ついやってしまう体験のつくりかた
おはようございます 渡辺です。暑い日々が続きますね。昨晩は、寝る時に風が吹いてきてたのでエアコンかけなくても大丈夫かな?と思いきや夜中に暑すぎて起きてしまいました。みなさまもご自愛くださいませ。
さて、今週は「ついやってしまう体験のつくりかた」- 玉樹真一郎 を紹介します。
著者は、任天堂でWiiの企画を担当されていた方です。wiiは1億台売れたヒット商品ですが、(ちなみに、スイッチはそれを上回る1.4億台すごい!)ゲーム機自体がおもしろいわけではなく、ゲームを遊ぶという体験を面白くするための道具として、「ゲームはどうやって心を動かしているのか?」について研究を重ね、商品開発に活かされてきました。この本は、それらを通じて学び、実践し続けてきた「心を動かす体験のつくりかた」について書かれたものになります。
体験デザイン
心を動かす体験を作る方法を「体験デザイン」とよび以下の3つの型にまとめています。
本では、これらを歴史に残る名作ゲームを分析しながら、体験デザインの本質について議論されていくのですが、それらを丁寧に表現するには、文字数が足りないので、極力分かりやすくエッセンスを抽出してお伝えしていきたいともいます。それでは、今週もよろしくお願いします!
直観のデザイン
おはようございます 渡辺です。体調不良の方が増えていますが、皆様ご自愛くださいませ。
「心を動かす体験のつくりかた」1日目は、直観のデザインとなります。
ここでは、世界一売れたゲーム「スーパーマリオブラザーズ」を例に挙げられています。僕が小学生の頃に発売されたゲームではあるのですが、皆さんも一度くらいはやったことはあるのではないでしょうか?もしないにしても、画面を目にしたことはあるかと思います。
ゲーム冒頭の画面において、このゲームの主人公(マリオ)はやや左側にいて右を向いている訳です。なんとなく、右に行くのかな?と思って、右にいくとクリボー登場!「おぉきっとこれであっているに違いない」となるわけです。
ゲーム開始から数秒間のプレイヤーの動きはこんな感じかと思います。逆に言うと、わずか数秒間の体験をデザインしているということになります。これをフレームワークに落とし込むと、
1.仮説
自発的に「○○するのかな?」という仮説を立てる。※但しプレイヤーには仮説が正しいかどうか分からない。
例:右に行けば良いというルールなのかな?
2.試行
自発的に「○○してみよう・・・」と試しに行動を起こす。※ただし、プレイヤーには試行が正しいかどうか分からない。
例:試しに右に移動してみよう。
3.歓喜
自発的に「○○で正解だった!」と歓喜する。※ここではじめてプレイヤーは仮説・試行が正しいと確信する。
例:クリボー登場。これで正解だった。
このようになります。そして、この直観を生み出す原動力には、人々の共通点を利用するという方法があります。さらに、共通点とは2つ。
1.脳や心の性質:1+1=?、〇川家康 など感覚的に答えたくなるなど
2.人々に共通する記憶:木は燃えるなど
以上が直観のデザインとなります。明日は「驚きのデザイン」となります。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
驚きのデザイン
おはようございます 渡辺です。「心を動かす体験のつくりかた」2日目は、驚きのデザインとなります。
直観のデザインにおける「仮説→試行→歓喜」という小さな体験を繰り返すことで、「ついやってしまう」体験を創り出します。一方でこの体験を繰り返すことで、どうしても疲れや飽きがでてきてしまいます。それを払拭するのが、「驚きのデザイン」となります。このフレームワークは以下のようになります。
1.誤解
自発的に「○○するのかな?」という誤った仮説を立てる。※但しプレイヤーには仮説が合っていると思い込んでいる。
2.試行
自発的に「○○してみよう・・・」と試しに行動を起こす。※ただし、プレイヤーには試行が合っていると思い込んでいる。
3.驚愕
自発的に「○○はまちがいだった!」と驚くする。※ここではじめてプレイヤーは仮説・試行が誤りと気づく。
このように、プレイヤーの予想を外すことで、驚きを創り出すということになるのですが、そのためには、2つの思い込みを利用することが出来ます。
1.前提への思い込み
→ マリオのひたすら右に行けば良いと思っている世界観で豆の木で空に行けたり、土管で地下に行けるなど
2.日常への思い込み
→ タブー現れないはずだ
また、日常への思い込みを破る代表的なタブーのモチーフとして、10個挙げられています。
こう考えると、映画は2時間の枠の中に上手く驚きのデザインが設計されているような気がします。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
物語のデザイン
おはようございます 渡辺です。「心を動かす体験のつくりかた」3日目は、物語のデザインとなります。
昨日までのところで、「直観のデザイン」に「驚きのデザイン」を織り交ぜることで、続けられるということが分かったかと思います。体験の中に意義を見出す「物語のデザイン」ついて考えていきましょう!
物語のデザインとは、体験を通してユーザ自身の物語を生み出させるということになります。フレームワークとしては以下のようになります。
1.翻弄
物語を理解しようとするプレイヤーを翻弄し、物語らせる
→ 環境ストーリーテリング、テンポとコントラスト(緊張と緩和)、伏線
2.成長
物語中の主人公同様、プレイヤーを成長させる
→ 収集と反復、選択と裁量、翻意と共感
3.意志
プレイヤー自身の意志で運命を切り開かせる
→ 命のやりとり、未知の体験、解釈の余地、スタートに戻る
また、神話学者のジョーゼフ・キャンベルによると、あらゆる神話に共通する型があるということを発見し、「英雄の旅(The Hero's Journey)」という円環構造を示唆しました。
スターウォーズは、非常にこの構造をとっている物語としても有名ですが、桃太郎に代表される昔話も大枠この形をとっていますね。
1.Calling「天命」
2.Commitment「旅を始める」
3.Threshold「境界を超える」
4.Guardians「メンター」
5.Demon「悪魔」
6.Transformation「変容」
7.Complete the task(課題完了)
8.Return home「故郷へ帰る」
このように、体験を通じて、プレイヤー自身の物語が紡ぎ出せれ、それが記憶となることが意義につながっていくわけですね。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
体験デザインを通し、感情を動かし、記憶に残っていく
おはようございます 渡辺です。なんだか久しぶりな雨降りの気がします。
今週は、「心を動かす体験のつくりかた」について考えてきました。いくつかの体験デザインを通し、感情を動かし、記憶に残っていくということが一つの意義となります。
最終日の今日は、この記憶について考えていきます。
記憶と一言に言いましても、大きく3つに分けられます。期間が短い順に、感覚記憶、短期記憶、長期記憶です。
感覚記憶は様々な情報が目、耳、味覚、嗅覚などの感覚器官を経て脳に届けられて0・1秒から0・5秒のほんの短い期間とどまる記憶を指し、
短期記憶はもう少し長く、数十秒間覚えていられる記憶です。一時的に電話番号を覚えたりするのは、これですね。
長期記憶はさらに長く、何十年も記憶するもので、記憶に残るというのは、この長期記憶になります。
また長期記憶には、非陳述記憶と陳述記憶に分けられ、非陳述記憶は、自転車の乗り方のように「言葉で説明するのは難しいけど出来る」手続き記憶とカレーの匂いを嗅いだことでカレーを食べたくなるようなプライミングに分けられます。さらに、陳述記憶は、ミカンといった、色形味が想像できるように知識ともいえる意味記憶と実際に体験した記憶ともいえるエピソード記憶に分けられます。
では、どのような体験がエピソード記憶として残るのか?というと、強く感情が動いたかどうかというのがポイントとなります。「体験→感情→記憶」の流れにより、エピソード記憶が蓄積されるというわけです。体験というのは現在形であり、記憶というのは過去形です。式に表すとこういうことです。
つまり、自分の記憶を辿り、感情を動かされた体験を元に、誰かの心を動かすような体験デザインをすることで、誰かの記憶にのこるような体験を創り出すことができますね。
というわけで、今週は「心を動かす体験のつくりかた」について述べてきました。本の中では具体的なゲームの事例なども多く交えながら説明されていますので、ぜひゲーム好きの方は手に取ってみてください。
それでは、今週もあと1日。本日もよろしくお願いいたします!
(2024.07.08-07.12)
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