出会いと、帰寮と、偶然と。
この記事はエクストリーム帰寮アドベントカレンダー2023の11日目の記事です。
どうもこんにちは。Wと申します。私は来年から社会にハナテン、いや放出される学生です。初めて私の記事をご覧になる方も多いかもしれませんが、実は2年前にもエクストリーム帰寮のアドベントカレンダーを埋めさせていただきました。
2年前のエクストリーム帰寮では琵琶湖の孤島に飛ばされました。エクストリーム帰寮がついに湖上に進出した歴史的瞬間でした。片道切符だけを渡されて一文無しの状態でバイトを探していましたが、なんとか偶然出会った観光客の方からお金をいただき島から脱出して、その後風雨の中を60km以上歩き続けました。かなりキツイ経験だったのですが、この経験によって心身ともに強くなれた気がしました。ただ、こんな企画二度とやるか!と思っていました。
しかし、今年の12月1日。私はなぜか京都府相楽郡南山城村の山奥で満天の星空を見ていたのです。こんなことになったのはある偶然の出会いのおかげ(せい?)でした。
偶然の出会い
ところで、京都大学というのは世間から「面白いことをやっている大学」と思われているようで、それは他の大学の学生にとっても同様だそうです。
私は現在4回生であり、ついこの間まで就職活動を行っていました。色々な企業を回っていたのですが、インターンの休憩時間やインターン終わりの飲み会の際などに他大学の学生と話す機会が数多くありました。全国各地から学生が集まっていますので、それぞれの大学の話は新鮮でとても面白かったですし、京都大学の話が面白がられることも多かったです。特にこの熊野寮祭、さらに言うとエクストリーム帰寮の話はウケが抜群。既に”エク帰”の存在を知っている人も多かったですし、「琵琶湖の島に一文無しで飛ばされたんですよ~」なんて言おうものなら百発百中で大ウケ。インターン終わりの飲み会の鉄板ネタになっていました。
ただ、エクストリーム帰寮のウケが良いのは、どこか「あり得なさ」というか「自分からの距離」というか、「自分は絶対に参加したくないけど、傍観するには最高のコンテンツ」としての面白さがあるからだと思います。
そんなこんなで就活を進め、いつも通り待合室で鉄板ネタをカマしたある日。それを聞いた一人の学生がこんなことを口にしました。
「何それ!やってみたい!」
あまりにもレアすぎる反応。一言目でこんなことを言う人は初めてでした。一瞬その発言が信じられず、訊き直そうか迷いましたが、たしかにそう言っていました。「何それ!」とか「面白いね!」とかではなく、あまりにも主体的過ぎる発言。こんな反応をする人と参加したら絶対に面白いだろうなあと直感的に思いました。
そうはいっても、、、待合室で話しただけの仲ですし、大学もかなり離れているし……もしかしたら二度と会うことはないかもしれない。まあその場のノリの冗談だろう。そう結論づけて、いつしかそのやりとりも忘れそうになっていました。
いざ尋常に帰寮
それから3か月ほどが経ちました。今年は大学生活最後の年だしエクストリーム帰寮に参加しようかな、でもしんどいし一緒に参加する仲間もおるかどうか微妙やしなあ……と参加するかどうか迷っていました。そんなとき、一通のLINEが。
「エクストリーム帰寮ってほんとに一緒に参加してもよいの?」
あ、本当にやる気だったんだ。スゲーなこいつ。めちゃくちゃおもろいやん。でもしんどいで?大丈夫かな?一応「50km歩ける?」とジャブをかましておこうか……実際に歩くのは30kmでもいいけどね、、、あ、50kmでもやる気なんや、マジスゲー。これは負けてられないな……こうなると参加しないという選択肢はありません。もう一人、京大の友達を入れて3人のチームで参加することになりました。距離は50kmで。
12月1日。彼女ははるばる新幹線に乗ってやってきました。日本で一、二を争うほど観光資源が豊かな京都に、ただ50km歩きに来ただけの学生。その構図だけでも既に面白すぎました。会うのは面接の待合室以来で、プライベート(?)で会うのは初めて。一緒にする最初の活動がエクストリーム帰寮って何だよ、怪しい会社の内定者研修かよと思いました。
せっかく京都に来てもらったからにはせめてハイライトぐらいは食べて帰ってもらおうと思い、揚げ物で腹ごしらえ。カロリーを十分にとって長い帰寮に備えます。
2年前の反省を生かし、防寒はしっかりと。風雨にも備え雨カッパとタオルも持っていきました。体の先から冷えるので、靴下は2枚重ね。手袋も履き、動きなれたランシューを装着。熊野寮でパンを1袋貰い、出発です。
以前私は琵琶湖に飛ばされたのですが、最初の方の車の方向は覚えていました。蹴上を抜けて山科、そして大津に行くルートです。今回も同じルートを辿っていたので、最初は「あれ、リターンズか?」と思っていました。しかし、前回の出発は朝10時、今回は夜10時。島に行く船の最終便はとっくの昔に終了しているので、以前のように島に飛ばされることはありません。
途中、眠たかったのでしばらく寝ていました。目が覚めると、車はどんどん山道を進んでいました。私は乗り物酔いをするタイプなので少し気持ち悪くなりましたが、そんなことにはお構いなしに登ります。途中、信楽という文字が見えたので滋賀の山奥だな、と認識しました。「もうそろそろ降ろされるやろ」と思ってからさらに20分ほど車は走り続け、ようやく停車。何もない山道でした。降りた時にドライバーが一言。「今来た道じゃなくて、逆の道を行く方が近い可能性もありますからね」と心理戦を仕掛けてきました。そして、車体を180度転換させ、やってきた道をまた戻り始めました。もう一人、別の参加者(なんと160km!)を出発地点まで送り届けるためでした。
いきなり運命の分かれ道
車から降りて空を見上げると、そこには満天の星空が。とても綺麗で感動する気持ちが半分、近くに明るい場所がないと気付き絶望する気持ちが半分。複雑な心境でしたが、まずは歩き始めなければなりません。
セオリー通りだと、車が走ってきた道を戻る形で歩き始めるのが普通です。時間はかかるかもしれませんが、大きく外れることはありません。逆の道を行くと、かなりショートカットできる可能性がある反面、熊野寮とは反対方向へひたすら進み始めるリスクもあります。50kmで始めたのに、気づいたらゴールまで60km、70km、それで済めばまだいい方で100kmになる可能性もあります。
しかしです。今回の車の走行ルートはひたすら山を登っていたのですが、最後の5分ほどは坂を下り始めていました。山の頂上は既に超えた感じがありました。また、他の参加者を送るために来た道を引き返していたこと、さらにドライバーの意味深な発言。ドライバーの心境を想像し「逆の道を行くと良いと京大生に言うと、京大生は天邪鬼だからセオリー通りに今来た道を登るはず。しかしそっちが実はドボンで遠回り。裏の裏をかこう」と思っていたのではないか……
様々な事情を考慮し、3人で出した結論は「ギャンブル」でした。今来た道とは反対方向、ともすれば滋賀を抜けて岐阜や三重に行きかねないルートを選択したのです。
ここは、、、京都???
降車直前の車は坂を下り始めていたので、最初は我々の予想通りひたすら山を下り続けていました。真夜中の山奥、もしかしたら熊が出るのではないかという恐怖心もありましたが、時に真上を見て星空に癒されつつ、時に真横を見て友人と語り合いつつ、順調に山を下ります。
エクストリーム帰寮ではご存じの通りスマホで地図を見ることができないので、様々なものが目印になり得ます。夜であれば北極星の方向、昼であれば太陽の方向。家の窓の向きなんかもある程度参考になります。道路標識もそうです。山道を降りていくとある一つの看板が見えてきました。
保安林の話って行政法の判例であったよなと思いつつ、地名を見ると「南山城村」と書いてありました。その下には「京都府農林水産部」の文字。
そこで私は少しパニックになりました。滋賀の山道を歩いていたと思っていたのに、そこは京都だったのです。そして、南山城村って、どこ……?山城国ということは京都府南部だということは分かりましたが、どれくらい京都市から離れているか分かりません。大きく外してはいなかったので安心しましたが、謎は深まるばかりでした。
歩こう歩こう私は元気
しばらく歩くと集落が見えてきました。意外と早く人里に降りてこれて安心でしたが、時刻は夜の12時過ぎ。さすがに人はおらず、ここがどこなのか詳しく知る術はありません。
しばらく歩くと、案内標識が見えてきました。そこには「和束」の文字が。これはアツい。あまり京都に詳しくない私でも和束は京都府の地名として聞いたことがありました。さらに次の標識には国道のマークが見えてきました。国道は激アツのサイン。この道を行けば国道に辿り着く、そう信じて山を下り続けました。
しばらくすると、広い道に出ました。深夜の国道にはトラックしか通っていません。T字型の交差点にある案内標識は蔦に覆われていましたが、近づいてみると左は伊賀、右は木津川市と書いていました。右折して木津川市に向かいます。
そこからは街灯がありまして、比較的歩きやすい道路に変わりました。しばらく行くと、青い光が見えてきました。やがてそれは黄色、青へと変わります。初めての信号です。こういう「初めての○○」はとてもテンションが上がります。やや足取りが軽くなりました。交差点に近づき、「一気にここからバイパスを抜けて木津川市や!」と思っていたのですが。現実は残酷です。
歩行者通行止トラップ
このような写真がありました。私は絶望しました。最短ルートと思われた道が通れない。それどころか、もしかしたら1時間半かけて降りてきた山道を戻らなければならないかもしれない。左折はできるものの、木津川方面に向かうかどうかは分からない。どうする……
ここでも3人で協議した末、一旦左折して木津川方面に向かう可能性に賭けるという手段をとりました。3人の足取りは急に重くなったような気がします。信じて歩みを進めていると、案内標識が。
何とか木津川に向かうルートを確保しました。3人とも反応はあっさりしていましたが、心のどこかに恐怖心と、それを抑圧して強がる気持ちがあったような気がします。
進んでいくと、南山城村の役場があり、「まだ自治体が変わらないのか……」と思っていました。やがて、大河原駅という駅に辿り着きます。初めて聞く駅でしたが、どうやらJR関西線という路線の駅だそうです。運賃表の駅名と運賃を見ると大体の位置や方向性が分かります。木津までは330円。この線路沿いを行けば、少なくとも木津には辿り着けることが分かりました。
そしてさらに笠置町の看板が見えてきました。初の自治体越えです。これにはテンションが爆上がり。初のコンビニも見つけ、非常に順調。Spotifyで音楽を流しながら、夜の国道を歩きます。
歩いているうちに少しづつ東の空が明るくなっていました。日の出前が一番寒いのはご存じの通りですが、気温を示す電光掲示板を見ると0という文字が。これには笑うしかありません。3人で震えながら歩いていきます。
一歩一歩進んでいくと、また標識が見えてきました。右に進むと和束、真っ直ぐ進むと木津川市。これは困りました。両方とも京都であることは知っていますが、位置関係が分かりません。ここでも非常に迷いました。しかし、ここまで木津川市を目標にして歩いてきたこと、和束方面は山に入りそうだということで、木津川市方面を目指し直進しました。
冬の雪山で寝てはいけない理由
さらに進んでいくと、かなりの広さの土地がありました。近づいてみると、恭仁宮跡とのこと。木津川市教育委員会による説明書きだったため、そこで初めて既に木津川市に入っていたことに気がつきました(おそらく木津川市の看板を見逃してしまっていました)。
我々は途中で休憩を何度かとっていたものの、疲れと眠気がピークに達したこと、軽く寝れそうなベンチがあったことから仮眠をとることにしました。
しかし、めちゃくちゃ冷たくめちゃくちゃ固い木のベンチで寝られるわけがありません。15分ほど上を向いたり横になったりしつづけてベストポジションを探っていましたが、ようやく横向きのちょうどいいポジションを見つけて眠りかけました。その時です。はるばる遠くから来た例の彼女が「おはようございます~そろそろ行こう」と起こしてくれました。「うわ、あとちょいで寝れたのに、なんで起こすねん」と思いましたが、後から考えると起こされた瞬間は眠りかけた感覚というよりは意識が飛びかけた感覚がありました。最も寒く、おそらく気温は氷点下だった時間帯、低体温症で死にかけていた可能性があります。そう考えると彼女は命の恩人かもしれません。
「雪山で寝たらあかんって、あれガチなんやな」「寝てるようで寝てるわけじゃなくて死にかけてる感覚が分かったな」と大学の友人と話し合ってた気がします。もはやあまり会話の内容も覚えていないぐらい寒かったです。
ついに念願の二文字が
先ほど、「初の○○」というイベントはテンションが上がるという話を出しました。ここまで、初の看板や初の信号機、初の自治体越えなどにテンションが上がってきましたが、エクストリーム帰寮で最もテンションが上がる瞬間があります。それがこちら。
「初めて京都という文字が見えた時」は最も興奮します。エクストリーム帰寮あるあるです。京都に着実に近づいていること、そして、ある程度正しい道を歩いてきたことの証明だからです。これはかなり元気が出ました。ただ、京都までの距離はあまり掴めていません。「もう半分ぐらいやろー」「20kmは絶対歩いてる、さすがにあと30kmは切ってる」そんな会話をしながら進むとこんな案内標識が。
先程のエクストリーム帰寮あるあるには続きがあります。「京都という文字を見てテンションが上が」った後に、「京都までの距離を見て萎える」というものです。これ、絶対に経験します。2年前の前回も同じことになったので「実はまだ40㎞残ってるんちゃう?」と心の中で思っていたら、本当にそこそこ残っていて焦りました。
偶然の出会い2
しばらく歩いていると、蟹満寺という文字が。近くにそれらしき建物はなかったのですが、プレートだけありました。そこに、一人の若い男の人がいて、電話をしていました。よく見ると、手には食パンの袋を持っています。私たちが出発の時にもらったパンと同じです。これは、、、もしかすると、、、いやもしかしなくても。
「エクストリーム帰寮中ですか?」」「はいそうです。」「誰と電話してたんですか?」「途中まで一緒に帰寮してたけど、寝てるときに置いてきた友達です。」
いや、置いてきたの??大丈夫??と思いましたが、どうやら彼の友人はペースが遅かったようです。さらに、彼は東京にある大学の学生で、学業の用事があるため夜には夜行バスで帰らなければならないとのこと。先を急ぐ必要があったので仕方なく置いてきたようでした。そこからは彼と話しながら帰寮を再開しました。彼は奈良の山奥から歩いてきたようです。
新たな仲間が増えると刺激になりますし、話も弾んで楽しかったです。彼はとても好青年でした。
順調に木津川沿いを進んでいき、井手町、城陽市と進んでいきます。城陽市は単調な道が進んで、体感時間がとても長かったです。城陽市からは宇治市→京都市とほとんど真っ直ぐだと分かってしまったのも理由としてあったと思います。エクストリーム帰寮は帰れる見当がついてしまえばあとは歩くだけの作業ゲーです。地味にメンタルに来ます。
歩いているうちに、徐々に途中で出会った彼の脚が悲鳴を上げていました。膝の辺りが痛むようで、少し休憩を多めに取りながら歩きます。彼は「全然放っていってもらって大丈夫っすよ!自分なんか置いて行っちゃってください!」と言ってくれましたが、そんな無慈悲なことはできません。彼を心配しながら歩き続け、宇治市まで辿り着きました。「最後まで頑張ろう!!」励まし合いながら進みます。
会うは別れの始め
宇治市も道はひたすら真っすぐで面白みのないものでした。なんなら一度自転車で通ったことがあったので新鮮さの欠片もありません。4人で頑張って歩いてきましたが、とうとう途中で出会った彼の脚は限界を迎えました。これ以上歩き続けることはできないということで、近鉄電車に乗って帰ることになりました。本当に残念でした。豊洲市場で重いものを早朝から運ぶバイトで鍛えた強靭な足腰をもってしても達成できないなんて。エク帰の厳しさを思い知らされました。一緒にゴールしたかった。
偶然の当たり
仲間を失い、単調な道が続いていたことでモチベが低下していましたが、15時台になると段々とやる気が出てきました。
理由は簡単です。そうです、お馬さんです。この日は土曜日、阪神でG3のチャレンジカップ、中山でG2のステイヤーズステークスというレースがありました。スマホで出走馬を見ながら予想していました。チャレンジカップは大穴狙いでいきましたがこちらはハズレ。本気予想はステイヤーズステークスです。
このレースは3600mも走るスタミナレース。長距離戦に強い2番人気のテーオーロイヤルと、近走不振ですが前に行けばチャンスありとみた8番人気のアイアンバローズの馬連を購入しました。鬼の1点勝負です。
小さい音量でラジオNIKKEIの中継を聞きながら歩きました。望み通り、アイアンバローズは後続を引き離した逃げを打ちます。テーオーロイヤルも中団の悪くない位置につけているようです。
4コーナーから直線に入ると、アイアンバローズは二の脚を使って後続を引き離します。これはもらったか、あとはテーオーロイヤルや、でも名前がなかなか呼ばれない、あと200m、外からきた!!テーオーロイヤル!!差せ!!差せ!!差してくれ!!
なんとなんと大的中で2万勝ち。めちゃくちゃ興奮して叫びたい気分でしたが、疲れと寒さで心臓に負担がかかっていたので、ここで興奮すると心臓が止まって死んでしまうと思い冷静にガッツポーズです。同行する2人に「帰ったらJK(ジェイムズ・キッチン)のハンバーグ奢るよ!!」と約束し、また進み始めました。ルール上、エクストリーム帰寮では現金を使ってはいけませんが、お金を稼ぐ人はあまりいません。私は前回の船代に続き、2度連続でエクストリーム帰寮中にお金を稼いでしまいました。今回に関してはもはや時給1000円以上のバイトです。本当にこんなバイトがあるなら絶対にやりませんけれども。
レースが終わったぐらいのタイミングで京都市に入りました。ついにラストの自治体です。そこからは馴染みの道、竹田駅のあたりで家庭教師のバイトをやっているので伏見区の道はなんとなく分かります。暗くなってきましたが、順調に進んでいきます。
烏丸五条トラップ
しかし、途中で進む方角を間違えてかなり西に進んでしまいました。北に行っているつもりだったのに西に行ってしまったのです。これはどうしてでしょう。
最初、我々は京都市内を北上していました。観月橋を抜けると十字路の直進方向(北)に烏丸五条を示す案内標識が見えました。私は京都市内の東側を歩き過ぎだと感じていたので(これが最大のボーンヘッド、最短は真っ直ぐ北上でしたが)、左折して少し西に行って京阪沿いに出てから北にもう一度進みたいなと思っていました。しばらく行くと、最上町というバス停を超えたところで直進方面(北)が歩行者通行止めになったので、京阪を目指して左に曲がります。しかし、京阪の線路沿いを行く道が無かったので、しばらく西進を続けてからまた右に曲がりました。歩きやすい道を選ぶために何度か右折と左折を繰り返していると、広めの道を横断することになりました。その時私は北上していると思っていたので、そのまま真っ直ぐ行こうとしましたが、仲間は「今東に進んでいるのではないか」と指摘します。そんなはずは無いと思い、そのまま北上を提案しますが、少し進んだ後に「やはり左に曲がるべきだ」と指摘されました。私も疲れていたので、「進む方角を間違えてしまったのか、皆が言うならそうだろう、そんなへまをやらかして申し訳ない」と平謝りしながら左折しました。
ただ、先程の場面、私は実は北上していました。なぜ意見のズレが起きたか。それは広めの道を渡る際にあった案内標識にヒントがあります。案内標識には烏丸五条の文字がありましたが、この時は左折方向が烏丸五条と書いてありました。たしかに、その地点から見て北西方向に烏丸五条はあるので左折方向というのは正しいです(しかもそちらの方が広い道なので)。
しかし、この標識を見て「最初に見た標識に基づいて考えると、烏丸五条は北にあるはずだから左に曲がった方が北だ」と考えるのも無理はありません。仲間はそう考えてしまったので左に曲がることを主張しました。しかし実際の左折は西進です。結果、近鉄の手前まで西に進むことになったのです。
「やっぱり道合ってたんかい、もっと自分の正しさを主張すればよかった」とも思いましたが、「これはもう仕方ない、誰を責めるわけにもいかないし最初に西に動こうとした自分に責任がある。」と考えを改めました。起きてしまったことは戻らないので、少々遠回りにはなりますが歩き続きます。
これを「烏丸五条トラップ」と呼びます。来年以降、南に飛ばされる参加者は気をつけてください。
帰寮達成の瞬間
最後の方は頻繁に休憩をとりました。鴨川沿いが意外と長く感じました。いつも自転車を飛ばす道も、歩けばこんなに時間がかかるのかと思いました。そして、遂にその時が……
0時に南山城村を出発し、そこからちょうど20時間ほど、ついに熊野寮に辿り着きました。感動の瞬間でした。前回よりもかなりたくさんの休憩をとったこともあり、あまり脚は痛くありませんでした。しかし、あまりの寒さと空腹で限界を迎えていました。
2年ぶりのエクストリーム帰寮は非常に充実感に満ち溢れていました。終了後、約束通り百万遍のJKでハンバーグを奢りました。1日ぶりのあったかいご飯。信じられないほど美味しかったです。
ご飯を食べながら、ふと思いました。「就活で出会った人と初めてプライベートで関わったのがエクストリーム帰寮って、なんやねん!」普通はある程度仲の良い人と行くはずです。他の遊びでなく、よりによってエク帰、しかも会うの半年ぶりやんけ。その状況があまりにも面白すぎました。
私はよく、飲み会で乾杯の音頭をとらせていただくのですが、その時によくこんなことを言います。
「とてもとても果てしなく広い宇宙の中で、たまたま生物が存在する地球が誕生し、46億年という地球の歴史の中でたまたま同じ世代に生まれ、無数の生物がいる中でたまたま人間として生まれ、多くの国がある中でたまたま同じこの日本という国に生まれ、その中でたまたま出会い、関わり、さらに仲良くなる。今皆と時間を共有できているのは運命以外の何ものでもないです。みんなありがとう、乾杯!!」
長すぎて途中で切られることが多いのですが、結構割と本心だったりします。人生、どんな出会いがあるか分からない。出会った人との縁は大切にしたい。そんなことを改めて実感し、社会人としてもそのマインドは大切にしていきたいと思ったエクストリーム帰寮でした。主催者やドライバーの方をはじめとしたエクストリーム帰寮関係者の皆様、本当にありがとうございました。
偶然を引き寄せよう
人生、人との出会いのほかにも本当に様々な偶然があります。もちろん、良い偶然もあれば悪い偶然もあります。できれば良い偶然を引き寄せたいものです。
この記事は12月23日から24日あたりに公表されます。皆さん、この時期に引き寄せたい偶然は何がありますか?何がありま、すか……?何がアリマ、ARIMA、有馬、、、有馬!?!?!?そうですね、有馬記念ですよね。偶然でも良いから的中させたいですよね。うん。
というわけでここからは有馬記念の予想について書いていこうと思います。よろしくお願いします。
今年の出走馬
1 ソールオリエンス 川田
今年の皐月賞馬。中山では3戦全て2着以内。前走の菊花賞は1番人気に支持されたが3着。右回りのコーナリングは不得手だが、爆発的な末脚が魅力。今回、日本人トップジョッキーの川田騎手が騎乗。
2 シャフリヤール 松山
一昨年のダービー馬。中山競馬場は初めて。前走はアメリカのBCターフで欧米の一流芝馬相手に3着と好走。鞍上は松山騎手。香港ヴァーズに出走予定だったが心電図に軽い異常がみられたとされ除外に。
3 ホウオウエミーズ 田辺
前走福島記念で重賞初制覇。小回りコースが得意な6歳牝馬。賞金順は16番目での滑り込み出走。初めてのG1挑戦、持ち前のコーナーでの加速力であっと言わせるか。
4 タイトルホルダー 横山和
菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念とG1を3勝している名馬はこの有馬記念がラストラン。過去2年は5、9着だがいずれも外枠からの成績。今回は待望の内枠。3度目の正直で有終の美を飾るか。
5 ドウデュース 武豊
昨年のダービー馬。今年の秋は天皇賞の直前に武豊騎手が怪我し、戸崎騎手に乗り替わり。休み明けも影響したか7着に終わった。前走ジャパンカップは4着。今回、京都記念以来に武豊騎手と共にレースに挑む。
6 ディープボンド マーカンド
G1で2着が4度ある善戦マン。プボの愛称で人気。一昨年のこのレースではインコースをうまく立ち回って2着。年齢的にも悲願のG1制覇は今回がラストチャンスか。鞍上は短期免許の外国人騎手、T.マーカンド。
7 アイアンバローズ 石橋脩
長距離重賞で活躍するこの馬。高い先行力でレースの行方を握る。今回は逃げ馬のタイトルホルダーがいる中でどう立ち回るか注目される。先日はありがとうございました。
8 ライラック 戸崎
同枠のアイアンバローズと同じくオルフェーヴル産駒。前走はエリザベス女王杯で上がり最速の脚を使うも4着。昨年の阪神2200のエリザベス女王杯で2着に入るなど、内回りコースには適性あり。一発を狙う。
9 ヒートオンビート 坂井
重賞で勝ちきれなかったが、今年の目黒記念で重賞初制覇。前走のアルゼンチン共和国杯は3着。今回は昨年の春の天皇賞(4着)以来のG1挑戦となる。若手のホープ、坂井騎手とは初コンビ。
10 ジャスティンパレス 横山武
今年、春の天皇賞で初のG1制覇。宝塚記念3着、前走秋の天皇賞2着と、古馬になってから幅広い適性を見せている。鞍上の横山武騎手はコンビを組んで2戦目。他の人気馬が不利な外枠を引く中、好枠に入る。
11 ハーパー 岩田望
今年、桜花賞4着、オークス2着、秋華賞3着、前走のエリザベス女王杯3着と、善戦するも勝ちきれない頑張り屋。今回は一気に格上の相手と戦うことになるが、ここでも善戦ウーマンぶりを発揮するか。
12 ウインマリリン モリス
今回がラストランの中山巧者。前走はアメリカのBCフィリー&メアターフで4着。凱旋門賞騎手のモリス騎手と共に、前々で立ち回って穴を開けることはできるか。
13 タスティエーラ ムーア
今年のダービー馬。皐月賞2着前走菊花賞2着とクラシックはオール連対、安定感がある。今回は鞍上に世界の名手ライアン・ムーアを配し、本気度を見せる。先行馬には若干不利な枠だがどう出るか。
14 プラダリア ムルザバエフ
前走京都大賞典で初の重賞制覇。阪神や中京の重賞でも3着があり、幅広い適性を見せる。今回は相手が一気に強化されるが、夏の宝塚記念ではイクイノックスと0.4秒差の6着。左右の人気馬を見ながらどんなレースをするか。
15 スルーセブンシーズ 池添
前走は凱旋門賞で後方から追い込み4着。宝塚記念では10番人気という低評価ながらイクイノックスをクビ差まで追いつめた。5歳にして成長著しいが、まさかのピンク帽。有馬記念を4勝している池添騎手はどうするか。
16 スターズオンアース ルメール
生涯全て3着以内の二冠牝馬。この秋は爪の不安で秋の天皇賞を回避したが、状態が整い切らない中でのジャパンカップで3着。想定オッズは1番人気だったが、1度も3着以内が無い16番ゲートを引いてしまった。
どんな展開になる?
・歴史上の有馬記念でも類をみないほどの大混戦。10倍を切るオッズになりそうなのは、ソールオリエンス、タイトルホルダー、ドウデュース、ジャスティンパレス、タスティエーラ、スルーセブンシーズ、スターズオンアースの7頭。
・今年は例年にない高速馬場、こういう年は内・前が有利か。
・タイトルホルダーが逃げるだろうが、アイアンバローズが逃げるにしてもそこまでハイペースにはならないはず。前半1000m60秒から61秒台で流れ、ラスト1000mからペースが上がりそう。
・先行するのは6,9,11,12,13、14あたりか。1,2,3の内枠勢もスタート次第で先行しそう。10は真ん中か少し前ぐらいで進めるはず。5,8,15,16は後ろからか。
予想
◎ジャスティンパレス
昨年は対抗に指名しました。今年は初戦の阪神大賞典で+16㎏で出走し、快勝。成長を感じました。春天を勝ち、宝塚はムチを落としながら僅差の3着。天皇賞は展開向いたとはいえ状態が上がらない中で2着。宝塚をこなせているなら中山内回りもいけるはず。中山得意な鞍上がエスコートしてくれます。昨年は7着でしたが大雪の影響で輸送に時間がかかったことや展開が向かなかったこと、菊花賞の疲れなど、いくらでも理由は見つけられます。今回は状態良し。馬場も合うでしょう。
〇タスティエーラ
今年のダービー馬ですが、むしろ評価したいのは2着だった皐月賞の内容。超ハイペースの中、1頭だけ先行して粘りこみました。中山2500に必要なタフさとパワーを感じました。この秋2戦目とローテも悪くありません。ただ、枠が少し気になります。
▲ソールオリエンス
騎手を考えるとこの枠ならある程度前に行くと思います。ダービーも菊花賞も後ろすぎる位置、遅すぎる仕掛けから前に届かなかったことを考えるとプラス材料のように思えます。右回りのコーナリングが不得手で外に膨れる癖がありますが、馬群内に入ることで矯正されないでしょうか。
△ライラック
この馬も成長著しいです。意欲的に調教を重ねていますし、馬体重がプラスなら厚めにいきたいところ。戸崎騎手が踏み遅れなければ、後ろから届くかもしれません。馬場傾向も見ながらいきたいですね。
△シャフリヤール
ダービー馬、もしかしたら舐められすぎかも。前走のBCターフで小回りもこなせることが分かったし、右回りの毎日杯も勝っている。松山騎手も中山が得意。抑えて損はないと思います。
△ウインマリリン
この馬、今回がラストランですが冬も中山も大得意で調教はとてもいい。枠が外目なのが残念ですが、スタートを決めて前々で運べればあっと言わせる展開もあり得ます。
△ホウオウエミーズ
さすがに実力的には厳しいですが、調教血統枠順コース鞍上良し。田辺騎手が内前で立ち回ってくれれば、3着くらいならあるかも……それくらい馬場傾向が極端な気がします。一応。
馬場傾向を踏まえ、8枠は来たらごめんなさいで切ることにしました。スルーセブンシーズは少し怖いです。スターズオンアースは府中でこその馬。いくらルメールでも中山では厳しい。スターズオンアースが勝つようなことがあればクリスマスイブの京都駅大階段で中島みゆきの地上の星を熱唱します。ドウデュース、タイトルホルダー、ディープボンドあたりはピークが過ぎていると判断。他の穴馬も気になりますが、枠や脚質を考慮し今回は見送った次第です。
3連複
1-10-13
3連単
10→1→2,3,8,12
10→2,3,8,12→1
10→13→2,3,8,12
10→2,3,8,12→13
当日の馬場や馬体重、パドック等で変更はありますが、これで勝負したいと思います。皆さんも、良き”偶然”を!!
ありがとうございました。