イエとカラダ。わたしの普通の在りどころ 朝ドラ「虎に翼」感想文(第3週)
「私の家で衣装づくりをしない?」
なるほどなあ…と感心してしまった第3週の月曜日。寅子がよねを衣装づくりのために誘うシーンだ。第2週で大きな意味での「社会」における寅子達の位置づけを描いていたので、次は個人にフォーカスする予感はしていたけれど、その前提として、それぞれの思う普通が普通ではない…てか普通って何さ?なことを描く週だった。そのアイテムに選ばれたのが、家庭と、月経。イエと、カラダ。
全体、人は生まれて以来「自分の体」以外になったことなんてない訳だし、育ってきた環境だってそれぞれ違う。なのにバラバラなはずのそれが基準となって「普通」の概念が出来上がるわけだ。自分の経験が普通じゃない、ことを知るためには、外部との比較が必要になる。
「庶民の家はどうですか」「寅ちゃんのおうちは庶民の家じゃないでしょう?」「女中さんがいる家なんて、普通でしょう?」たったこれだけで、寅子の家を基準にして互いの価値観が相違していることが浮かび上がる。
「ありふれた話だ」といって15歳で売られる世界の話をするよねだけど、それを聞く皆の顔を見るだけで、それがいかに「ありふれていない」ことなのかがわかる。一方で経済的格差に敏感で、「恵まれたおめでたいアンタら」が大嫌いな山田よねは、自分の月経がどうやら軽く、その点では実にめでたく恵まれた身体の持ち主であることには気づいていなかった。
みな、自分のこと以外、全部分かってたりなんかしないのだ。そんななかで口にする「普通」や「上下」に、どれほどの意味があるのかなあとおもう。
今週、比較合戦の対象は、曜日が進むごとに拡大していった。
「女は楽に稼げる」といったカフェーの客
「だから女は」と揶揄した学生
「現状に甘んじる奴らは愚か」と断じた山田
「優秀で強い人には分からない」といった花江
経済・身体・性別・仕事・頭の良しあし・社会的身分・味覚
これらすべてに個別性がある…はずなのに、私達はそこに勝手にマジョリティを設定し、その規格に合わないものに上下優劣をつけ、規範をのっけてルールにしてしまうのだなあ。
ところで自分的に一番えぐ…だったのは「貞操の蹂躙」を理由に七千円の賠償金が決定してた甲子さん民事訴訟でした。約束の反古じゃなくて、理由そこかい!!ってテレビに超ツッコんだよね。しかも皆納得してるし!!!いや、おかしいからね、その貞操至上主義。
第4週は、いよいよ男性側の生きづらさ、かな?ああ、数時間後が楽しみです
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