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狭小邸宅_20240916

先日読んだ「地面師たち」が面白かったので、著者の処女作を借りて読了しました。

舞台は不動産業界、中堅規模の不動産屋で都心(世田谷と杉並あたり)で狭小住宅(15坪で上に伸ばしたペンシルハウス)を売る営業マンのリアルな姿が描かれおり、フィクションなんだけどノンフィクションを読んでいるような感覚に陥り、売れ残りの蒲田の家を主人公が自らが手繰り寄せたともいえる偶然で販売できたときには、思わず共感してしまうくらいでした。

そして、その成功体験と元商社出身(らしい)上司の的確な指導によりメキメキ実力を伸ばしていった主人公が、典型的な不動産屋の嫌味だけどデキる営業マンに変貌を遂げ、傍らで支えてくれていた純朴な彼女を遠ざけていった結果・・・という展開は、まるでヤンジャンのような青年漫画雑誌の連載モノに出てくるようで、最後は安っぽい感じが否めず、読後感最悪でしたが・・・

前回の「地面師たち」といい、不動産業界に詳しいなぁと思って著者(新庄耕氏)をググりましたが、特に不動産業界に身を置いていたわけではなく、この作品も住宅営業をやっている友人から聞いた話が元だそうですが、元R(リクルート)だそうで、そりゃ営業小説向きだわとえらく納得した次第です。

これから都心で戸建買いたいと思ってる奇特な人は、住宅営業マンの手法や思考回路がわかるので、読んでおいて損はないかもしれません。

ちなみにこの作品は2013年に発表されたもので、もう11年前・・・文中にスマホは出てこず携帯電話が現役バリバリだったり、今だったら完全にアウトな罵詈雑言と暴力の嵐が吹き荒れるブラック企業モード全開の職場だったりして、こういうの当たり前の世の中だったよねーと遠い目をして時代を感じてしまいました。

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