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夢日記 0409 時間の庭

 四月の晴れた日曜日の朝。新緑の庭園。雨もすっかりあがって雲間から白い光がさしてくる。空気は澄みわたり、土と草とクスノキの匂いが層を成して流れてくる。芽吹いたばかりの透けるような若葉に水滴が煌めき、周りの芝や草花も折からの陽光を浴びて雨水を粒子に変えて大気に放ちはじめた。天上の小鳥のさえずりと芝生を駆け回るこども達の無邪気なはしゃぎ声に混じって何処からかバイオリンが奏でる旋律が聞こえる。振り返るとさっき通り過ぎてきた白い円形劇場で老人たちのアンサンブルが音合わせをしているのが見えた。ふと視線を外すと、その白い劇場の彼方に無量の水を静かに湛え銀色に輝く海があった。草の上を風がわたる。微かに潮の香りがはこばれてきた。

 私はどこからこの風景を見ていたのだろう。あれは墓参りに訪れた彼女の視線だったろうか、あるいは私自身があの若いクスノキだったのか、もしかしたらあのとき吹いていた風の中に在ったのか。

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