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何ンにつけ一応は絶望的観測をするのが癖です 〜 中島みゆきさんの音楽

アイキャッチ画像は「歌会 劇場版」(24年12月27日から全国ロードショー)の告知サイト(https://utakai-movie.jp )から引用させていただいています。

昨日書いた記事の中で宝くじのことをつぶやいたせいだとは思うが、歌詞のなかで宝くじの話が入ってくるこの曲を思い出した。

中島みゆきさんの曲に心当たりがあるという世代は、若いほうでいえばおそらく30歳代後半〜40歳代あたりからになるのだろうか。NHKの「プロジェクトX」のテーマソングとしてヒットした「地上の星」が2003年だという。サラリーマン層に人気のあった番組だというが…実は私、ちゃんとこの番組を見たことがない。すでに21世紀に入ったあたりからテレビをまともに見なくなってしまっているみたいだ。まだテレビ離れが進む時期というには早い。当時は仕事から帰宅するのが23時台ってことばかりだったので、人気のあった番組を見逃していただけだと思う。

中島みゆきさんというアーティストは、じつに不思議な存在感を持っている。

知っている曲がありますか?と尋ねたなら、おそらくは40歳以上の中であれば1曲も知らないという人が最も少ないアーティストでさえあるかもしれない。さらにいえば、多くのアーティストであれば好きな曲が数曲ぐらいに集中してしまうだろうけれど…中島みゆきさんの場合はすごく幅広いんじゃないかなあ。

純粋なフォーク世代の方だったら「わかれうた」なんだろうか。
薬師丸ひろ子さんのカヴァーで、私がJ-POPに親しんだ時期に「時代」がリバイバルヒットしたけれど、もともとはみゆきさんご本人の歌唱で1975年に発表されている。つまり「時代」もフォーク世代の代表曲ってふうになると思う。

子供のころの私 — 小学校の高学年ぐらいからテレビやラジオのベストテン番組をよく視聴していた。日曜日朝にやっていた高島忠夫さんの「全国歌謡ベストテン」を毎週欠かさなかったが、小学生ってのだから早熟気味だったかもしれない。そのあたりでランクインして流れていたみゆきさんの曲は「ひとり上手」とか「悪女」 だった。当時の私のなかでは演歌なのか?って感じていたはずだ。耳あたりはよかったけれど、それほど思い入れがあるというわけではない。

警察官が桜中学になだれこんで、加藤優が拘束されて護送車で連行されていく(3年B組金八先生)あのシーンはリアルタイムで見た。ここで異例のフルコーラスで流れた「世情」という曲。みゆきさんの世界観もさることながら、当時の私はサウンド面での凄みに驚いた。私のなかではじめて「フォーク世代のみゆきさん」でなく、私自身の音楽趣向へと迫り寄ってきた1曲でもあった。曲がフェードアウトする前の「シュプレヒコールの波…」の一節での混声のユニゾンが夢にでも出てきそうな迫力だったからなあ。

私のあとの世代(現在の3〜40歳台ぐらい)であれば、安達祐実さんのドラマ「家なき子」の主題歌としてヒットした「空と君のあいだに」だろうか。あるいは発表こそ83年なんだけど、家なき子と同時期にCMとタイアップした「ファイト」が心に響いたって方も多いだろうな。

80年代の女性アイドルの音楽に親しんだ世代という意味では、前述した薬師丸ひろ子さんをはじめ、柏原芳恵さんや工藤静香さんへの提供曲を通じて親しんだというところもあるかもしれない。そうだ、TOKIOへの提供曲宙船そらふねなんてのもありました。

印象的だったアルバムのタイトル


まだカセットテープにFMラジオからエアチェックしたり、レンタルレコード店でレコード盤(コンパクトディスクではない)を借りてきてテープに落としたりしてカセットテープを数多く持っていたあのころ。

エアチェックが著作権の侵害行為だとはわかっていたけれど、ちゃんとレコードが売れてアーティストさんが健全に活動できていたあのころ。

そうやって私が持っていたみゆきさんのアルバムは「愛していると云ってくれ」(1978年)、「生きていてもいいですか」(1980年)、「はじめまして」(1984年)の3つだった。レンタルしてきたのは高校生の頃だから、当時の私からいえば10歳ほど年上向けの音楽を聴いていたことになる。おそらくタイトルの放つ温度みたいなもので、ジャケ買いに近いノリで手元に置いたのだと思う。

Wikipediaが情報源で申し訳ないのだけど…大学卒業論文では谷川俊太郎さんについて論じたという。現代詩からの影響を受けているという。なるほど。
私自身が触れた谷川俊太郎さんの詩というのは、おそらく教科書がきっかけだったような気がする。そして当時の私がよく読んでいた灰谷健次郎さんの、小学校を舞台にした小説に谷川さんの詩が登場したような記憶がある(間違っているかもしれない)。

中高生あたりの私は、灰谷さんの小説をかなり読んだ。当時の精神ではまだ理解が及ばなかったはずの、道徳心と残酷な物事とのコンフリクションみたいなものに出会わせてくれたのは灰谷さんの小説だった。あれっ灰谷さん、2006年に亡くなっていたんだな…というか、「ダンシングオールナイト」がヒットしたもんたよしのりさんが灰谷さんの教師時代の教え子だという。そのもんたさんも昨年(2023年)に亡くなられている…人生ってほんと束の間の花火だな。

いつものことですが話がそれてすみません。
加えて現状、情報源がすべてWikipediaってふうでして。重ねてすみませんです。

キミはユーミン派かみゆき派か


マスコミなんて昔からこんな切り口だったんだなって思うのがこれ。
これほど趣向が違うのに、どうして二分論的なテーマの置き方をする?

まあそれはいいとして ^^; … 私に関して言えば、たぶん「みゆき派」でした。
みゆきさん、月曜深夜(だったと思う)のオールナイト・ニッポンでパーソナリティーをやっておられた。実際のところは音楽よりも先に、そのラジオが大好きだったってことが大きな理由だったかもしれない。

何かとうるさい両親のもと、真夜中にラジオを公然と(というか親にばれないように密かに〝ながら勉強〟)聴けるようになったのは、受験勉強をするようになった中3あたりからだったと思う。
あれほど内向的な音楽を作る人が、人知れず(別に人知れずってわけなんかではない)真夜中にあれほど弾け飛んでしまったオネエサンと化していることに驚かされた。すごいなあって思ったのもあるけれど、内向人間であったとしてもあれほど楽しげに喋って人気者になってもいいんだ…といったふうに憧れたのかも知れない。

こればかりはタイムマシンに乗って、当時の私に尋ねてこないことにはわからん。

当時の私はラジオ少年だったが、深夜1時のラジオを聴けるのはやはり定期テスト前に限られた(高校生になってからはもっと遅くまで聴いていたと思う)。定期テストがはじまる2週間ほど前からは、テストの苦しみよりもむしろ深夜のラジオが聴ける楽しみのほうが勝っていたかもしれないな。いまの私は喜怒哀楽の喜と楽の部分がすっかり劣化してしまってるし、高校生あたりの私はちょっとメンタルをやられたりいじめられたりで相当苦労していたのだけど…本当にラジオが楽しくてたまらなかった。当時の私にもちゃんと「楽しい」っていう感情はあったらしい。

あした天気になれ


この曲、すごく好きなんだよね。

私にとってのサウンド面でのピカイチといえば「世情」(編曲は吉野金次さんと福井峻さん)だと思っていたのだけれど、いまの私には「あした天気になれ」も負けず劣らずだ。アンニュイなコトバとは裏腹な、軽妙なかんじのサウンドがなんとも言えない心地よさを覚える。耳が喜ぶ。今朝みたいな曇天模様にはとてもいい。

へえ…みゆきさんのアレンジャーといえば真っ先に瀬尾一三さんが思い浮かぶのだけど、「あした天気になれ」は星勝さんだったんだね(星勝さんといえばキティレーベルでおなじみのアレンジャーさん。安全地帯の「ワインレッドの心」や薬師丸ひろ子さんの「セーラー服と機関銃」も星さんの編曲です)。

「世情」の歌詞はかなりヘビーだ。他方「あした天気になれ」の歌詞の耳心地は、それこそX(旧Twitter)あたりのつぶやきを見るのに近いかも…心模様をきわめて易しい言葉で歌っている。

「雨が好きです 雨が好きです あした天気になれ」というアマノジャクみたいな一節。はじめて出会ってからずっと心にひっかかっている(いわゆるオンナゴコロってやつなんでしょうか?)。みゆきさんにしてみれば、決して「わかりやすい」歌詞を書いたつもりなんかではないんだろうけどね。むしろ「世情」のほうがわかりやすいだろカス、って言われたりするかもしれない(ホリエモンさんじゃないんだから語尾に「カス」を付けたりなんかはしないだろう)。

ウイキペディアに書かれた年齢を見た。またしてもショックを受けてしまった。私自身もいよいよアラカンだからなあ…もうそんなお時間ですかと。泣きたくなる。
本当に生きるって束の間の花火だ。
いやいや。本当に(襟を正しつつ)末長いご活躍を願っております。

コンサートで生歌を拝聴したことはないのだけど、冒頭で書いたとおり、映画館の全国ロードショーとして歌声を堪能できる機会をつくっていただけるらしい。

これ…行ってみたいなあ。2024年の年末だってさ。覚えておくよ。



「世情」
 https://youtu.be/oESt8we-kPc?feature=shared&t=1782  

「わかれうた」    
 https://youtu.be/NXJ_v4t9Mk0 

「空と君のあいだに」
 https://youtu.be/dxtE6iynsAY 

「ファイト」
 https://youtu.be/WxV0KG2UPMA

「地上の星」
 https://youtu.be/3qgiVfOWpiU 


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