ポエトリー・ナイトフライト

ネットスラム第2回コメント

浦世羊島賞を設けたので、選評は書く責任があると思う。
わたしは入沢康夫から詩に入ったにんげんなので、前衛現代詩というか、
「詩は(自己)表現ではない」という派閥?です。
自分でも、詩の中の自己はなくて、架空のわたし、として書きます。
「これが言いたいのか」などと勘違いされると、場合によっては怒ります。
別の言い方をすると、言語の「意味」ではなく、
言語では模れない無形の「意識」あるいは「無意識」の伝搬を目指す。
言葉の意味通りに受け取れば分かるなら、それはもう詩ではない。
それをわたしの言葉で「改行散文」と言います。

最優秀賞をしきさんに贈呈したのは、1本!と言いたいのが他にないから。
わたしはラップのよさなんて分からないし、
上位に上げたとしても、賞金は出さない(きっぱり)。
今回は音源状態と内容を分けて審査し、
まずフルボリュームで聞こえないとか逆にうるさいのは却下。
あと100年200年後に、時代とかご時世が分からないと??になるのも却下。
いいものは独立性・独自性を持って時代を超越して評価を受けられる。
よくわたしは「字で描く『モナ・リザ』を目指す」と言います。

前回の30?に比べて18作品と激減したせいでもないでしょうが、
「やられたあ」と思う作品が個人的に1作だったので、
優秀賞は該当なしにさせて貰いました。出す出さないで悩みましたが。
安易に受賞させると本人の為にもなりませんからね。
非常に惜しかったのはみっしゃんさんで、
内容はほぼよいかと思うものの、PCで聞いて音が遠い。
あと、厳しく言うと「意味」を越えてはいない。

しきさんは「ぼく」と言う性別転換技で、ちょっとずるい。
ただ、作品の中の「私(ぼく)」は作者ではないと思った。
所詮、言葉の生じる場所は作者の脳であるが、
いかに「自己」を隠蔽して架空化するかの勝負。
今回のわたしの作品も、
ワンダーボーイへの返事のつもりで書いたけど、
そこに作者の「私」は不在である。発言したい「自己」などない。
ここを誤解された方がおられたように感じた。

最後に、次回もネットポエトリースラムならば、賞は続行します。
わたしも金持ちじゃないけど、他を節約しても賞金は出したい。

追記:わたしはいいラッパーをあまり知らないと思う。
「ラップに賞金は出さない」は一応訂正します。
「銭が取れる」ラップを聞かせてください。



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