今回は、人体の気が流れるとされている経絡についてです。簡単に話ができる所で頑張ってみます。 4.経絡(けいらく) 経絡は伝統鍼灸にとっては非常に重要な概念ですが、厄介なことにはっきりとした形態として確認されていません。なんせ、一連の話の主題である「気」が流れているのですから、「気」って見えますか? 1960年代に「ボンハン学説」というのが出ました。経脈に該当するボンハン管、経穴に該当するボンハン小体が見つかったという事で鍼灸分野に衝撃が走り、多くの学者が追試にあたり
2.東洋医学の気の思想について 1)素問陰陽応象大論による「気」 まず東洋医学と気の関係についてです。東洋医学の原典『黄帝内経』素問の陰陽応象大論に次のような文章があります。 原文 陰陽者.天地之道也. 萬物之綱紀.變化之父母.生殺之本始.神明之府也. 治病必求於本. 書き下し(現用の漢字にしました。) 陰陽は天地の道なり。万物の綱紀、変化の父母、生殺の本始め、神明の府なり。 意訳すると 陰陽は、天地を支配する法則である。 万物を分類・支配する大法と細則であり、万物
1.はじめに伝統的な鍼灸において最も重要とされ、強みでありながら実は最も弱みである可能性がある「気」について、老師はもやもやしています。 東洋医学の専門書では生理、病理、治療の説明の中に「気」という言葉がいっぱい出てきます。生命の原動力「原気」、健康を守り維持する力「正気」、体を病から守る「衛気」、気をめぐらせる治療法「理気」などいろいろあります。こういう文章を読んだ大半の現代人の反応は「うさんくさい」、「非科学」、「宗教みたい!」(ちがうちがう!)、「迷信!」あたりになる