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PLAN75

PLAN75。このタイトルの映画をご存知の方はたぶん多いと思う。


きのうこういう記事を書いたのだけど、その中で私という人間の終わりに対して少しだけ思いを馳せた。

人生100年なんていらない。50歳越えの就労者の価値を下げ、金のない高齢世代はいらないって仰るのなら、実に楽しくない話ではあるのだけど…安楽死制度ってものをそろそろ考えていただきたい。電車の車輪の下に身を投じなければならなくなるよりは、苦痛も避けられるしその人の尊厳も保たれると思う。制度化されたなら、もう少しだけ頑張ったら本来の寿命あたり(70歳前半あたりだろうか)でぜひその制度を利用させていただきたい。

拙文「もう…無理なんですよぉ (ToT)」より

ある若い自民党総裁候補の世襲ポエマー政治家が、くたばりぞこないの特権階級老害政治家に忖度してのことなんだろうけれど「年金支給は80歳でいい」などとのたまった。それに対する怒りの中、わりと冷静にいまの感情を吐露した一節だ。これに対して、いつも私の戯言につきあってくださっているマンネンロウさまから次のようなコメントをいただいた。ありがとうございます。

マンネンロウさまからいただいたコメント
(下線部にクリエイターページへのリンクがあります)


この映画は以前から気になっていた


まったく話が変わる上に過去記事でもたびたび書いているのだけど、私は昭和5〜60年代の歌謡曲が好きだ。アイドルが花盛りの時代で、明菜ちゃんなどのポスターを部屋に貼って両親や妹にからかわれていた。

華やかな女性アイドルたちに素敵なメロディーを提供していた、来生きすぎたかおさんというアーティスト・メロディーメーカーの方がいる。中学の頃からずっとファンを続けてきた。かれこれ40年。ほぼ飽きることなく耳にしつづけてきたし、まだピアノを持っていたときはよく弾いていた。ピアノで弾くレパートリーでは「Goodbye Day」と「涼しい影」が好き。FMラジオでピアノ1本で弾き語りをされたときのテープを、擦り切れるほど聴いて耳コピに成功した。いままだまともに弾けるかどうかはわからない。

その来生さんが、オフィシャルウエブサイトの中で「PLAN75」を見たということ、さらにはその感想を書かれていた。「灰色の脳細胞のひとりごと」というコラムの中でお話しされている。

一度は見ておきたい…とかねてから思いつづけていた。面倒がっていたところを、マンネンロウさまが背中を押してくださった。昼からは仕事なのだが、正午までちょっとだけ時間があるんだったら見れるな…そこでアマゾンで視聴した。

あまりに重いのだけれど…本当にこういう時代がくるかもしれないリアリティーに寒気を覚える


映像づくり自体はそれほど重いわけではない。
比較的淡々とすすんでいくような映画だと思う。

しばしば登場する「PLAN75」のポスターがあまりにもカジュアルなものだから、なんだかすごくリアリティーを感じた。いかにも国がやりそうなイメージ戦略とでもいおうか。

私自身は他人とのコミュニケーションが絶望的に下手くそな人間なのだが、それでも人の心はちゃんとあると見えて、人恋しさを感じることだってある。気の知れた仲間がいて一緒に旅行に行ったりできる境遇とお金が手元にあるのだったら、そんな風に進んで安楽死なんて選ばずに、好きなことをやって天寿を全うできることが一番だろう。その考えは変わることはない。

隠れて生きることだってできないわけではない。

リアルで友達はほとんどいないか、諸々の事情で連絡を遠ざけてしまっている。ほとんどの日は、家内以外と口を訊くときは仕事で必要なことばかり。家内以外とは何ひとつ雑談もなく過ぎていく日だって珍しくもない。

お荷物ってことにされているけれど


私の世代を駆逐したら、次の世代は安泰ってふうになるのか?

私と同世代であっても、政治家をはじめとする〝成功者〟どもが涼しい顔をして余生を謳歌するのだな…と思うと怒りがこみ上げてくる。というよりはすでに諦めで脱力してしまっている。

企業様は若者ばかりを選り好みする。いや即戦力っていうのなら、むしろ本領を発揮できるのは私のほうなのだ。
いまさら主役に回ろうとは思わない。後進の若者たちに経験をフィードバックしたり、私秘伝のワザを伝授したりもできるんだけど … 恐らくこの手のウンチクで縛りつけることが若者には一番嫌われることではあろう。

当たり前だ。私だってそういうのは嫌だ。
でも団塊さんたちは私の世代に、そういうことばかりやってきたんだよう。

どんなに世の中が進化しても、生きているのは〝人間〟なのだ。人にあれこれ言われずに、自力で成長して成功をつかみたいというのが人間の基本的な欲求なのではないだろうか。
社会は政治家連中・経営者連中のものなんかではない。驕るな。

国と経済と悪徳経営者に殺される…私がもっと世にはばかっても構わないのではないかといった甘っちょろい考えも頭の片隅にはまだあるんだよ。
どうすればそれが叶うんだろう。

最後に…


映像という意味でいえば…年寄りばかりが出てくるという時点で、どちらかといえば目を背けたくなるところがある。自分だってジジイ手前のくせに、やはりビジュアルを楽しむというのであれば若くて生き生きした人を映像で眺める方がよほど楽しいものではある。

出演されている方々の演技は良い。俳優さんたちに取ってつけたような不自然さはなく、巧みにリアリティーある人間模様を表現でき得ている。

個人生活の中では、ひとりの生命は重い。
いまの政治の迷走ぶりを見るに、個人というものさえもカジュアルな雰囲気で煙に巻いてしまいそうな感じを禁じ得ない。

いい映画だった。

できれば同じテーマで、権力者目線からの映画を作ってみてほしい。
埋まりようのない感覚的ギャップに失意を覚えるのだろうが … その残酷さまで味わい尽くしてから辞世したい。

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