授業だけじゃない!大学教員のお仕事
「大学の先生」というと、ぼんやり「授業を週に3回くらいやって、ゼミの学生の面倒をちょっと見たら、あとは自分の研究時間なんでしょ?」みたいなイメージですが、実際のところは全然ちがいます。
すでに大学院生の方はおわかりのとおり、ゼミの指導教員はかなり多忙です。が、その中身についてはよくわかりませんよね。
というわけで、授業以外に大学教員がどんな仕事をしているのか、ちょっとみてみましょう。
1.とにかく会議
聞くと、「会議のための会議をしている」というくらい、会議ばかりしています。
文科省あたりからおりてくる「余計な仕事」を片付けるために、生産性のない会議を続けていることも多々あるようです。
もちろん、それらの会議に出席することでの金銭的なメリットはほぼ皆無です。
そういったメリットがあるとしても、紐付きのお金がもらえるということで、使用が制限されたり年度内に使い切らなければならなかったりと、両手を挙げて喜べるものではありません。
しかも、与えた側は「この条件を飲むなら金をやる」という態度です。つまり、従来は別の費目で支給されていたお金が面倒な条件付きになり、かつ場合によっては競争的資金になったりしただけだったりします。
2.とにかく書類作成
エビデンスという言葉は大嫌いなのですが、とにもかくにもエビデンスの書類作成に追われているようです。
科研の応募書類、FDの報告書、学内行政に関わる様々な申請書や報告書……等々。
これらもむろん、基本的には無給です。
3.学生指導
これは、担当によって業務に濃淡があるようです。
私立の「面倒見のいい大学」なんかだと、学生の生活指導はおろか、欠席の続く学生との個人面談、単位の履修状況の芳しくない学生との三者面談(なんと、保護者まで呼び出して!)などの業務もあります。
そのほか、人文系の場合、特に、教育実習の訪問指導もあります。
研究者(=学者)の一般的なイメージとしては、「勉強はできるけど、コミュニケーション能力は低い」といったものがあるかもしれませんが、そういった、研究能力特化型のひとは、現在のアカデミック業界では歓迎されづらい状況です。
もちろん、著しく高い研究能力があったり、特殊なコネクションがあったりすれば別でしょうが。
そしてもちろん、こういった業務も基本的に無給です。ひょっとすると、教育実習の訪問指導など、学外で学生指導をする場合は、交通費+αのお手当は付くかもしれませんが、時給換算すればファストフードでバイトするのと変わらないか、もう少し安いくらいでしょう。
4.外部関係者との折衝
地方私立大学などの場合、近隣の高校や塾を訪問して、受験してもらうようにお願い行脚に出る必要もあります。
仄聞したところだと、私立大学のみならず、国立の教育機関であっても、そういった業務を担当することがあるのだとか。
こういった業務は比較的若手の教員か、年配でも人間関係の風下に立たされているひとが担当することが多いようです。
そのため、地方の教育機関の場合、採用の際に「普通運転免許の取得が必須」となっているケースもあるとか。
そのほか、高校などからの訪問授業の依頼にこたえるケースもあるようです。また、大規模大学の場合、地方の父母会が結成されていて、その父母会への出席をすることもあるのだとか。
上に示したこと以外にも、アカデミックポストなのに必ずしも「アカデミック」ではない仕事は色々とあると思います。
人文系のポストがどんどん削減されている今、仕事のえり好みをしている余裕はないですね。