
トランプ再熱狂の正体_20250117
引き続き、なぜアメリカの人々が自分たちの国のリーダーをあのオッサンに託す判断をしたのかについて知りたくて、それっぽい本を手に取って読んでます。
今回は、2020年から2023年までワシントン支局にいたNHK報道局の記者の書いた本を読了。
メディアの方らしく、自らの取材体験を通じて書いているので、下手な評論本や思想史本より肌感覚でアメリカ社会の分断の有様が理解できます。
第3章で出てくる、Qアノン陰謀論信奉者の教育委員のリコール活動への取材などは、絶対に交わることのできない分断を象徴しているようです。
トランプのオッサンは社会の分断が産み出した副産物に過ぎず、そもそも(押し付け的な)リベラルvs (ノスタルジー的な回帰主義の)保守の対立が深刻化した社会となってしまっていることに原因があると理解しました。
著者は終章で、ありきたりであるが歩み寄りの必要性を説きつつ、その難しさを踏まえて世代交代に解決の糸口を見つけ出そうとしています。
確かにZ世代と呼ばれる若い世代は、リベラルや保守という分け方が意味をなさないくらい「当たり前のもの」として様々な価値観を受け止めているように思えます。
その意味では、分断の中心にいる世代の無意味な願望やノスタルジーが死に絶えた先に希望はあるかもしれません。
が、ことはそう簡単ではなく、リベラルや保守といったラベリングが意味をなさないということは、簡単に転ぶ可能性もあるということであり、その端緒もSNS上などは現れているという事実をどう受け止めれば良いのか…その点では著者の希望的観測には懐疑的にならざるを得ません。