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百年の孤独_20241016

某国営放送の朝のニュースで"異例の大ヒット"と取り上げられていた、コロンビアのノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの「百年の孤独」・・・決して麦焼酎ではありません。

本作の発表は1967年、日本では1972年に翻訳本が出て、それから52年経って文庫化したらしい。

どんな作家かも、どんな作品かもまったく前提知識がないまま、図書館蔵書検索でググったら単行本があったので予約して取りに行ったところ、図書館の方に「にーさん、ちょうど文庫版が入ったところだけどどう?」とクスリ売買のごとく勧められたので、大ヒットのきっかけとなったらしい文庫本を借りて読了。

ざっくりいうと、架空の村「マコンド」を創ったブエンディア一族の100年にわたる歴史を綴った物語ですが、とにかく登場人物が多い!しかも同じ名前(アウレニャノ系統とアルカディオ系統の2系統に分類されます)ばっかりでわかりにくい!
巻頭に家系図が載っていますし、文中でも字数稼ぎの読書感想文かのごとくフルネームで書いてくれるので誰の話なのか見失うことはそれほどないのですが・・・

さらに、非現実と現実が入り混じっている「マジックリアリズム」という小説技法らしいのですが、非現実的な出来事が頻発したり死んでる人間が普通に出てきたりして、途中からこんがらがってきます。

こうやって書くと、さぞ読むのに苦労するだろうという感じですが、それが不思議とページの進みが良くて、他の本と同時並行でしたがスムーズに読み終えることができました。
その理由は、あまたいる登場人物たちの個性(といっても心情よりも行動がメインですが)が光っているからですが、その中でも一見主人公的に見える男子たち(アウレニャノかアルカディオ)よりも、脇を固める女子たち(ヨメさんか不倫相手)のほうがキャラがたってて、男子たちを時に嘲り、時に癒し、時に奮い立たせるような彼女たちの活躍を楽しめたように思います。
なにより、女子たちは一部を除き異常に長生きだったし・・・

なんだかファンタジー小説の感想みたいになってきましたが、作中にはガルシア・マルケスの故郷であるコロンビアの歴史的な事件やラテンアメリカの風土が色濃く反映されていることを知ると、マジックリアリズムという小説技法は、眼をそむけたくなるようなリアルを人々が何とか受け止められるようにするための方法なのかなと思いました。

文庫版の巻末には、敬愛する筒井康隆翁の解説が掲載されていますが、まるで解説としての仕事を放棄したような内容にほくそ笑むとともに、翁の推し本でぜったい読めと押し付けて終わるガルシア・マルケスの「族長の秋」を読まねばと思った次第です。

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