ゲーム制作サービス『ツクローアドベンチャー2』(ツクアド2)の思い出話など
はじめに
アルクスです。
WWAというゲーム制作サービスで普段はゲーム作りを行っておりますが、今回はそちらとは別のネタで記事を書きます。
ツクローアドベンチャー(ツクアド)とは
『シフトアップネット』という無料ゲームサイトで当時公開されていたFlashゲームと同じ基盤を用いて、ユーザーが自由にゲームを作ることができるサービスでした。(現在はもう作れません。何せ、Flashの時代のものなので……)
今回はそちらについての記事となります。
WWAとの比較
ぶっちゃけてしまえば、何もかもが別。
文字でダラダラ説明するより、公式が作ったサンプルゲームの動画も見ておくとイメージしやすそうなので置いておきます。
図解としては、こんな感じでしょうか?
丼物とピザくらいの違いはあると思います。
『デビルスローン』の後ろ向きな話
ここでやるべきか悩みはしたものの、今回の記事ではツクアド2の話をしたので、シフトアップネット公式側で配布されたオープンソースRPG『デビルスローン』の話もしておきましょう。
で、このデビルスローンについてはtogetterで10年以上前に1つのまとめ記事が作られています。
上記の記事内容を勝手に要約するとこんな感じ。
オープンソースで作品を公開して改造してもらう図式は失敗している。
例として、ツクアド2(説明略)では「自由に改造して使ってね!」と、前述の『デビルスローン』のスクリプトが配布された。
その結果、当時の子供達がサイト内で改造デビルスローンを投稿。しかし、その作品数が多すぎて、新着作品欄を連日覆い尽くす事態に。
(『ゾンビスローン』と喩えられいる)つまり、作品をオープンソースで公開すると、そのクローンが津波のように押し寄せ、創作性のあるゲームを探しにくくなるということである。
この件についての言及をTwitterで漁ると出てくる意見としては
悲劇っていうほど悲劇じゃない
検索や評価など、システム運用の問題じゃねーの
といった具合。特におかしい意見だとは思いませんが、当時ツクアドの新作欄を眺めていた人間の立場からするとそれなりに『悲劇』でしたね。
システム面については最初から最後まで『ゾンビスローン』が対策されることはなく、当時の利用者視点だと救いはなかったのでね……。
デビルスローンの改造作品、本当にたくさんありました。
オリジナル版にいない仲間たち&馬車や酒場でのPT編成、アイテム合成機能が登場、モンスターが仲間になる……みたいな創作的な追加要素を持つ派生作品はない。例えば……
強くてニューゲーム、簡単にレベルが上がる、終盤まで使えないものが序盤から使えるなど、いわゆるイージー版orチート仕様。
以下のようなものが異なっている
主人公や仲間キャラクターのデフォルトネーム
主人公や仲間キャラクター、モンスターのアイコン
自分で用意した画像も使えたので、版権物の画像がぶち込まれる事例も当然ありました。まともに透過されていないのはご愛嬌……。
主人公や仲間キャラ、モンスターのステータス
地名やアイテム、魔法、モンスターなどの名前
BGMや効果音
ダメージ計算式
アイテムのステータス補正値、魔法の消費MP
NPCのセリフなど、細かいテキスト
大抵はこういった要素が何個か散りばめられたもの。とにかくひどい場合はタイトルが違うだけで中身は完全無改造のデビルスローン!なんてことも。
誤解のないように触れておくと、改造度の低い作品が罪だというわけではありません。独創的な作品づくりの第一歩としてそういう作品を作り、投稿すること自体は何も悪いことではないと思います。
WWA界隈でも、デフォルトの『ファンタジーアイランド2』や『ケーブダンジョン』を改造した作品を作ったことがあるという方は決して少なくはないでしょう。(そういった作品を実際に公開したか否かはさておき)
ただ、この悲劇については問題点がもう1つあり……それは
『デビルスローンの改造作品を一人で何作品も投稿する人がいた。』
というもの。つまり……
『少しだけした改造デビスロ』→『その学びを活かしたオリジナルの作品』のようなステップアップが喜ばしいところですが、
『少し改造デビスロ』→『少し改造デビスロ』→『少し改造デビスロ』→『少し改造デビスロ』→『少し改造デビスロ』→『少し改造デビスロ』→略
のような感じで「まるで成長していない……」という粗製乱造行為を行っている方の存在で『ゾンビスローン』現象はより厄介になっていたのです。
ちなみに、『ツクローアドベンチャー2』の始動は2006年8月1日で『デビルスローン』のスクリプト公開が2006年12月17日。
今亡きユーザーマイページ(ツクアド2と連動していたmixi風SNS)が止まったのが2008年3~4月前後だったと記憶しているので、1年以上はそんな感じでした。
『デビルスローン』の前向きな話
アレに結構な文字数を使ってしまったので、しっかりと前向きな話も。
デビルスローンについてはFlashゲームでしたが、一応まだ生きています。
色々な方が作られていた作品群については2014年のサーバーHDD破損の悲劇と共に消えてしまいましたが、デビルスローンなど公式制のツクロー作品についてはスクリプトが残っていました。そのため、Flash系作品が終わった今でもRuffle版に移植した形で遊ぶことはできます。
(※フォントサイズなど、一部でRuffleがうまく再現できていない部分はありますがゲーム自体は遊べます。)
また、当時改造作品によって物議を醸した『デビルスローン』のスクリプトについては今でも閲覧することができます。
https://cosmo.deci.jp/shiftup/flash/game/battle.txt
コンパイラがもう存在しないので今では改造して遊ぶ楽しみ方はできませんが、こんな風に作られていたんだな~と眺めることはできます。
ちなみに、デビルスローンについては主人公のデフォルトネームは『勇者』という味気ないものです。
オリジナル版のデビルスローンをプレイした際、私は何かしら独自の名前を考えてあげようと思い、当時主人公につけた名前が『アルクス』でした。
この名前は紆余曲折を経て現在の自身のハンドルネームになっておりますが、原点はこの作品で適当に付けた名前です。
終わりに
ゲーム制作用のツールという観点ではお世辞にも長命とは言えなかったツクローアドベンチャーですが、当時は面白いゲームや続きが気になるシナリオモノの新作など、色々な新作ゲームを日々楽しみに過ごしておりました。
『ゾンビスローン』問題には憤ったりしたものの、中にはこれの影響でプログラミングやゲーム制作に興味を持たれた方も少なくはないはず。
当時ツクアド2で作品を公開されていた方々や、作品を出すことはなくともユーザーマイページ(連動型SNS)で作品の感想を書いたり、日常的な話をしていた方々。今はどこで何をされていることでしょうか……。
noteで検索をかけても『ツクローアドベンチャー』や『ツクアド2』の話をされている記事はほぼ見当たりませんでしたが、とある企業の4年前の記事では『昔ツクローアドベンチャーでゲームを作った元小学生』の方の存在を確認することができました。
今後もツクローアドベンチャーについての記事を書く方がいたら、定期的に探して読みに行くと思います。
他の方々も仕事にする/しないはともかく、ゲーム制作やプログラミングといった分野が好きなままでいてほしいなと考えながら、筆を置く。