寮食までには帰れるさ&有馬記念大予想
こちらはエクストリーム帰寮2021 Advent Calendar
の24日目の記事です。
どうも、こんにちは。 Wと申します。 私は、Wは俺なんだよというアカウントでエクストリーム帰寮の模様をツイートさせて頂きました。 これは、某はお前なんだよ(略してじぇーおま)さんのアカウント名のパロディなのであります。 ところで、JとPは分かるんですけど弁護士ってなんでBなんですか?
これは、一寮生のエクストリーム帰寮記です。 といっても、私は熊野寮生ではありません。 民間会社が運営する他の寮に住んでいる京大生です。
この記事は
1 寮食を食べるまで
2 寮食を食べてから
3 てか寮食までに帰る必要ある?
4 寮食(朝食)までには帰れるさ
5 Uber寮食を頼みたい
6 ついに寮食にありつけた
7 年末年始は寮食がありません(有馬記念大予想)
から構成されています。 それではどうぞ。
1 寮食を食べるまで
これまで他の京大生と会話をする際、特に初対面の時は「どこに住んでるの?」と尋ねられることは一度や二度ではありませんでした。 これは話のネタとしては珍しいものではありません。 ほとんどの京大生は名前と学部と入試の得点の次にこの話をするでしょう。 そう訊かれるたびに私はこう返すのです。 「大学の近くの寮に住んでるよ、あ、民間のやつね」そう言うと相手はこう返してきます。 「へえ!そんなのもあるんだ!」 この会話からお分かりいただけるように、京大の近くの寮といえば熊野寮か吉田寮なのです。
昨年、私は熊野寮に対する、半ばコンプレックスにも近いような尊敬の念を抱きながら熊野寮祭に参加させて頂きました。 寮内寮外問わず行われるカオスな企画の数々に圧倒され、熱狂しました。 ただ、一つだけ心残りがあったのです。 それは「エクストリーム帰寮に参加しなかったこと」です。 私は深夜に熊野寮で多数の参加者を見送り、ツイッター上の帰寮ツイートを見漁り、早朝に帰寮者を出迎えました。 参加者はとんでもなく辛く、苦しいことをしているはずなのに皆充実していたように見えました。 私は、来年こそは参加しようと心に誓ったのです。
それから一年。
アイマスクも準備しました pic.twitter.com/TdA24V8Suq
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 26, 2021
帰寮当日。 私はいつも通り、自分が住んでいる寮の食堂で朝食を食べました。 長距離歩行に備えていつもより食パンの量を増やしました。 いつも一緒にご飯を食べる友人が「今日は頑張れよ」と言ってくれました。 私はこう返しました。 「ありがとう、寮食終わるまでに帰ってくるわ。」
この、「寮食までに帰ってくる」という発言、私は「今日の晩御飯までに帰ってくる」というつもりでした。 我が寮の夕食は、21時半までに食堂に入らないと食べることができません。 私は21時ぐらいに熊野寮に到着できれば間に合うな、と計算していました。 しかし、そのような見通しは甘すぎると歴史は教えてくれます。 なぜ、人類は過去から学べないのでしょうか。
2 寮食を食べてから
土曜の朝8時。 熊野寮に到着。
ここから、私の見込みが甘かったことを徐々に思い知らされていきます。
まず、帰寮者をスタート地点まで送っていく車がありません。 この時点で出発が4,50分遅れました。 車の中には他の参加者もいて、彼らの挑戦距離はそれぞれ30km、50kmでした。 先に彼らを放置する必要があったので、時間はどんどん過ぎていきます。 9時半、10時、10時半、11時…… そして極めつけは農道での事故。 私はこの時点で既に、夕食までの帰寮を諦めてかけていました。 警察を介した相手方との手続きの最中、唯一持ってきていた栄養源である3本のバナナのうちの1本を消費しました。 まだスタート前なのに…… しかも詰め放題だった食パンを袋に詰めるだけ詰めて熊野寮に忘れてきてるし……
農道のど真ん中ですよ……雨ですよ…… https://t.co/zx5ylaoftr
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
事故処理を終えると、ドライバーはなぜか慌てた様子。 我々は道のどこかに置いていかれるだけのはずなのにどうしてだろう? と不安に思っていました。 また、助手席の運営者はなぜか5000円を崩して1000円札5枚に両替していました。 何に使うのでしょう? 起伏が激しく、蛇行する道に揺られながら、私はますます不安になっていきます。 ようやく山道を抜けると、そこには……
3 てか寮食までに帰る必要ある?
一瞬海かと思いました。 あまりの開放感に勘違いしてしまいました。 これは湖です。 琵琶湖です。 なるほど、ここからスタートなのか…… 車から降ろされた地点がスタート地点なのか、、、と思っていたら、目の前には船があります。 運営者は1000円札を1枚手渡し、「向こうの島に渡ったら帰寮スタートしてね」と言いました。
え? 船?
エクストリーム帰寮ついにスタート!!!
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
……船に乗れと言われましたが…… pic.twitter.com/xmAfZH244V
その時の絶望感たるや…… 船は大人一人500円です。 びらきちと二人で帰寮に挑戦していたので、片道分の切符しか買えません。 いや、どうやって島を脱出すればいいの? 帰りの船のお金は? 琵琶湖版イカゲームでも開催されるの?
これぞ真の片道切符…… pic.twitter.com/mPScLYXv8v
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
着いたのは沖島という所です。 早速島を脱出しようと、漁のために出港するおっちゃんに船に乗せてもらおうと思いましたが断られました。 バイトをしようにも翌朝まで待たなければなりません。 地域共同体の良心の象徴的存在、婦人会もお金を持たない者には厳しかったです。 嗚呼、資本主義。 どうしよう。 時刻は既に12時半。 一番早い船でも、次は2時の船です。 それでも、寮食までに帰ることは諦めませんでした。 寮食までに帰る! 絶対に! 帰る! ………… いや、すき家でもいいわ…… ただ、日が変わるまでには帰りたい!
帰りの船代を求めて島を歩いていると、観光で来ていた家族連れと出会いました。 エクストリーム帰寮の概要を説明すると、お父さんが気前よく船を渡るためのお金を出してくれました。 最高! 神! 万歳、資本主義。 本当にありがとうございます。
お父さん、本当にありがとうございます
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
子どもたち、将来は京大に入ってエクストリーム帰寮に参加するぐらい大きく育ってな pic.twitter.com/uJFTxpF7NZ
帰りの船から降りると、もう時刻は2時10分。 ここから50㎞歩かなければなりません。 日が変わるまでの10時間で歩けるか? キプチョゲなら大丈夫やけど……
沖島ありがとう!
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
次来る時はお金持ってきます! pic.twitter.com/Zx3web4p7j
東京五輪の男子マラソン金メダリストを引き合いに出さなければいけないほどの絶望感。 それでも、歩き始めなければいけません。
4 寮食(朝食)までには帰れるさ
熊野寮に向かって歩き始めると、雨が降ってきました。 しんどい。 道は合ってるの? このまま最後まで体力持つの? 幸い、道は大きく間違えていませんでしたが、雨は帰寮中を通じて断続的に降り続けていました。
歩いている途中、○○交差点まであと△㎞という標識が見えてきました。歩いていけばいくほど、数字がだんだん小さくなっていきます。可視化される努力、素晴らしい。
しかし、1時間ほど経過して標識を見ると、3㎞ほどしか進んでいないことが分かりました。え?これ何時間かかるの?50÷3って……単純計算で16~17時間かかるの?今何時?3時か……てことは、、、ペースが落ちたり休憩したりする時間も考えると……帰寮時刻は……
朝8時から9時
またまた、そんなご冗談を……そんなわけ、、、夕食までに帰れると言っていた私がアホみたいです。いや、アホです。それでも、寮食までに帰ることを諦めることはありませんでした。寮食までに帰る!絶対に!帰る!…………朝食までに帰りたい、、、、
初めてまともな標識 pic.twitter.com/mX2jZt5UFk
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
5 Uber寮食を頼みたい
我々はそれなりに頑張りました。途中でほとんどまともに休憩を取らず、良いペースで歩き続けました。近江八幡市の道路舗装に文句を言いながら、びわこマイアミランドに「寒さシベリアやんけ」とツッコミを入れながら、一歩一歩大地を踏みしめます。脚の痛みはどんどん増していきます。まだこれより上の段階があるんか、と10回は思いました。
お腹も空きます。私は栄養源としてのバナナを三本と、じゃがりこだけ持ってきていました。食事のタイミングが大事でしたが、個人的にはうまくいったように思います。帰寮中のバナナは涙が出そうになるほどおいしかったですが、それでも寮で食べるホカホカの食事にはかないません。
#エクストリーム帰寮においてバナナは夜ご飯に入りますか? pic.twitter.com/lTlcpBWkse
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
近江八幡市、野洲市、守山市、草津市、大津市、京都市……6つの自治体を渡り歩いた我々は限界を迎えていました。後から歩いたルートを辿ると、61㎞歩いていました。それでも、歩き続けます。最後の出発者として、離島飛ばしなどというオイシイところを与えてくれた運営者のためにも絶対にゴールしてやる……最後は意地と根性でした。
#エクストリーム帰寮においてバナナは夜食に入りますか? pic.twitter.com/A3yyUG5Zb6
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
6 ついに寮食にありつけた
午前6時過ぎ。 我々はついに熊野寮に到着しました。 エクストリーム帰寮達成です。 熊野寮の建物が見えてきたとき、ちょっと泣きそうになりました。 建物に入ると、寮の方々が味噌ベースの煮物を持ってきてくださいました。 あったかい…… 私が住んでいる寮ではありませんが、これも立派な寮食です。 本当においしかったです。 ありがとうございました。 しんどかったです。 でも、帰寮中を通じてリタイアしようと思ったことは一度たりともありませんでした。 人間として、また一歩強くなれた気がします。
やっと帰寮!
— Wは俺なんだよ (@I_am_W_nanndayo) November 27, 2021
行きには交通事故が起こり、片道切符だけ渡されて孤島に飛ばされ、琵琶湖周辺は雨が降ったり止んだりし、強風に吹かれ、山道を幾度もアップダウンした末に遂に辿り着きました#エクストリーム帰寮 #エクストリーム帰寮2021 pic.twitter.com/zWVdeZtvOB
エクストリーム帰寮の運営の皆さん、ドライバーの皆さん、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
7 年末年始は寮食がありません
エクストリーム帰寮を終えた日、東京競馬場ではコントレイルがラストランのジャパンカップで有終の美を飾りました。 思えば1年前、熊野寮祭期間中に食堂のテレビでジャパンカップの実況をさせていただきました。 あの時はアーモンドアイのラストランで、後輩三冠馬のコントレイルとデアリングタクトを倒したという名レースでした。
今年は(自分もですが)多くの友人が成人して馬券を買えるようになったこと、その上ウマ娘の流行もありまして、周囲で競馬の話をしている人が増えた印象があります。 小6の時から競馬を見ている私にとっては感慨深いです。 高校の時はほんの一部の友達としか話をしていなかったのですが。
そして。 この記事が公開される次の次の日には有馬記念があります。 普段競馬を見ない人でもこのレースだけは買うという人が多いですし、名前を聞いたことがあるだけという人も多いでしょう。 年末の風物詩ですね。
実は、私の住んでいる寮では年末年始に寮食が出ません。 これは困りました。(もっと困ったことも起きましたが。)とにかく、 自分で食べ物を買わなければなりません。 でも、せっかくの年末年始だし、豪勢に行きたいですよね。 というわけで、有馬記念に夢を託します。 ここから先は有馬記念の予想についてです。 皆様へのクリスマスプレゼントです。
有馬記念は優勝賞金が3億円のレースで、これはジャパンカップと並んで日本のレースで最高額です。 そのため、毎年日本を代表する名馬が出走します。 しかしながら、2500メートルという微妙に長い距離、小回りかつコーナーを6回も回るトリッキーなコース形態などの理由により、波乱の決着になることもあります。 たとえば、2015年は8番人気のゴールドアクターが勝利。 この年はゴールドシップの引退レースでしたが、ゴールドはゴールドでもアクターの方でした。 三連単は125,870円。 しかし、これでもかわいい方です。
2008年の有馬記念。 勝ったのは1番人気のダイワスカーレットでしたが、他の人気馬は沈没。 ハイペースの中、後方で脚を溜めていた人気薄のアドマイヤモナークとエアシェイディが2、3着でした。 この年は14頭立てで、アドマイモナークは最低人気の14番人気、エアシェイディは10番人気。 三連単の配当はなんと985,580円。 このように100円が100万円近くになった年もありました。
果たして今年はどうなるでしょうか。 まず、出走馬を見てみましょう。
1 ペルシアンナイト C・デムーロ 牡7
2 パンサラッサ 菱田 牡4
3 モズベッロ 池添 牡5
4 メロディーレーン 岩田望 牝5
5 ディープボンド 和田 牡4
6 ウインキートス 丹内 牝4
7 クロノジェネシス ルメール 牝5
8 ユーキャンスマイル 藤岡佑 牡6
9 ステラヴェローチェ M・デムーロ 牡3
10 エフフォーリア 横山武 牡3
11 アリストテレス 武豊 牡4
12 シャドウディーヴァ 横山典 牝5
13 アカイイト 幸 牝4
14 アサマノイタズラ 田辺 牡3
15 キセキ 松山 牡7
16 タイトルホルダー 横山和 牡3
人気を集めるのは3歳牡馬(オス馬)の⑩エフフォーリアと5歳牝馬(メス馬)の⑦クロノジェネシスです。 エフフォーリアは今年の皐月賞を3馬身差で勝利。 世代の頂点を決める日本ダービーではシャフリヤールの強襲にハナ差屈しましたが、初めての古馬(4歳以上の馬)との対戦となった前走の秋の天皇賞ではコントレイルやグランアレグリアを完封しました。 鞍上は23歳の横山武史騎手。 今年は皐月賞、菊花賞、秋の天皇賞を制しノリにノっています。
クロノジェネシスは2歳時からG1レースで活躍。 阪神JFで2着、3歳春のクラシックでも善戦しましたが桜花賞、オークスはいずれも3着でした。 同年の秋に秋華賞で悲願のG1初制覇を飾ると、翌年は宝塚記念、有馬記念を制してグランプリ春秋連覇を達成。 他にも大阪杯2着、秋の天皇賞3着と、安定した成績を収めました。 今年はUAEのドバイシーマクラシックから始動。 欧州の強豪、ミシュリフ相手にクビ差の2着。 日本に帰国後、宝塚記念を圧勝しグランプリ3連覇を達成。 秋は世界最高峰のレース、フランスの凱旋門賞に出走するも7着でした。 彼女にとって、この有馬記念がラストラン。 前人未到のグランプリ4連覇で有終の美を飾ることができるのか、注目です。
他の出走馬も豪華です。今年の菊花賞を5馬身差で逃げ切った⑯タイトルホルダー、皐月賞、ダービーでいずれも3着と善戦した⑨ステラヴェローチェ、エリザベス女王杯を人気薄ながらも完勝し⑬アカイイトなど、G1馬が6頭、重賞ウイナーが15頭も出走します。4年前の菊花賞馬⑮キセキもついにラストラン。彼の走りをもう見られないと思うと寂しくなります。
ここからは展開の予想をしていきます。スタート直後、②パンサラッサが内から勢いよく先手を奪います。後続をグングン引き離して、5馬身から10馬身ほど後ろの2番手に⑯タイトルホルダーがつけます。そのすぐ後ろに⑤ディープボンドが続いて、⑥ウインキートスもこの辺りでしょう。⑩エフフォーリアは4、5番手の内目につけると思います。⑪アリストテレスがいて、そして中団のやや前目に⑦クロノジェネシスがつけると思います。⑫シャドウディーヴァ、⑨ステラヴェローチェ辺りが中団を形成し、⑬アカイイト、①ペルシアンナイト、⑭アサマノイタズラがこれらを見ながら追走。後方から⑮キセキ、⑧ユーキャンスマイル、③モズベッロ、④メロディーレーンといった格好になると思います。展開のカギを握るのは
1 パンサラッサがどのくらい飛ばすか(前半1000mの通過タイム、2番手集団との差)
2 タイトルホルダーの出方
3 キセキが動くタイミング
4 クロノジェネシスの位置取り
この4点だと思っています。
1 パンサラッサがどのくらい飛ばすか
この有馬記念というレースは逃げ馬がいるかいないかによって全く違う質のレースになりますが、今年は典型的な逃げ馬がいます。この馬の逃げが板についてきた過去2レースについて、見てみましょう。
前々走のオクトーバーS(東京1800m、リステッド)では前半1000mを59.3で逃げました。最後はアタマ差まで迫られましたが、なんとか逃げ切りました。
前走の福島記念(福島2000m、G3)では前半の1000mを57.3で逃げました。明らかに暴走ペースでしたが、最後まで差が詰まる事は無く、後続に4馬身差をつける圧勝劇でした。
今回の鞍上は前走の福島記念に引き続き、菱田騎手です。G1は未勝利の騎手ですが、有馬記念は3回目の騎乗となります。この馬のハイペース逃げの良さを引き出したのはこの菱田騎手なので、私は今回もハイペースで逃げると予想しています。さすがに57秒台では行かないと思いますが、58秒台~59秒台前半ぐらいのペースで逃げるのではないかと思います。
2 タイトルホルダーの出方
菊花賞を逃げ切ったタイトルホルダーですが、今回はパンサラッサに先頭を譲るとみています。控えても競馬ができる馬ですし、パンサラッサが大逃げを打てば2番手から離れた前を見つつ実質逃げの形をとることもできるからです。また、陣営は、「他の馬に関係なく最初の1000を60秒で行く」と表明しています。
となると、この馬がどこから前を捕まえに行くかというのが大事です。あまり逃がしすぎてはいけませんが早めに追いすぎてもいけません。鞍上の腕が試されます。
今回タイトルホルダーに騎乗するのは横山和生騎手です。エフフォーリアの横山武史騎手の兄なのですが、タイトルホルダーに騎乗するのは初めて。まだまだ若手なので、仕掛けるタイミングを焦ってしまうと直線で後続馬に飲み込まれてしまいます。かといって、余裕を持ちすぎると前に届きませんし、先に後ろからマクられることになるかもしれません。私はちょっと仕掛けるタイミングが早くなりそうな感じがしています。
③キセキが動くタイミング
この馬は今回も出遅れるでしょう。有馬記念は2年連続で出遅れています。そしてどこかのタイミングで後方から一気にポジションを上げるでしょう。私は、1周目の正面スタンド前から2コーナーにかけてポジションを上げると思います。パンサラッサが引き離すタイミングで外目から進出し、タイトルホルダーの横、もしくは前に行くと思います。しかし、タイトルホルダーは気にせず自分のレースをしてほしいものです。あまりつられてしまうと、先行馬が軒並みハイペースに巻き込まれてしまうことになります。
④クロノジェネシスのポジション
ルメールは中団外目を追走すると思っているのですが、もしかしたらどこかで動くかもしれません。 ルメールが有馬記念で道中に動くことはよくあります。 2016年、サトノダイヤモンドで勝利した時は、キタサンブラックをマークするために1コーナーから動きましたし、昨年フィエールマンに騎乗した際も1周目の3コーナーでは中団からやや後方寄りにいたにもかかわらず1周目の正面スタンド前で3、4番手につけていきました(おととしのアーモンドアイでも正面スタンド前でポジションを上げましたが、 これは馬が行きたがっていただけなので少し違う気がします。 結局最後はスタミナが切れて9着に終わりました)。 彼は今年の日本ダービーでも外からのまくりに反応し、3コーナー手前から進出を開始していました。 個人的にはサトノレイナスの末脚に懸けてほしかったと思っていますが、ルメールは道中動いてでも積極的に前に行く戦法をとりがちです。 それが一番ハマったのがレイデオロで制した2017年の日本ダービーですね。 あれは神騎乗でした。
クロノジェネシスは北村友一騎手を背に昨年の有馬記念を制した際、最初は後方に位置し、残り1000mから外を進出してマクりきりました。 どこからでも動いていけるので今年もルメールは早めに動くような気がしています。
また、ルメールが秋の天皇賞でグランアレグリアに乗った時にエフフォーリアとコントレイルよりも前で競馬を進めたのも印象的ですね。 最後は2頭に差されるのですが、ライバルをマークするのではなくてライバルよりも先に動こうという意図が見て取れました。 これらのことから、レース中盤ではクロノジェネシスがエフフォーリアよりも前にいると予想します。調教師曰く折り合いも大丈夫そうらしいですし。 その状態から3コーナー以降のスパート合戦が始まると思います。
ただでさえハイペースの中、前に意識が向きそうな展開です。 こういう時は中団から後方目でじっとしている馬を狙いたいものです。
というわけで、印を発表していきたいと思います。
本命 ⑩エフフォーリア
本命はエフフォーリアです。横山武史騎手のコメントはやや不安ですが、ダービーの時も「皐月賞から良くも悪くもなっていません」とやや微妙なコメントをしていました。それで勝ち馬からハナ差の2着でしたから問題ないとみています。蹄の不安に関しては、調教を見て大丈夫そうだなと思いました。最後は鞍上のアクションに応えて鋭い伸び脚。去年のフィエールマンの脚の腫れに比べたらどうってことないです。しかも彼は勝ち馬から僅差の3着に来ました。また、グランアレグリアも散々蹄の不安を言われていましたが、引退レースを圧勝しました。横山武史は、ライバルの発言も気にしてやや消極的な発言をしたのではないでしょうか。人気馬に乗る若手騎手が「絶好調です」なんて発言をしようものなら徹底マークに遭いますからね。和田&オペラオーから学んだ彼は賢いですね。
また、グレード制導入以降、3歳の皐月賞馬で有馬記念に出走したのは以下の16頭です。皐月賞というのは有馬記念と同じく中山で行われるG1レース。このレースでの好走歴には注目せざるを得ません。エフフォーリアは今年の皐月賞を3馬身差で圧勝しました。それだけでも十分買いなのですが、以下の表を見て頂きたいです。
ある
シンボリルドルフ 有馬記念1着
ミホシンザン 2着
サクラスターオー 中止
ナリタブライアン 1着
セイウンスカイ 4着
ディープインパクト 2着
オルフェーヴル 1着
ゴールドシップ 1着
サートゥルナーリア 2着
ない
ドクタースパート 14着
ジェニュイン 10着
テイエムオペラオー 3着
ノーリーズン 6着
メイショウサムソン 5着
アンライバルド 15着
ヴィクトワールピサ 1着
この表はどういう意味でしょうか。”ある”の有馬記念連対率は7割5分。サクラスターオーはレース中に故障を発生したため度外視すると、連を外したのは成績が安定しないとされる逃げ馬のセイウンスカイのみです。残りの馬は全て連対しています。一方、ないの方で連対したのはヴィクトワールピサ1頭だけです。ヴィクトワールピサとテイエムオペラオー以外の馬は全て完敗しています。
実はこの表は「秋の勝利」のあるなしで区別しています。秋の勝利実績が示しうるものとして
・皐月賞の勝利がある程度実力を反映したものであること(まぐれの勝利ではない)
・3歳馬には厳しい春のクラシックを経たうえで、夏に調子を戻していること(春で燃え尽きる馬や、しばらく調子が戻らない馬を見極める指標となる)
ヴィクトワールピサはこの16頭の中で唯一、秋に海外遠征をしていましたし、ジャパンカップも僅差の3着だったので”ない”馬の中では上記の不安が少なかったかなと思います。
エフフォーリアは秋の天皇賞でコントレイルとグランアレグリアを倒して実力を証明済みですし、春の疲れもなさそうです。
そして、彼の祖父、シンボリクリスエスはエフフォーリアと同様に、3歳時にダービー2着、秋の天皇賞1着という成績を収めています。血は争いません。祖父同様3歳で有馬記念を制し、年度代表馬となるのではないでしょうか。今回、タフな展開になりそうなのも血統的には歓迎です。祖父と父はレース上がり3Fが35秒以上かかるG1しか勝利していません。府中にしてはタフな馬場で行われ、ハイペースで流れたジャパンカップを4馬身ぶっちぎった一方、極端なスローで流れた有馬記念では5着に敗れた父エピファネイア同様、この馬もスローになると逆に危ないのです。実際、スローペースのダービーでキレ負けしました。反対に、レースの上がり3Fが37秒かかった皐月賞で圧勝しています。ダービーで最後差されたのは距離が原因ではなく究極のキレ勝負になったこと、その上仕掛けが微妙に早かったことが理由だと思っています。タフな展開になりそうな今回は自信の本命です。
対抗 ⑨ステラヴェローチェ
対抗はステラヴェローチェです。後方から堅実に末脚を発揮するこの馬にとって、今回のレースはドンピシャの展開になりそうです。デムーロ騎手への乗り替わりも好材料です。彼は2週連続で重賞勝利中ですし、今絶好調です。ノッているときのデムーロほど怖いものはありません。おそらく、弟のクリスチャンデムーロが現在来日しており、日々楽しく生活を送っていることが精神の安定に繋がっているのでしょう。彼のインスタグラムを見てください。二人で仲良くクリスマスパーティーをしています。
この馬の前走は菊花賞で、4着でした。後方から上がり最速タイの脚を使うも馬券圏内に入ることができませんでした。それでも、前々走に不良馬場の神戸新聞杯を激走し、決して体調が良いと言えない中でこのパフォーマンスは十分と言えるでしょう。今回は順調に追い切りを消化し、なおかつ課題だった馬体重も増やしてレースを迎えることができそうです。クラシックの悔しさを晴らす激走も期待できます。雨が降ったらもっとこの馬向きになりそうです。バゴはバゴでも……に期待します。
単穴 ⑪アリストテレス
単穴にはアリストテレスを指名します。この馬は今年の1月にAJCCを勝利。冬の中山で好走しているのは怖いですし、昨年の菊花賞ではコントレイルと叩き合いの末2着。G1でも通用する強さがあります。近走は精彩を欠いている印象ですが前々走の京都大賞典では2着に来ており、ハマれば一発ありそうです。
鞍上の武豊騎手は今年不振でしたが、先週初めて朝日杯を制しました。また、武豊騎手は決め打ちすることも多く、あまり内でない枠順を見て後方待機策を取る可能性もあります。そうなった場合、ペースが速めに推移すれば怖い存在です。
ここから先はオカルトですが……20年前の有馬記念。勝ったのはマンハッタンカフェ、2着はアメリカンボスでした。この年はアメリカ同時多発テロが起こり、それを意識して”時事馬券”と呼ばれました。
20年前の2001年に生まれた子どもたちは今年成人となりました(私もです)。となると、また国関連のサイン馬券があるのではないかと期待してしまいます。今年はオリンピックが開催され、なおかつ私の本命馬がエフフォーリア(ギリシャ語で強い幸福感)……
そうです。ギリシャ関連です。アリストテレスはご存じの通りギリシャの哲学者。エフフォーリアが一緒にこの馬を連れてきて、”ギリシャ馬券だ!”となる可能性も無くはないのではないのでしょうか。
ちなみに、2001年の有馬記念で武豊騎手は人気薄のトゥザヴィクトリーを駆って3着に導いています。今回も人気薄のユタカに期待しても良いのではないでしょうか。
連下 ⑤ディープボンド、⑯タイトルホルダー
連下には先行勢の2頭を選択。ディープボンドは今年の天皇賞春2着。前走の凱旋門賞は惨敗でしたが、無理をさせなかった分だけ気配は良さそうです。今年はかなり成長しました。中山適性が疑問視されますが、惨敗した金杯は位置取りが全て。良い枠を引いた今回は前に位置して粘りこんでほしいものです。ズブい馬だからこそ、タフな展開になりそうな今回はチャンスです。
好枠を引いたディープボンドとは対照的に、大外枠を引いてしまったタイトルホルダー。この馬は前走、鮮やかに菊花賞を逃げ切りました。今回は枠的にも他の出走馬的にもすんなり先手を奪うことは厳しそう。ただ、この馬の中山適性はホンモノ。弥生賞ではシュネルマイスター以下を寄せ付けず逃げ切り、皐月賞では逃げの形をとることはできませんでしたが2着に粘りました。枠が悪いので人気が下がりそうですが、その風潮が逆に不気味です。16番枠に入った人気馬はあまりいません。不利であることは確かですが、妙味はあります。
馬券は、本命⑩エフフォーリアを軸に馬連4点。相手⑤ディープボンド、⑨ステラヴェローチェ、⑪アリストテレス、⑯タイトルホルダーで勝負します。
クロノジェネシスについて。今回は外させてもらいました。いつも懸命に走る馬ですが、今回は追い切りが悪すぎます。プロのニッ〇ンの記者が見てもC評価。私も映像を見ましたが、併せ馬の相手に乗った乗り役が何度も後ろを確認していました。凱旋門賞でそれなりに頑張りましたし、疲れがあるのかもしれません。また、リスグラシューとダブらせる人もいましたが、あの馬は4歳秋にG1初制覇し、5歳に本格化。この馬は3歳秋にG1初制覇し、本格化したのは4歳です。もう衰えていてもおかしくはないのではないか……と考えてしまいます。リスグラシューは絶好調でしたし馬体も成長途上でしたしね。今回はブエナビスタの二の舞となる方に賭けます。それに、ルメールもこの秋調子があまりよくありません。G1は1勝のみ、重賞を勝ったのは全て1番人気馬。良い馬に乗りすぎて腕が落ちているのではないでしょうか。
何より、調教師の泣きが入りすぎです。もちろん、これがブラフの可能性も大いにあります(オルフェーヴルの引退レースでも調教師の泣きが入る→蓋を開けてみれば8馬身差圧勝)。勝ったらごめんなさいで今回は切らせてもらいます。馬連の相手にしても良かったのですが、そうすると当たってもおそらくトリガミになるので選びませんでした。3連系で狙う人は抑えていても良いと思います。今回の調教師の一連の発言やトーンはこの馬のファンに対するせめてもの誠意かなと思いました。もちろん、ラストランを飾ってほしい気持ちはあります。桜花賞馬グランアレグリア、オークス馬ラヴズオンリーユーとともに三冠を分け合った全馬が有終の美となれば伝説の世代として語り継がれることでしょう。ただ、最後は北村友一に乗ってほしかった……
そして、同世代でオークス、秋華賞2着のカレンブーケドールも忘れないであげてほしいです。いつも一生懸命に走る馬でした。そんな馬が、最後のレースとなった秋の天皇賞では自ら走るのをやめたのです。もしかしたら脚でも傷めたのではないか………… 不安は的中しました。彼女は脚部不安によりこのレースを最後に引退してしまいました。次は繁殖牝馬として、僅かに届かなかった重賞、そしてG1を獲る馬を輩出してもらいたいです。応援しています。
有馬記念は1年の終わりを締めくくるレースです。最初の正面スタンド前で、今年の競馬を彩った名馬たちが走るのを見ながら思い出を振り返るのが好きな楽しみ方です。たとえ2500メートルという距離が時代遅れだと言われても、この距離だけは変えないでいただきたいです。正面スタンド前で激しい先行争いをするのは趣がありません。中盤までは思い出に耽りたい。そして3コーナー辺りから各馬にペースアップしてほしい。それはまさに、熱狂する我々を2021年に置いていき、夢を託された選ばれし駿馬たちだけが一足早く輝かしい2022年へと駆けていくようです。
我々に未来は分かりません。だからこそ、人はどこまでも夢を見るのでしょう。来年は良い1年になると良いですね。
以上で終わります。ありがとうございました。