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真・日本の歴史_20241025

「逆説の日本史」シリーズで有名な井沢元彦氏。
前々から気にはなっていたのですが、これまで氏の著作を手に取ったことはありませんでした。
今回、図書館の棚に新刊がおいてあったので、初めて読みました。

なんでも、逆説シリーズのエッセンスを散りばめたそうなので、これを読めば雰囲気がつかめるのかなと…

日本史を「比較」と「宗教」という2つの側面から捉える必要性を訴えており、確かに歴史教育の現場で欠けている視点だと思っていたのでフムフムしながら読んでました。

「比較」の観点では、日本史と世界史が別の世界の話のように展開する教育現場、さらに高校になると受験用にどっちかを選べと言われる始末…それじゃあ受験知識以上の興味は持てないよなぁと常々感じていましたので、日本の中で起きた出来事が実は世界の潮流に強く影響をうけたり、影響を与えていたりしていたことを具体例をあげて比較しながら説明しているのは面白いですね。
ただし、大局的な視座から推理(妄想?)している感じであり、裏付けとなるエビデンスにこじつけ感もあるので、氏の忌み嫌う歴史学者から非難轟轟されるのも納得ですが。

一方、「宗教」の観点については、日本人の根底に流れるプリミティブな「穢れ」や「言霊」に対する独特な畏怖が、歴史の場面における行動や思考に結びついているという解釈は面白く、またそれら日本人の宗教観を無視して実証主義にこもる歴史学者への罵詈雑言もなかなかです。

残念ながら、我々は現時点で過去の歴史を直接確かめる術を持ち合わせていないので、氏の主張と歴史学者の主張のどちらが正しいのかはわかりません。
その意味では、氏と歴史学者とはスタンスの違いでしかないのですから、相手を全否定しても建設的ではないなぁという読後感は否めませんでした。

新しい視座を得られ総じて面白かったですが、歴史学者批判の嵐はちと食傷気味でしたので、逆説シリーズを読むことはないかと思われます。

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