評価いただいたと思っています。

SMTB様としては今回が初めてスマートフォンアプリを構築するプロジェクトでした。そのため、信託銀行としてどのようなアプリを作っていくか率直に意見を述べて議論できるパートナーが当社だと認知いただけたのだと思っております。
また、ビジネスメンバーやデザイナー、エンジニアなど各領域の担当が当事者意識を持って各タスクに取り組んでいたことも評価いただいたポイントだと思います。

ビジネスにおいて何よりも大切なことは、信頼の積み重ねではないでしょうか。
約束を確実に守ること、相手の期待値を少しでも上回るアウトプットを出す、といった真摯な行動を積み重ねていく。そういったひたむきな姿勢が信頼に繋がり、結果として評価をいただいているのだと思います。
その意味では、マネーフォワードのカルチャーやプロジェクトメンバーの姿勢が評価に繋がっていると考えています。

——確かに、信頼いただける関係性づくりは大切ですね。具体的に三井住友銀行様に信頼いただけたと感じたエピソードがありましたら教えてください。

次の新規大型開発案件の開発ベンダーにご指名をいただけたのが、一番大きな信頼を得たと感じた瞬間でした。

我々は祖業が家計簿アプリということもあり、どうしてもアカウントアグリゲーションをコアテクノロジーとする家計簿アプリや、アカウントアグリゲーションを利用するサービスでの引き合いが多くなっています。

その中で、現在開発中の案件はアカウントアグリゲーションをコアに据えていないサービスです。そういった新しいお話をいただけるような関係性を構築できていることが素晴らしいことだと考えています。

両社の収益に貢献できるパートナーシップ関係を目指して

——プロジェクトのプロセスやマネーフォワードの提供価値について詳しくお話しいただき、ありがとうございました。最後に、SMTB様との共創について今後の展望を教えてください。

今後SMTB様とは、『スマートライフデザイナー』のデータ利活用含めた機能強化を引き続きご支援出来ればと考えています。

加えて、私個人的な想いとしてですが、SMTB様のサービスを構築するサービス開発ベンダーという立場を超えて、ビジネスパートナーとして一緒にビジネスを創出し、両社の収益に貢献できるパートナーシップを築きたいと思っています。



私たち「共創サービス本部」のメンバーは、デジタルを活用したサービスにより全ての人のお金の課題を解決し、人生や事業をより前に進めていただきたいと考えています。
 
デジタルを活用した金融サービスを検討中で、共創サービス本部の事業に興味を持って下さった場合には、以下よりお気軽にお問い合わせください。