今日、久しぶりに、やっと、自分の人生の舵を自分で切りはじめることができたきがする。
誰にお願いされたわけでもなく、否定も肯定もされてもいないのに、私は誰かの人生を生きてきた。目の前のことを、見つめて、考えて、感じることを、粗末にしていた。
映画「Into the wild」の少年は、物質主義で欲に塗れた社会や政治家、両親に嫌気がさして、全財産を寄付して、現金を燃やして、車を捨ててアラスカを目指して旅に出た。キャリアは?と聞かれると「キャリアは20世紀の産物」と。ソローを引用して「愛よりも金銭よりも信心よりも名声よりも公平さよりも真理を与えてくれ」と言って、己の真理を探すべくアラスカへ。アラスカで見つけた壊れたバスを拠点に、動物を狩り、捌き、水を汲み、火を立て、植物を口にし、川の流れが早くて帰る道を阻まれたことに絶望し、野生動物の群れを追いかけ喜び、空腹のあまりに発狂し、1人で食べきれぬ大物を仕留めてしまったことを悔やみ、悲しみ、究極の自由と孤独を味わった彼は、「幸福とは誰かと共有したときに感じることができる」と、自己の体験を持って言葉の意味を思い知ったのだ。そして、毒性のある植物を間違えて口にしてしまい、バスの中で亡くなった。実話である。
私も、モノや金、人、システムに縋らず執着せず、己の問いを源とし、その解や意味を自身の身を持って探求する。意味を喪失したまま、気にしないフリをしてやり過ごすなんて、自分に嘘をつき続けて死ぬのと同じだ。極論、意味の底も虚構で何もないのかもしれない。だとしたら、底を目指すまでだ。
だから私は卒業したら気が済むまで旅に出る。まだ知らない外国を、自分の手足、目、鼻、肌、全部で知りたい。仕事はなんだっていい。人の役に立つのであれば、ローンを返済しつづけて1日1食でも食べることのできる収入があれば。今日、私の中でキャリアは死語になった。
母に決意を伝えると、南海トラフが3年以内に来るかもしれないから、日本から出て欲しいと言われた。自分だけ助かって母や犬たちを置き去りにすることなんて、最悪だ。でも、私が外国で死ぬかもしれないし、いつどこで誰が死んでも当たり前なのだ。必然だ。 だから、1日1日を、近くにいる人に愛と感謝を伝えながらいつ死んでも大丈夫なように生きなければ、と改めて痛感した。
今までの旅を通して、大切なもの、生きるとは、すでに自分の中や周辺の、手の届く範囲に存在していて、遠くに求めて探しにいくものではないと思った。だから、多くを求めず、家族と暮らすことが、「生きる」や「豊か」の原型に近いと考えている。だけど私は馬鹿だから、また、旅をするんだ。本当に馬鹿。
映画の主人公の生き様をみて、目が熱くなり心が震えた。自分の疑問や感情に忠実に毎日を生きていた。生きるという言葉の意味を、探し求めていたように見えるし、だからこそ、彼の言葉には意味があるが、私の言葉はまだ意味を持たない。
最後に、この映画の最後に流れた歌の歌詞を記しておきたい。宝物の様な言葉たちだ。
“Guaranteed - Eddie Vedder" On bended knee is no way to be free Lifting up an empty cup I ask silently That all my destinations will accept the one that's me So I can breath 地に膝をついていては 自由になんてなれはしない カラのカップを持ち上げて 静かに自分に問いかける どこに行っても自分らしくいようと 息苦しいのはごめんだから Circles they grow and they swallow people whole Half their lives they say goodnight to wive's they'll never know Got a mind full of questions and a teacher in my soul So it goes 大きな波が押し寄せ 知らぬまに人々を飲み込んでいく 彼らが家族におやすみと言って 過ごす日々の中 多くの疑問は残されたまま 俺は答えを探しに行くよ Don't come closer or I'll have to go Holding me like gravity are places that pull If ever there was someone to keep me at home It would be you あまり近づかないでくれ 重力に負けそうになってしまうから もし俺がここにとどまる理由があるとすれば それは君なんだ Everyone I come across in cages they bought They think of me and my wandering But I'm never what they thought Got my indignation but I'm pure in all my thoughts I'm alive 出会った人々は皆 自分で作ったカゴに囚われていた 彼らは彼らの目を通して俺を見ていたけど 俺は彼らの思っている様な人間じゃない ただ黙って納得なんかできないんだ 自分の気持ちに正直にいるだけなんだ Wind in my hair, I feel part of everywhere Underneath my being is a road that disappeared Late at night I hear the trees They're singing with the dead Overhead 髪を通り過ぎる風 自分が大きな何かの一部であると感る 足元に目に見えない道が 続いているのがわかる 夜更けには木々が死者と歌う声を 頭上に聴く Leave it to me as I find a way to be Consider me a satellite for ever orbiting I knew all the rules but the rules did not know me Guaranteed そっとしておいてくれ 自分が行く道は自分で見つけるから 俺の事は永遠に宇宙を彷徨い続ける 衛星とでも思っていて ルールなら全部知ってる でもそのルールは 俺のことなんか知りもしないのに そこにあるんだ いつだって