In a snowy landscape
写真集の撮影、二日目。
昨夜の撮影は雪が降りしきる中、求めていた月光が満足いくほど差し込むことはなく、人工の光での撮影となりました。
それでも、僕が好きなテイストで撮れたので満足度は高かったんです。
でも、どうしても「月明かりのみで撮りたい」というカメラマンの太輔さんの強い想いに僕も共感していて、今日のラストチャンスに賭けることにしました。
相変わらず天気予報はずっと曇りのまま。
降水確率もそれなりに高い数字をキープしつつだったので、ほんの僅かな時間でも、雲の切れ間から!という願をかけながら、夜を待ちました。
そして夜がやって来ました。
僕たちは目を疑うような宇宙(そら)を目の当たりにしました。
圧倒的な光を放つ月が、星を従えて僕たちの前に現れました。
そして、ただの満月ではなく、まわりには白く輝く明るい輪。
これは月暈(つきがさ、げつうん)などと呼ばれる大気光学現象で、雲を作っている氷の結晶(氷晶)がプリズムの働きをし、月からの光が氷晶の中を通り抜ける際に屈折して発生するんだそうです。
北海道は僕にどれだけの美しい世界を魅せてくれるのだろうか。
まだまだあるんだぞ。
お前に少しずつ見せてやろう。
ほら、これはどうだ?と一つ一つに感嘆の声をあげる僕を見て楽しんでいる様に感じます。
そして
この素敵なオフショット達は全てPの股張さんが撮って下さいました。
本編の写真は僕しか写ってないけど、このオフショットにはカメラマンの太輔さんが写っていて、背景には月と北海道の大地があって。これが僕の中では一つの芸術だと思うんです。
そんな僕たちが撮影している間、車の中で待っていればいいのに、ずっと外で僕たちの帰りを待ってくれていたPの股張さんとヘアメイクの塩崎さん。「全然車の中で待っていてくださいよ!」と思うものの、そういうところが素敵だなぁとも思いました。待ってるのって一番寒いんですよ。なのに、ね。
効率とか経済性とかを度外視した撮影でした。
そんなことってなかなかできないんです。
東京のスタジオでカッコいい服を着て、カッコいいメイクをしてもらって。
それも良いと思います。
だけど、僕たちは僕たちにしかできない芸術を好きなようにやらせて頂きました。
その上こんな奇跡的な瞬間にも巡り会えて。
感謝の気持ちしかないです。
僕にこんな美しい世界を見せてくれて、
心からありがとうございました。
写真集を出す以上、沢山の方に見て頂きたいです。
写真集のテーマは『月』。
僕はこの写真集は月の力のお裾分けだと思っています。
どうか、手にとって月光を感じてください。
僕たちの祈りがそこには映っているはずです。