多摩中央公園は、小田急線、京王線、多摩モノレールの多摩センター駅から歩いて約5分。駅前の商業地区を抜けた先にそびえ立つ「パルテノン多摩」というパルテノン神殿を模した建造物の階段を上がった先に広がる公園だ。
駅前のレンガ畳の雰囲気から一転、青々と広がる芝生、木々、噴水を携えた水場、木漏れ日を感じられる散策路が広がり、公園ピクニックのファミリーから自転車移動する人の休憩地点といったのんびりとした時間を楽しめる憩いの場。
この公園の特徴は、多摩センターというニュータウンの代表のような場所だからこその当時の開発計画や世相を反映しているところだ。雑な表現になってしまうが、一言で言うとバブルの縮図みたいな場所。「多摩になぜパルテノン神殿?」など色々とクエスチョンマークが付くが、そんなことも気にしないで実際に作ってしまうバブルの元気さと、当時のギラギラ感が経年とともにいい具合に古びた結果、一周回って愛嬌のある公園となっている。
丘の上(階段を上がる必要あり)というアクセスの悪さから少し利用されづらいようだが、広い青々とした芝生は本当に素晴らしく、芝生の先に見えるビルやマンション群は、NYCのセントラルパークを彷彿とさせる雰囲気だ。公園を挟んで駅から逆方向には雰囲気の良いマンションや、大学、企業の研修センターなど、「暮らす」や「成長」のようなキーワードで語るには本当に良い場所に。個人的には公園を抜けた先の陸橋が心に留まった。多摩センターらしい都市開発感と高低差のある立地が作り出す開けた緑の遠景はこの土地の財産だと思う。現在は人通りの少ない橋としてのみ使われているようなので、その景色を楽しむためのベンチを置くだけでも可能性が広がるし、ガラス張りのプールや温泉があったらどんなかな、など想像が膨らむ。
多摩中央公園は2023年にかけて改修工事を進めているので、今の状態を見られるのも残り少ないのかも知れない。新しい展開も楽しみにしつつ、当時の開発を感じられる今の多摩中央公園も必見だ。