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言の葉譚<番外編01>英語のカテゴリーマスターだった私が、ヤフー知恵袋を去るの記
ご存知かと思ふが、Yahoo!の「知恵袋」と云ふ掲示板に英語専科のカテゴリーがあって、尋ね人と助っ人が交わって英語話しをしてをる。読めば大方は英語学習の道場如きもので、気構えによっては役にも立ち人助けにもなるのだが、時に罪作りの場にもならうかと云ふいかにも剣呑な場所でもある。
剣呑とは穏やかでないが、一方では難渋していた問題を何の実費も払はず解いて貰ふ便法ではあっても、他方、如何にも初歩的な質問に何とも生半可な英語通が変梃な答えをしてBA(ベストアンサー)に選ばれ、哀れその初心な質問者がそれを信じて疑わず、有難たうを連発する事態などは剣呑そのもの、云はば罪作りな話ではないか。まあそれがお愛嬌で、この掲示板の売りならそれもよからうが、案件次第では真面目な英語学習者のこれからに甚大な影響を与へはせぬか、と根が真面目な吾輩は密かに心配してをったものだ。その辺り、サイトの運営者が然るべく対応してをるかどうか、確とは承知してゐない。
このYahoo!知恵袋に、実は吾輩もいっ時登場してBA稼ぎをしてをったことがある。何を稼ぐつもりもなく、只管こんなことを悩んでをるのかと云ふ義侠心からの立ち込みだったが、暫くすると己れの初心時代を思ひ出して大真面目に助っ人役を買って出る気になったのである。まだ、このサイトのあと引豆宛らの誘引性に気付いてゐなかった。
さう、ほぼ三、四年も彼処に立ち込んだらうか、人助けのつもりで常時立ちこんでポイントやらも十数万点に増え、カテゴリーマスターの域に達してをった。或る日、不図気づけば尋常ならぬ量の時間が浪費され、本業の書きものや翻訳が知らぬ間に手抜かれてをることに気づく。折からランサーズなどのフリーランシングが上げ潮で、高齢の仕事人として注目され始めてをったから、これはならぬと悟り飄然とサイトを後にした。後ろ髪を引かれながら、かう思ったものだ。数年間の経験は存外と新鮮でネット社会のある断面を実地に見た収穫は否めない、と。
そのYahoo!知恵袋を、不図、二、三日前に覗き込んだ。何の切っ掛けだったか、メニューバーのアイテムを整理していた折に残っていた奴をたまたまクリックしただけのことで、何の虫からの知らせもあらず、またぞろ凝るつもりもさらさらなかった。見れば、掲示板は体裁こそ様変わりしてをるが、足を洗った時点のデータが温存されてをり、掲示板には十年一日あれこれと初心な質問が羅列されてをる。可笑しなもので、あちこち見回しているうちに懐かしさが込み上げてきた。
ごく遊び心で、二、三の質問に自流の語り口調の答えを寄せたところ、見よ、立ちどころにBA が雪崩れ込むではないか。稚拙な質問が後引き豆に見える。この豆はどうか、と漁る気が芽生える。たしかにYahoo!知恵袋には奇態は誘引性がある。剣呑剣呑。いまは和英のHP( https://wyess11.xsrv.jp/main/ )への書きものと翻訳依頼と、ここに来てnoteへの出稿が始まって、知恵袋を構ふゆとりはない。と手を引っ込めた次第。
Yahoo!知恵袋には数多のカテゴリーがあり、英語学習の場はその一つだ。初心な英語学習者と知識をひけらかす輩が出会ひ交わる。ともに真摯なら役にも立たうが、冷やかし気分で立ち込めば時間の浪費、取引次第で痛い目にも遭ふ。とかくYahoo!知恵袋は罪作りな場ではある。
かく言ふ吾輩は、書きものに忙しい日々、助けを求める豆たちへの思ひは残りながらも、五入すれば卒寿の身はあの剣呑の地を去らねばならぬ。百歳まで残り十数年を指さす逆算時計に情け容赦はない。Yahoo!知恵袋が遠ざかる。
Yahoo!知恵袋よさらば。More power to Yahoo! Chiebukuro!