コロコロコミックNo.559(2024)
方向性に行き詰まったとき、なにか新しいものに気が付きたいとき、私は自分の〝原点〟に愚直に立ち返ってみることを心がけている。
私の原点のひとつは月刊コロコロコミックである。久しぶりに11月号を購入した。これは小学生以下の男子児童向けのマンガ雑誌であり、玩具販促マンガが数多く載っている雑誌でもある。一方、単なるエンタメとしてだけではなく、数十年後に日本語圏で重要な権限を握る層に対する働きかけをおこなっているメディアとも捉えることができるだろう。
運命の巻戻士(まきもどし)
ゲーム「8番出口」のようなループ設定に巻き込まれる主人公たち。状況説明としては通路がループしているというものなのだが、それを音楽アプリのループ再生に例えるところが私には斬新だった。当然と言えば当然だが、カセットテープやビデオテープ、フィルムの端と端とをつなぎ合わせるという発想や比喩をまったく使ってない。
BEYBLADE X
ベーゴマ漫画。ベーゴマ(ベイブレード)の裏プロたちが世界征服を企んでいるので主人公たちに協力を頼み込むおじさん。しかし「いやいやいやベイ〔ブレード〕で世界征服って…。」「コロコロコミックじゃないんだから」「秘密主義とかで本当の理由は話せないんです? それならそうと言ってくれれば…。」とドン引き&フォローするシーンが現代感ある。
ゲーマーが妖怪退治やってみた!
全体的に文字が多いがだいじょうぶなのか。
【公式】読むスイカゲーム
そもそもストーリー性のないスイカゲームをどうやってマンガに落とし込むのかが課題。今回はハロウィンネタを使った。小田急の社内テレビで出てくる卵形のキャラクタみたいな風味はある。
ぶっとバード
鳥たちの野球大会。「知識は力」と称する物知り顔のフクロウキャラがボケまくるという内容。ネタが成立するかどうかは、読者の知識体系に依存する。
まんがで!にゃんこ大戦争
そもそも「にゃんこ大戦争」はかなり昔のコンテンツのイメージがあったので掲載されているのが意外。
サブスクがテーマだが、そもそも「サブスク」概念の説明から始まって、サブスクの乱用に至るスピード感が激しい。
ベベベベベイビー
クレヨンしんちゃんよろしく、子供の方が大人より良識がある設定。
ケシカスくん
そもそも現代においても消しゴムを学校に持ち込んで小学生たちは遊んでいるのだろうか?
ブラックチャンネル
YouTuber動画クリエイターをテーマとしたマンガ。今回はドラえもんに酷似した人工知能ロボットが登場し、いつもの主人公の相棒を押しのけて仲良くなるが、最終的にはとんでもない陰謀が隠されていたことが発覚するという人工知能の脅威を描いたようでいて、後半のドラえもんとあまりテーマ性は変わらないというか回帰しているような感じがする。
デカ杉デッカくん
算数の文章題の不条理さを教えてくれる。自然言語によって文章に書かれたことをどのように解釈すべきかには大きな選択の余地がある。
星のカービィ
でんじゃらすじーさんに影響受け杉。
ウルトラリーグストーリーズ
「ウルトラリーガー」とはウルトラマンカードゲームを通じておたがいを高めあう仲間たちのこと……だそうなのだが、一体何を高め合うのか。
我が1円くん
1円だけで話をこするのは流石に無理があると思う。新紙幣発行や同種コインは20枚までというのも事前に知ってないと伝わりにくい一方、タイムリーといえばタイムリーだ。
なんと!でんぢゃらすじーさん
じーさんの顔にめり込む絵のシュールさが絶品。
担忍のシノブ先生
巨乳+学園モノ+忍者。
まいぜんシスターズ
きのこ顔芸ネタ。
コスモVS!
ギャグ落ちで打ち切り。無念。
つぶグミ
そもそもグミをテーマにした(グミの販促を目的とした)マンガというのが史上初だと思う。
漆黒のハリネズミ シャドウ・ザ・ヘッジホッグ
作者はアメコミが書きたかったタイプっぽい。この雑誌のなかでは最も真面目なストーリー漫画かもしれない。
にじさんじ
YouTuberのコミック化も当然のようにされている。今回はシャイニングネタである。
オレだけはマトモくん
衝撃のラスト。
ダダサバイバー
作者のクリストファー・アイゼンフィールド先生の素性が残念ながら一番気になる。マンガの書き方も教えてくれる。
スプラトゥーン バンカラ!
真面目なゲームマンガ。今回はチーム結成と新たなる脅威の予感を描く。
スーパーマリオくん
私が現役で読んでいる頃から連載している作品。連載34周年。なんでも食べる「ガシガシ」というキャラを軸にしているが、かなりカービィとカブる。
デュエル・マスターズWIN
しゃくれアゴが気になって話が頭に入ってこない。
ブタメン
駄菓子のブタメンを漫画化するのもかなりの暴挙である。しかもその後ろにこっそりオモコロチャンネルの特集が組まれている。
カードファイト!!ヴァンガード スカイライド
普通にカードゲームしているが満身創痍。
マインクラフト
マインクラフトの角張ったキャラを敢えて手書きで書いているのが却ってシュールである。麻雀マンガにおける手書きの麻雀牌並みの作画カロリーを感じる。背景などは明らかにマインクラフトそのまま流用しているようなのだが……。
あくまっこピルケ
絵柄をみて、どうみてもちいか●のパクりではないかという疑念が晴れない。
(2,105字, [2024年11月5日 20:56])