千葉県千葉市|SalesForceで公共インフラの不具合対応状況を見える化、利用者の97.7%が「便利」だと回答
千葉県千葉市のICT活用事例をご紹介します。
(「地方×IT」の事例紹介と言いながらも、福岡市や大阪市や今回の千葉市など、地方ではありませんが、、どれも参考になり社会問題に取り組んだ良い事例なので、気にせずにご紹介させて頂きます…!)
今回はスマホを活用して行政の課題を解決した事例です。
公共インフラの不具合状況が見えない
千葉市内では、道路が傷んでいる、公園の遊具が壊れている、ゴミ捨て防止の看板が外れて見えなくなっている、などの公共インフラに関する不具合状況が不透明な状況でした。
千賀氏では土木関係の職員数を削減したこともあり、老朽化したインフラに対して限られた人数で維持管理・修理などを行っていたため、対応に限界がありました。
公共インフラの不具合への対応状況が見えづらいことで、市民の立場からすると「公園の遊具がいつまでたっても修理してもらえない」といったように、自治体に対する不信感を募らせてしまいます。
こういった課題に対して、ICTを活用して、千葉市と市民が協力して"見える化"に取り組みました。
「ちばレポ」アプリで公共インフラの不具合状況を見える化する
限られた人数で対応している行政だけで課題を解決するのは難しいため、不具合の状況を市民が投稿するという仕組みを作りました。
市民が投稿した情報を市の職員が確認し、対応します。対応状況についても「受付済」「対応中」「対応済」といった情報を市の職員が登録し、市民が確認できるような仕組みです。
こちらはスマホではなくWebサイトへアクセスした画面ですが、このように画像つきで現地の状況が報告され、対応状況が見える化されています。とても分かりやすいですね。
詳細画面では、住所など現場の詳しい情報が記載されており、対応後はコメントとともに画像も掲載されています。
システムの仕組みとしては、情報を一元管理するSalesForce(顧客管理や営業管理などをクラウド上で行うシステム)を導入し、スマホアプリから情報を投稿することができ、スマホアプリへのPUSH通知も可能となっています。スマホから登録する情報としてはGPS(緯度経度情報)や写真です。
また、SalesForceに蓄積された情報はWebサイトでも公開しています。
SalesForceの事例紹介でも、今回の事例が掲載されていました。
職員の業務効率化と、市民への利便性向上
ちばレポの効果は非常に大きく、下記2点を実現しました。
(1)職員の業務効率化
システム導入前は、職員がFAXや電話で応対し年間約13,000件にのぼる情報をExcelや紙で管理していました。それが全てクラウド上のシステムで一元管理され、かつ写真や位置情報も付与されているため、業務効率化へ大きく寄与しました。
(2)市民への利便性向上
公共インフラの不具合対応状況が見えづらいという課題も解決できました。利用者へのアンケートを行ったところ、「ちばレポの仕組みは便利だと思う」と回答した人は97.7%もいました。「取り組みに参加したことで町を見る目が変わった」と回答した人も76.7%いました。
ポイント
今回のポイントは「市民が情報を投稿する仕組みにした」という点だと思います。
利用者が投稿してコンテンツを作成するメディアのことを「CGM(Consumer Generated Media:コンシューマー ジェネレイテッド メディア)」と呼びますが、それに近い考え方です。
CGMの具体例としては、例えば、食べログや価格コム等の口コミ系サイト、Yahoo!知恵袋やOKWaveなどのナレッジコミュニティなどがありますYouTubeも利用者が動画を投稿することで成り立っているのでCGMですね。
これまでは運営者側が良質な情報を大量に生産し、利用者へ発信するというのがインターネットでは主流でしたが、現在は利用者が情報を投稿することで成立するサイトが数多く出ています。上記例をあげたように、意識していないだけで実は身近なサービスでCGMは非常に多いのです。
この考え方を活用し、市民が情報を投稿する仕組みは非常に秀逸だと思いました。市民が投稿するメリットは大きく2つあるからです。
(1)より多くの情報が集まる
(2)職員が情報を登録する手間が省ける
1は当然ながら、実は2の業務効率化にも寄与することができる、というのがこの仕組みの良い点です。自治体や企業でも、利用者から情報を集めるという仕組みは一つの成功モデルとして、転用できるのではないかと思います。
※画像は「一般財団法人全国地域情報化推進協会」のサイトからお借りしました。ありがとうございました。