2023年1月に唐突に弱ペダにハマって2ヶ月駆け抜けて2年生編のインハイまで読み終わったんだけども己に腹が立ってる

長く苦しい戦いを選手たちが終えたと同時に、私もまた狂い続けた2ヶ月が終わったような始まったようなそんな心境で、元来字書きなものだから想いを吐露せずにはいられず、表題通りインハイ3日目を終えた今、泣きすぎて痛い頬をそのままにPCに向かっている。

きっかけなんて些細なものだった。しこたま酔っ払った12月末のある夜、友人がカラオケで歌った「恋のヒメヒメぺったんこ」が耳に残りすぎて「なにそれ?」と聞いたところから。ちょうどその時期転職までの間で有休消化中で暇だったので、まあ正月に見るか、と思ってアニメを見始めたのがきっかけ。

私は顔のいい男(絵柄的にはもっと乙女向けな線の細いきらきらした作画)が好きなので正直ハマるかはわからなかったけれど、一期目の序盤であまりに熱い展開の連続すぎて瞬く間にハマってしまった。その勢いと狂い方は尋常じゃなかったと思う。最終的に全巻大人買いして漫画一気読みしてスペアバイクも買ってアニメも劇場版も見て(アニメはまだ追いつけてないけど)っていう感じで順調にオタクとして育っている。

基本、長く好きでいるジャンルには所謂「私を狂わせる男」がいる。そいつ一人のせいで自分がめちゃくちゃになっていくのがわかるくらいの男。ただ、弱ペダにはそういう男がいなかった。

代わりに、気づけば本当に怖いくらい全員好きになっていた。

本当に怖い。最初気持ちわるっと思った御堂筋もすげーやなやつだった街宮もよくわかんないけど全員超好きになってる。今ならランダムグッズで誰が出ても歓喜できる自信ある。

キャラクターが多いスポーツ漫画って、所謂推しの学校やら推しのキャラクターができたらなんとしてもそこに勝ってほしいと願うものだと思う。でも弱ペダは違った。箱学が先行しても、総北が逆転しても、等しく泣いたし等しく興奮した。全員大好きだと思った。

そんな状態で見た1年目のインハイは本当にすべてが美しかった。その後の劇場版や箱学に至っては追い出しレースも含め、勝敗のバランスやそこに至る経緯も、物語としてあまりに美しかったなと思う。

そのあたりでねえ、気付いときゃよかったんだよね。
私、同じこと思ったことあるなあって。
そうです。テニスの王子様、関東大会編です。

関東大会編、この編を読んでいた時、私はみんな大好きモードからちょっと変わっていた。推しが立海大付属中になったのである。そして中でも仁王雅治に落ちたのである。関東大会、幸村の不在、敗北、再度勝つという誓い…物語的に、関東大会は美しかった。決勝も本当に美しかった。勝利も敗北のバランスも、美しかった。

そこで推しを作っとかなきゃよかったんだよね。全員好きなままでいたかった。今でも全員好きだけど、でもそんなのって現実的には無理なわけよ。そりゃやっぱ、誰か一人選ぼうってなったらさ、ちょっと好きが勝っちゃう人、出てくるでしょ。

いつの間にか私は、真波山岳のことをたぶん、思っている以上に好きになってた。そして真波と、先輩である東堂との関わり方、ライバルである坂道と、巻島の関わり方に、とてもいいなあっていう、好きだなあっていう気持ちを、抱いた。どちらがいいとかどちらがすごいとかじゃなくて、それぞれの個性にあった走りと、個性を見守ってくれる先輩がいて、先輩たちだって「互角」だった。だから真波と坂道も「互角」なんだって、さ、思いたいよそりゃ。

思い出すよ。テニスの王子様、全国大会編。決勝。仁王雅治がシングルで出た段階で、立海は2勝。仁王が勝ったら立海が勝つ。物語が終わる。現実世界だったらあり得たかもしれないね。でもこれは物語だからさ。

私はあの数週間、二週間くらいだったかな。
「仁王雅治が絶対に勝てない試合」を、ずっと応援していた。

本当に、頭おかしいと思うんだけど、勝つなんてことありえないんだよね。だって青春学園が全国制覇しなかったら終わっちゃうもん。でも応援してた。苦しかった。なんで、こんな、わかりやすい順番になっちゃったんだろうって、本当に本当に悔しかった。

多分その時くらいからね、物語を形作るキャラクターと舞台装置について考えるようになったんだよね。誰かを失うことで主人公が成長するとか、誰かが敗北することが引き金になって物語が動くとか。それって別にここにあげてるものだけじゃなくて、この世に存在するありとあらゆるバトル系作品やスポーツ系の作品でよくあることなわけよ。そんなの、全員が主人公になっちゃったらさ、この今私が生きている人生と同じように、物語でさえもつまらないものになっちゃうから。

本当に、つらい話だけど。私はずっと、インハイ3日目に入ってから、「真波が勝つだろう」って思ってた。でもそれって、真波が好きだから、真波を応援したいからじゃなくてさ。

「二年で一回坂道は負けておいた方が、三年生編の物語のきっかけになるんじゃないの?」

ってことだったわけ。で、一回敗北してる真波は優勝して、東堂さんにお礼言って、これで引き分けだね、「互角」だね、って、そう思いたかったんだろうな。

自分の中で、物語をどう面白くしていくかという頭と、ただ好きなキャラに勝って欲しいなって気持ちが同じ結末を向いてたから、余計期待しちゃったのかもしれない。

三日目、結果がわかったエピソード見て、変な話だけど思い出したんだよね。「ああそうだ、この物語の主人公は小野田坂道だった」って。あの日、立海が勝てなかったのと同じように。箱学も、まあ、勝てないんだ。そういうものなんだ。そしてこの後の流れで、なにがあろうと、どんな紆余曲折があろうと、多分三年生編でも箱学は、勝てない。

まあね、もしかしたら初日の山岳賞を争って真波が勝つのかもしれないけどね。でもそういうんじゃないよね。それは読んでる側の気持ちであって、真波と坂道と物語には関係ないんだけどさ。

弱ペダに出会えて、好きになれて、狂えて、本当に毎日が楽しくてきらきらしてる。出会えてよかった。好きになれてよかった。すばらしい作品です。大好きです。

ただ今はね、うまく言えないんだけど、「主人公だから坂道が勝つだろ」という卑屈さも、「二年目で一回負けて三年目で勝っといた方がいいんじゃない?」という驕りも、全部、こんな綺麗な世界の話に持ち込んでしまった自分が、本当に、腹立たしいわけです。

今私が生きているこの世界における勝負事なんて、「物語としての機能性や面白さ」を重視しているわけがないんです。この世に神に等しい上位存在がいなければだけど。だから本当に、そういう視点でインハイ三日目を読むべきではなかったし、そう俯瞰して読んでしまった己が憎い。もっと純粋な気持ちで、初めましての気持ちで読んだ方が良かった。でも一方で、このよくわからん悔しさというか憤りというか、これから真波山岳という男が、東堂尽八という道標を失った二年生という段階で、どうやって再び空に飛び出すのか、それに想いを馳せるエネルギーに変えなきゃいけないなと思います。

そして弱ペダのなにがすごいってさ。スペアバイクの存在だよ。
「物語」には終わりはあっても、「人生」は続く、ということがよく現れていて本当に素晴らしいと思う。あの日負けた箱学三年生は、大学生になってバラバラになって、今度はライバルとして走ってる。もう誰も、あの日の敗北を引きずってない。人生みたいに。

それまで連載してくださるかはわからないけれど、願わくば——真波が洋南大学に進んで、また東堂と山で、勝負する姿が見たいな。今度は敵のチームとしてさ。「かなぁないや!」を聞きたいです。

いったん漫画はストップしてアニメで追いつきたいんだけどさ・・・これアニメで見れんのかな私・・・泣きすぎて本当に翌日仕事にならないんじゃないかな・・・全員全勝負本当に素晴らしかったよ・・・全員に見せ場があったしもれなく全員の見せ場で泣いてるよ私・・・もう誰が一番とかじゃないです本当に全員泣けました。ありがとうございました。

まあでもあれだね。
何かに狂えるって、オタクって、最高だね。



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