大学院生の生活費 ~奨学金をもらおう~
しばらく、院生の知られざる(そして、だいたい予想どおりの)金銭的な実態について見ていくことにします。
今回は奨学金についてです。
ストレートで大学院の博士前期課程に入学した場合、年齢は22-23歳です。
同級生の手取りは、月額で12-18万円くらいが平均でしょうか。
しかし、M1でこれと同額(ボーナスを考えない)を確保すること自体は、そんなに難しいことではありません。
ただし、授業や自分の研究に差し障る可能性は大です。
その半額くらいをめどとするのが良いでしょう。
1.初年次限定募集の奨学金
大学(学部)の1年生も同様ですが、入学初年度のみ募集する、というタイプの奨学金があります。
年額で20-30万円程度のものや、月額5万円くらいのなど、様々です。
「××学関連のものに限る」という限定のあるものもありますが、そうでないものもあります。
こういった情報は、前年度の終わりくらいから事務部の掲示板などに貼り出されます。
大学院進学を決めたら、前年度のうちに軽く確認しておくのが良いでしょう。
また、そろそろ大学院の前期入試が始まっているところもあるでしょうから、合格が決まったら、事務の担当部署に前年度の募集について尋ねるのも手だと思います。
少額のものは貸与ではなく給付(返還不要)とするものが多いようです。
2.年度の頭に募集する奨学金
学年を限定せずに募集する奨学金としては、やはり学生支援機構(旧・日本育英会)のものがメジャーでしょう。
入学してから申し込むものもありますが、状況が許すならば前年度のうちからの募集である「予約採用」を考えましょう。
学生支援機構の奨学金は、一種(無利子)・二種(有利子)ともに、返還を前提としています。
平成16年までは、大学院の一種で採用されていたひとのうち、教育機関で常勤職を得ていた場合に限り、返還が免除されていました。
それに替わるものといえるかもしれませんが、「特に優れた業績による返還免除」という制度があります。
これは、大学院の推薦と機構の審査を経て、返還が免除されるものです。
平成21年度の場合、全体(一種採用者のみ)の約30%がなんらかの免除を受けています。
3.大学が募集する奨学金
歴史のある私立大学などでよく見られますが、その大学の学生のみを対象とする奨学金制度があります。
例えば、慶応大学には「慶應義塾大学大学院奨学金」という、そのままの名称の奨学金(給付)の案内がサイトで掲示されています。
この慶応大学のものもそうですが、だいたいは年額が決まっていて、貸与ではなく給付のものが多いように思われます。
さらに、家計が急変したときにのみ対応する奨学金もあります。
奨学金をもらうつもりのないひとも、「自分には、奨学金は関係ない」と思い込まずに、転ばぬ先の杖として奨学金のシステムについて知っておくことは、無駄ではないと思いますよ。