わかりやすい日本語の作文技術
おはようございます 渡辺です。週末は少し過ごしやすかったですね。今週はどうでしょうか?
さて、今週は「わかりやすい日本語の作文技術」- 本多勝一 を紹介します。
著者は、元朝日新聞記者で日本を代表するジャーナリスト。初版は1976年のベストセラーとなります。
文章と一言に言っても、文学的な文章(詩や小説など)と実用的な文章は異なるものとして、読む側にとって分かりやすい文章を書く技術をまとめたものになります。
技術その一「修飾の技術」
では早速、技術その一「修飾の技術」を紹介します。
結論から言うと、就職後の語順には四つの原則があり、重要な順は以下の通りとなります。
まず1つ目ですが、紙を形容することばとして、「白い紙・横線の引かれた紙・厚手の紙」というのがあるとします。これらを一つにまとめた文として正解なのは、
となります。例えば、「白い横線の引かれた厚手の紙」とすると、横線が白いと誤解を生んでしまいますし、「厚手の横線の引かれた白い紙」となると、横線が厚手のように捉えられる恐れもあります。
2つ目に関してですが、「速く走る。ライトを消して走る。止まらずに走る」を1文にまとめる場合、
が誤解が少ないでしょう。「速くライトを消して止まらずに走る」だと、ライトを「速く」消すように読まれてしまいます。
3つ目は、
という文章があった場合、「ナイフで薬指に太郎さんがケガした。」という文章は通じなくはないが、読みづらい文章だと思います。というのも、ここでの重要なのは太郎さんであって、ナイフではないからです。
4つ目は少し分かりづらいかもしれません。「初夏のみどりがもえる夕日に照り映えた」という文があった場合、「みどり」と「もえる」がなじみが強いので、「みどりがもえる」と思い違いしてしまいがちだが、ここでは、後ろの「夕日」に「もえる」がかかっている。このような場合には、
と配置転換をした方が分かりやすいということになります。
如何でしたでしょうか?普段何気なく書いている文章でもこの4つを意識してみると良いかもしれないですね。
それでは、今週もよろしくお願いいたします!
技術その二「句読点」の技術
おはようございます 渡辺です。今週は「わかりやすい日本語の作文技術」を紹介しています。今日は技術その二「句読点」の技術を紹介します。
句読点つまり、マルとテンです。マルに関しては、文が終わったらマルをつけるということで、特に難しいことはないのですが、一方で「テン」の方には原則がありますので、まずは二大原則を紹介します。
先ずは、第一原則からみていきましょう。次のような文章があったとします。
少し違和感がある文章かもしれません。これは、「病名が心筋梗そくだと」と「元気にまかせて過労をかさねたのではないかと」が「思う」にかかるので、境界にテンをうち以下のようにするのが正しいとなります。
続いて、第二原則です。
この文だと、渡辺刑事が血まみれなのか、賊が血まみれなのかが分かりづらいです。昨日の修飾語の原則2「長い修飾語ほど先に、短いほどあとに」の原則に従って分を並び替えると
とすることで、テンがなくても誤解がない文章にすることも出来ますが、それが逆順になっているために、「渡辺刑事は」のあとかにテンをうつことで同じ意味を作ることが出来ます。
これらの原則を踏まえつつ、テンというのは「思想の最小単位を示すもの」とも書かれています。要は、強調したい事柄を目立たせる為のテンというものもあるということです。例えばですが、下の文
では、受け取るニュアンスが異なってくるかと思います。このように、テンはその文を書いた人の意志の表れとも考えると、また文章を読むときの楽しみが増えそうですね。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
技術その三「漢字」と「カナ」を使い分ける技術
おはようございます 渡辺です。今週は「わかりやすい日本語の作文技術」を紹介しています。今日は技術その三「漢字」と「カナ」を使い分ける技術を紹介します。
また結論からいきますと、原則というものは存在せず、本によれば「各自の趣味の問題」とのことです。目で見てどれが読みやすいか?ということを起点に考えればよいということです。
いくつか例文をみていきますと、
明らかに、Bの方が状況がイメージしやすいかと思います。というのも、漢字というのが象形文字から発展した表意文字の為、視覚的にも意味が伝わりやすいということがあります。
また次の文例をみてみましょう
A,B両文ともに、’の方が読みやすいかと思います。漢字が続けばひらがなにした方が良いし、ひらがなが続けば漢字にしたほうが読みやすくなります。
ひとつ法則化できるものとすると、語尾変化可能な部分以下をおくりがなにするというのが挙げられています。
たとえば、「おわる」というのを変換すると「終わる」と「終る」の2つが候補に挙がってきますが、「終る」は「おえる」とも読めるので「終わる」と表記すべきということです。これは、「少ない」「少い」同様にもともとは、活用語尾を送るのが原則としてあったのですが、長年議論を重ねた結果、現在では「少ない」と「少なくない」の区別が明確になるように、「少ない」を正しいとしたそうです。試しに、「すくない」で変換すると「少ない」しか出てこないです。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
技術その四「助詞」を使いこなす技術
おはようございます 渡辺です。
今週は「わかりやすい日本語の作文技術」を紹介しています。最終日の今日は技術その四「助詞」を使いこなす技術を紹介します。
・対照・限定の「は」
下の例文をみてみましょう。
対照・限定の「は」とは、これらの文において、2つ目の「は」の役割を示しているものになります。
①は常に食べるのが遅いということで、2つ目の「は」もなく、対照が無い文になります。②は、ふだんは遅いけれども、例外として今日は速く食べた場合です。一方で、③はいつも速いんだけど、常に速いというわけではないことになります。さらに③'のパターンだと「は」が速くだけについて、少なくとも速くないという意味になります。③と③'は字面が同じになってしまうので、口語で語る際はアクセントを付けることで区別可能ですが、明確に③'の意味合いで伝えたい場合は、下のように文章を書き換えた方が良いということになります。
やってしまいがちなパターンとしては、①の文章を書いて、②か③の意味あいでいると、発したいメッセージと受け取るメッセージが異なる形になります。
・並列の「と」
英語では、複数を並列に並べる際に「Yamada, Nakamura, Suzuki and Takahashi」のように、カンマで並べ最後の一つをandでつなぐやり方をしますが、日本語では「と」「も」「か」「とか」「に」「だの」「やら」「なり」といった語を最初の単語の後につけた方がすわりがよいということです。
また、並列パターンでも犬猫猿の三者がケンカした様子を文にすると、
の場合、イヌとネコの同盟軍がサルとけんかしたかのように見えてしまうこともあるため、
とした方が、三つどもえのけんかしていることが明白化するというものです。
如何でしたでしょうか?普段何気なく使っている言葉ですが、わかりやすさを意識してみると色々改善の余地はありそうです。
本の中では大量の文例と共に紹介がされていますので、興味を持った方はぜひ手に取ってみてください!
それでは、今週もあと1日。本日もよろしくお願いいたします!
(2024.07.16-07.19)
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