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特別なデザート

「あげますよ、なかなか使わないから」
 同僚から飲食時に使えるクーポンをもらった。たった200円、普段ならそのまま期限切れにしてしまうところだが今回は良いものをみつけた。

 コーヒーショップのショーケースに並んでいるワッフルたち。値段は見えないけれどたかが知れてるだろう。

「ワッフル2つ、テイクアウトで」
たったの530円、それに200円のクーポンとは申し訳ない気もしてくるが気にしないことにする。

「薬局でバニラアイス買ってきてください。半分こにして食べよう」
 既に家に向かっていると連絡してきた彼にお願いする。私よりずっと甘いものが好きな彼はこう言っても2つ買ってくるかもしれない。けど今日の私には2人でひとつで充分だ。

 夕食のあと、グリルに火をつける(うちにはトースターがない)。たった1分、縁がカリカリになるくらいまで温めたワッフルを適当に切って小鉢に盛り付ける。買ってきてくれたバニラアイスを半分ずつ上に乗せて、さらに上からいちごソースをかける。

 あったかいワッフルの上でアイスはあっという間に溶けていく。それをうまく乗せ直して手で食べる。熱さと冷たさと甘さのトリプルコンボは何故かとてもおいしい。

 買ってきたものの組み合わせだけど、なんとなく特別なデザートな日。こんな日を自分で作ることができるのが大人なのかもしれない。

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