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ワインレッドの心

もっと勝手に恋したり
もっとkissを楽しんだり…

「ワインレッドの心」は。北海道出身のメンバーが集まって結成された安全地帯の4作目のシングル曲(1983年リリース)。ボーカルは言わずと知れた玉置浩二さん。この曲がヒットした当時の玉置さん(1958年生)は25歳。歌い上げるのは25歳が歌うにしてはあまりに色っぽすぎる世界観を持った歌詞。ブレイク以後の玉置さんのキャラを思えばこそ違和感はまったくないのだけれど、当時のYouTubeのライブ映像を見るといかにも好青年。若々しい。

これ本当に玉置さんの歌詞か?って思ったので調べてみたら…この曲の歌詞が井上陽水さんによるものだということを今更ながら初めて知った(ひょっとすると昔は知っていたのだけど、長らく忘れてしまっていただけなのかもしれないが)。

ああ、陽水さんだったらきっとこういうシュールな歌詞を書くだろうね。

井上陽水さんの歌詞は実にシュールだ


もちろん褒め言葉なんですが ^^; 。

陽水さんの歌詞で一番〝わけわかめ〟だったのは,パフィーに提供した「アジアの純真」というシングルヒット曲。

… 美人 アリラン ガムラン ラザニア
 マウスだって キーになって
 気分 イレブン アクセス 試そうか

 開けドア 今はもう 流れでたら アジア

 白のパンダを どれでも 全部 並べて …

PUFFY 「アジアの純真」(1案の歌詞の一部)

白のパンダって…? うちのパンダは白と黒なんですけど?

しかも「どれでも全部並べる」っていうのはどういうことよ?


ご本人歌唱の「リバーサイドホテル」もなかなかのもの。

 …  ホテルはリバーサイド
  川沿い リバーサイド
  食事もリバーサイド
  Oh  リバーサイド …

井上陽水「リバーサイドホテル(サビの歌詞の一部)

「川沿い」って…リバーサイドの直訳ですやん。


「少年時代」という曲がある。タイトルも相まってノスタルジックな雰囲気を持っている。陽水さんいわく「どこか素人っぽいピアノの音が欲しかった」というので、伴奏のピアノはプロデューサーを介したつながり(後述します)で来生たかおさんが担当されている(私その来生さんのかれこれ40年来の大ファンでして ^^ )。来生さんといえばピアノなのだが、ピアノ教室で習ったのは20歳になってからだというから、はじめて知ったときには驚いた…もちろん素人なんかではない。

 夏が過ぎ 風あざみ …

「少年時代」井上陽水(冒頭の歌詞)

風あざみかあ - 情緒的だなあと知ったかぶりして思うべからず。
これ陽水さんの造語なんだそうですから(笑)。


来生さんの話をしたのでついでに… 陽水さん、小椋佳さん(東大卒で、サラリーマンとシンガーソングライターの二足のわらじの走りのような方)そして来生さんのお三方は、多賀英典さんという名プロデューサーの元祖秘蔵っ子。多賀さんはキティレコードというレーベルを立ち上げ、この記事で話題にしている安全地帯もキティレーベルのアーティストのひとりである。

レコード盤時代のキティレコードのレーベル。懐かしいなあ。


元祖御三家のコラボ。「少しは私に愛をください」は小椋佳さんのシングル曲(1974年)。切ない恋心を歌い上げた歌詞かと思いきや、日本勧業銀行に勤めていた小椋さんが日本勧業銀行と第一銀行の合併を知る由もなかったときの恨みがましい思いがモチーフになっているのだとか(Wikipediaによる)。そう思って聴くとまた歌詞のきこえ方も変わってくるのだけれど…世知辛すぎるのであまりオススメしない --; 。

冒頭の生真面目な来生さんのパフォーマンスには行儀良い拍手が送られるけれど,陽水さんが登場すると観客からは派手に口笛まで鳴らされて盛り上がる。不思議なカリスマ性と色気を持つ男。それが陽水さんだ。

で「ワインレッドの心」 そして安全地帯


ヒット当時の「ワインレッドの心」を歌う玉置浩二さん

当時の玉置浩二さんのお姿。いやあ…まだ官能的な雰囲気とは程遠い好青年っぽい顔をしておられる(だんだん良くも悪くもやがて本性?がにじみ出てきて、現在の自由人っぽい玉置さんへと至るわけだが…あ、冒頭にも書きましたね)。

ただ、当時の容姿とは裏腹にとてもムーディーなボーカルパフォーマンスである。CMとのタイアップがあったからなんて無粋なことは言ってはいけない(現在の音楽界隈はそういうのがなくなったから、現在のアーティストさんたちは可哀想である)。当時の私は…15歳かあ。来生さんの「夢の途中」がヒットしてから2年ぐらい後になる。安全地帯のナンバーもよく聴いた。バラード系の曲が好きだった。

当時の私にしてみればこの曲,のっけから「もっとkissを楽しんだり…」だったわけで … 聴いていてどこかムズムズするような感じではあった(笑)。女性アイドルさんたちも甘いキスへのあこがれをあどけなく歌ったりするわけだが、キッスを「楽しむ」って歌われるとどこか濃厚に聞こえすぎて(キッスってよりベーゼって語感だなおい)…これが大人の世界なんだなあといったふうに聴いたと思うのだよ。そう。大人の世界。

今やこんな私も…赤ワインの味が私なりに解るようになり、昼間っからアルコールでいい気分になってみたりする不良おやじになった。でも〝官能的なあれこれ〟はもう引退年齢だけど。

リスさんたちのワインレッド


今回のリストラーズ(アカペラグループ)の新作は「ワインレッドの心」。
つい最近のリリースだが、もちろん毎日欠かさず耳にしている。このサムネを見て、社長と澤田さんがぜったい「何かやる」と思ったが図星だった。

リードボーカルのお二方の伸びやかなリードボーカルもさることながら(多くの指摘があるとおり)今回は「バ・ドゥ〜〜〜」って風に、ねちっこーい大西さんのベース(褒め言葉です ^^)がなんともいえない味わい深さを醸し出してくれている。あとはイントロからAメロにかけてのアコギのアルペジオっぽい音のリアルさにちょっと驚かされた(これ野村さんかなあ?)。ギター用のエフェクターで処理してるのかな。おそらくリズムもベースもエフェクトかけているはずで…このところの新作に関していえば、実は何気にミキシング(大島さん-お名前だけしか存じ上げていない)の細やかな仕事ぶりにいっそう磨きがかかっているのではないかと感じている。もちろん上村さんはいつもながら、ボイパ(ボイスパーカッション)職人として安定的な素晴らしい仕事をされている。

これほどにも色気のある歌詞なのに、お約束のZOOM会議画面。絵面はいつもどおり「素敵なおじさんの詰め合わせ」である。それでいて…残り1分で現れるリードボーカルのお二人。なんでサングラスだ? 社長はいかつすぎるし、童顔の澤田さんはめっちゃ三の線になっちゃってるし - ムーディーな雰囲気をビジュアルで壊してしまう(でもその茶目っ気の品が良い)そんなところが大好きなんだよなあ。

洗練されていながらも、画面越しにクスッと笑顔にさせてくれる。
今回も素敵なものをありがとう。ブラボー。心から拍手を送りたい。

東工大卒でサラリーマンと二足のわらじを履いているリストラーズの活動スタンスって、奇しくもたまたま記事中で持ち出した小椋佳さんと共通してるんですよね… ^^ 。


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