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僕の仕事
舞台、初日の幕が開きました。
始まるとあっという間ですが、一瞬一瞬が愛おしく
舞台上にいる時間も
袖でみんなのお芝居の声を聞いている時間も
その全てがあたたかくて。
いい初日、になりました。
今回は座長、というポジションではありますが
何も意識していることはありません。というよりも、何も気負わないでやれる環境をキャストの皆さんや、スタッフの皆さんが作ってくれています。これにはもう本当に感謝しかありませんね。
僕が山本という役の延長としてこの座組に存在しているだけで、皆さんが盛り上げてくれます。優しく接してくれます。笑顔をくれます。頑張ろう!って思わせてくれます。
キャスト全員、一人一人と絡むシーンがありますが
その全部が、最高に愛おしくて
一人一人の優しさが全部、僕の心に真綿のようにふんわりと蓄積されていくんです。
人の優しさに触れた時が、一番素直になれる瞬間かもしれませんね。
体にまとわりついているドロドロしたものが剥がれ落ちていく感じです。
そして、応援して下さっている皆様が観にきてくれた事、本当に嬉しかったです。
僕の「観にきて下さい」を信じて観に来てくれた事に
ありがとうございます。なんです。
今回の舞台(『草のバッキャロー』)は、もうお芝居を観てほしいとか、作品を観てほしいとか、ちょっとだけそれらを超越してるかな。
受けとってね、って。
今日はね、5年ぶりに両親が和歌山から出てきてくれました。
5年ぶりにお芝居観に来てって誘う事ができました。
二人とももうすぐ70歳になります。
田舎から出てきて、東京の見知らぬ街を歩き回るには、もうそろそろ難しいなと感じていました。
だから、「観にきて欲しい」って思わせてくれた事も、ありがとうございます。です。
親にはね、「沢山の方から応援してもらってるんだよ」っていう事自慢したいんですよ。
数は大した事ないかもしれないけど、それでも僕が俳優になって十数年の間で築いていったファンの皆さんとの大切な関係ですから、胸を張って自慢できる事なんです。
親に観てもらった初日、
満席にする事はできなかったけど、僕の心は満席でした。
公演が終わって2時間くらいかな。ゆっくりと両親と話しました。
お芝居の事や、会社の事、お兄ちゃんや姉ちゃんの事、甥っ子たちの話。
気恥ずかしい気持ちもあったけど、今だから落ち着いて話せることも多いです。
正直、自分を良く見せようとしている自分もいました。というか、親を喜ばせたいというか。けど、言葉じゃなくて、行動で示していかないといけませんね。
5年ぶり。
お母さんはいつも通り元気で安心しました。
お父さんも、髪の毛は真っ白になってたけど、元気そうで良かった。
僕が会社を作るって言った時、お父さんから反対されました。
あれから喧嘩したままで。
今日なんて言われるんだろうって思ってたけど
スッとこれを出して
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おめでとう。って。
もうね。
僕が親に期待する事はないんです。
なるべく健康で元気でいて下さい。それくらいなんです。
それでも
「頑張れよ」って言ってもらえると
嬉しいんです。
僕が二人に予約しておいたホテルが
「ちょっと狭かったなぁ」
だったらしいので、
次はもっと広い部屋を取ってあげようと思いました。
明日も
真心を込めて
お芝居をお届けしたいなと思います。
それが、僕の仕事です。