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国商 最後のフィクサー葛西敬之_20230420

新聞の書評欄に掲載されていて興味を持った本を読みました。
昨年5月に逝去された、JR東海の葛西元会長に関するルポタージュです。

国鉄民営化を実現させたグループの一員として、その後JR東海の社長・会長としてリニアを強力に推進してきた葛西氏のこれまでを綴り、政界とのつながり、特にアベちゃんやガースー内閣のバックボーンを支えた官邸官僚への深いかかわりを追い、リニアだけにとどまらず公共放送であるNHKの人事にまで口を出す姿を「国士」と「政商」を掛け合わせた「国商」という表現で表しています。

一言で言うならば「ザ・昭和」って感じでしょうか。
平成も多分に絡んでいるんですが、展開が昭和すぎて近代史的な感がにじみ出てます。
国鉄民営化時の労組間の主導権争いやそれを利用して組合つぶしをはかったあたりはまるでヤクザの抗争のようで面白かったですし、官僚や政治家の権力闘争とその背後にいる葛西氏の存在も物語としては「へー」という感じでした。

まぁ、政治の世界なんて今も昔もずっとこんな感じなんでしょうね。
だもんで、いくら「選挙行こうぜ!」「自分たちの手で国を変えようぜ!」なんて声高に叫んでも大海の一滴にすぎず(それでも選挙に行かないという選択肢はないが)、アベちゃんを撃った某やキッシーに爆弾投げた某のような人間が生み出される土壌が揃っているってことなのかなぁと思ってしまいました。(もちろん暴挙はNG)

結局誰しも利権に群がってるだけなんですよね・・・葛西さんがたとえ「国士」だとしても、夢見ている国の姿が正しいかどうかはあくまで主観であり、それを政治を裏側から操ることで成し遂げようとすることも「利権」でしかないという・・・残念。

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