対。
北海道で撮影してきた映画の全データが入ったSSD(メモリドライブ)。
突如、PCが認識しなくなった。
ま?
この時の焦り様は、筆舌に尽くし難い。
様々調べました
結果、回線やPCの問題ではない事は確実だった。
つまり、SSD側が何らかの理由で
『壊れている』
と。
要は、全部ふっ飛んだってことです。
バックアップ取っておきましょうよ。
というのは正論ですが、バックアップ取るにも容量が大きくてもう自宅のSSDもHDDも全部パンパンで。
要らないファイルを消して容量を空けるなどのデータ整理の時間が、年末年始の怒涛の日々のうちに作れない間に壊れてしまったのです。
『壊れた』は
大別すると『物理障害』と『論理障害』という二つに分かれるらしい。
物理障害は、落下したり水没したり物理的に壊れている状態。
"論理障害とは、SSD内部のファイルシステム障害や誤操作によって読み書きができなくなる状態を指します。内部データの不具合でデータが消えてしまったり、誤ってデータの削除やフォーマットを行ってしまったりした場合に発生することが多い。また、データの読み書き中に機器の電源を落としてしまい、読み書き作業が中断された結果、ファイルやドライブを認識できなくなるというケースもある"
とのこと。
前日は何の問題もなく動いてくれていて、置いてあった位置からミリもSSDを動かしていないので物理障害であるはずがなく、そもそもこのSSDは衝撃耐性が強い方だ。
と言う事でほぼほぼ論理障害が確定したので、ネット上に落ちているあらゆる情報を拾い、どうやったら復活できるか。僕にできるベストを尽くした。本当に、あらゆる方法を検討した。でも
『下手に触ると悪化する』
という一文が、僕を殺した。
ここクリックしたら、復活するかもしれん。
けど、これで悪化したら取り返しがつかん。
どうする。
無理せず業者に頼め。
と皆は言うでしょう。
でも、実際この状況になったらマジで迷います。
そんなに悪い状態じゃないはずだから、なんとかできる可能性はある。
けどその保証はないし悪化して消えたら死ぬ。
けど業者のデータ復旧はかなり高額だ。
簡単にぼったくられても言い返しようもないから泣き寝入り決定だ。
もう一回北海道行くか?
と、頭をよぎりました。
けど
キャストやクルーや協力して下さった沢山の方々の顔が浮かびました。
そしたら、選択肢は自ずと一つしかありませんでした。
目の前のSSDを撫でながら
業者行き決定の決断をしました。
気持ちを切り替え、
あらゆるデータ復旧会社の口コミなどを調べてみたら、恐ろしい情報が出てきた。
『業者にSSDを渡した瞬間、人質を取られたと思え』
高額請求され、断った場合、さらに壊されて返ってくるかもしれない。壊されたとしても、それを検証する術はどこにもない。
価格は20万〜50万を覚悟して・・・
Go to hell, return to hell.
進むも地獄
退くも地獄。
多少高額の請求をされたとしても仕方ない、と思い、業界シェアトップのデータ復旧会社に連絡をしました。
すると、電話口での対応が、どうしても僕達の大切なデータを扱う者としてふさわしいとは感じられませんでした。それでも迷いました。どれだけ対応が悪くても、データを返してくれるなら、神だ。
でも、その神様は信用できなかった。
兼ねてより親交を深めていたPC関連に詳しい友人が居て、彼とはご飯友達だったのですが、藁にもすがる思いで相談してみたらデータ復旧の事業もしているというので、神が現れた!と思い命を託すつもりで彼にお願いしました。
まさに
捨てる神あれば拾う神あり。
業界標準と照らし合わせると随分リーズナブルな価格で請け負ってくれた。
それでも決して安いものでは無かった。
友達だから。だから、ちゃんと支払いたかった。データ復旧できないリスクを背負ってやってくれたのだから。
そして数日後、彼から連絡が入った。
「データは残っている。多分引っ張り出せそうだ」
なんか泣けてくる。
数日後
僕の元に、
クローンと共に
双子になって帰って来てくれた。
駄目になった本体と、新しく生まれ変わったクローン。
もしクローンが駄目だった場合、本体からまたクローンを生み出せるのだそうだ。
どちらも、無くてはならない存在なんだね。
これも
対。
実はこの後もまたクローンがバグってデータが消え始めたりとかなり紆余曲折があり僕の戦いは泥沼化していたのですが
NASに移行した事で一旦の終結を迎えました。
復旧したデータを再生して
人知れず泣きました。
『莉の対』は僕に沢山の事を教えてくれる。
色々失敗するつもりでスタートしました。
沢山失敗があったけど、全部、ギリギリのところで何とかなってきた。
失敗と成功もまた、
一つの対なんだと。