ウイスキーの飲み方のおさらい
ワシじゃ! ミーミルじゃ。
ウイスキーの飲み方は色々あるんじゃ。ウイスキーは度数が強いので、基本的に割って飲むものだと思われてるんじゃ。実際ワシも、何も知らん頃はオンザロックにしたり割って飲んでおった。
しかしある時……隣の男がバーでウイスキーをストレートで頼んだ……。グラスにほんのちょびっと「原液」が入っている……それを見たワシは仰天した。なんというデスパレートな飲み方をするジャンキーなんじゃ!? そう思ったものじゃ。しかしそんな事はなかった。ウイスキーは本来ストレートで飲むのが良いんじゃ!
基本はストレート
良いウイスキーはなるべくストレートで飲みたいものじゃ! 世の中はタテマエが溢れているので、入門的なやつにはだいたい「どんな飲み方でも大丈夫だよ😊」「おいしければ何でも良いんだよ😊」「ハイボールで飲みなよ😊」と甘い言葉が書いてある。しかし騙されてはならん。
ウイスキーは「ストレートで飲む」もしくは、「少し加水して飲む」のが一番美味い。これが大原則じゃ。
「だってじゃあ」みたいな重箱の隅をつつけばどんな飲み方でも無理矢理推奨できるじゃろう。「本当の水割りを飲んだ事がないんですか?」とか言ってくる奴がいかにもいそうじゃ。しかし、そういうのは単なるマウンティングに過ぎず情報として無価値じゃ。
そのうえで、いろいろな飲み方を確認するとしよう。
ハイボール
ハイボール、つまりウイスキーのソーダ割りじゃ。居酒屋等で、誰でも一度は飲んだ事がある飲み方じゃ。よく冷えた大きいグラスに氷をパンパンに入れて、ウイスキーを入れ、ぐるぐる混ぜて充分に冷やし、そこに炭酸水を注ぐ。炭酸水とウイスキーの混ざりは、注ぐ勢いと炭酸の力に期待して、ひと混ぜだけしか混ぜたらいかん。比率はウイスキー1:炭酸水3の濃さが良いじゃろう。
ハイボールはウイスキー市場の救世主じゃ。「角」のハイボールが日本のウイスキー人気を劇的にV字回復させた。2008年の「角ハイブーム」があったからこそ今がある。「角ハイブーム」がなければ、ウイスキーはオタクのおっさんの為の陰気なジャンルになってしまっていたじゃろう。ワシら全員、角のハイボールには足を向けて寝られないんじゃ。
ハイボールは食中酒としてビールと争う飲みやすさの酒じゃ。つまり日常の中で楽しめる飲み方じゃ。爽やかで、飲みやすく、炭酸味がドライなので飯を邪魔せず美味く飲める。どんな安いウイスキーでもハイボールにすれば大体なんとかなるし、ハイボールにしたときに感動的に美味くなるウイスキーの銘柄も、いくつかある。ハイボール用としては、カリラ、ウシュクベ、タリスカー、ブッカーズをオススメする。特にカリラやブッカーズは、ハイボール観が変わるほどの美味さじゃ。
とはいえ、極端に上質なウイスキーをハイボールにしても、炭酸味が結局優勢なので、ハイボールでしか飲まないのはもったいない事この上ないんじゃ。美味いハイボールの美味さを100とすると、ストレートで最高のウイスキーを飲んだときの美味さは1000ぐらいはいくんじゃ。
ところで過去にワシは一度バーでハイボールを頼んだ時に「ウイスキー・ソーダですね」と言い直された事がある。そういうものじゃろうか……。
ストレート
原液30ml~15mlをグラスに入れて飲む。これが王道じゃ。といっても、テキーラのショットのようにイッキするような飲み方ではないので注意じゃ。
鼻を近づけたり離したり、スワリング(グラスを揺らす)して香りを嗅ぎ、舐めるように少しだけ口に入れて味わい、余韻を感じ、チェイサーで水を飲む……そういう飲み方じゃ。香りを楽しみ、味を楽しみ、口の中から鼻に抜けていくかぐわしさを全身で堪能するんじゃ。
スピリッツは高濃度アルコールじゃ。つまり揮発性が強く、口の中で香りが爆発する。水割りやオンザロックではこういうウイスキー本来の特性を引き出す事はできん。ストレートこそ王道なのじゃ。
数滴加水
高濃度のアルコールに水を数滴垂らすと、化学的に何かが起こって酒の香りがよりハッキリと立ち上る事は化学的に証明されているんじゃ。どっかで読んだんじゃ。実際、数滴水を垂らしたほうがストレートそのままよりも更に美味しく味わえる事は多いんじゃ。これはかなりオススメしたいところじゃ。
さらに加水
数滴と言わず、ちょろっと水を足すとかなり味がまとまる。特に、度数の強いカスクストレングスのウイスキーを飲むときはこのやり方がかなり効くんじゃ。カスクストレングスはせっかくの高濃度なのだからそのまま飲みたい気持ちがあるじゃろうが、一番飲みやすいように適度に調整して飲むのが一番疲れないんじゃ。
トワイスアップ
ウイスキーと水を1:1で割る飲み方じゃ。ここまでの量を加水すると、ちょっとやりすぎになる。ブレンダーは味を確かめる時にトワイスアップにして確認すると言われておる。しかしワシはトワイスアップは勧めない。味の確認の精度の面では良いのかも知れんが、美味しく飲めないんじゃ。単に薄いだけじゃ。なんか「もどかしい」味になるんじゃ。ワシらはブレンダーではない。トワイスアップで美味いと思ったことはワシは一度もない。そんなならハイボールのほうがマシじゃ。オススメしないんじゃ。
オン・ザ・ロックス
一般的にイメージされるウイスキーの飲み方は、オン・ザ・ロックかハイボールじゃろう。ロックグラスにデカい氷を入れて飲むんじゃ。なにしろ見栄えが良いんじゃ。映画とかでも、ウイスキーを飲むときは洋の東西を問わずオン・ザ・ロックで飲んでおるじゃろう。見栄えが良いからじゃ。琥珀色の美しい液体とデカい氷と美しいロックグラス……素晴らしいバエじゃ。テンションの上がり方は素晴らしいし、氷が徐々に解けてゆくに従ってアルコールが薄まって味わいが変化してゆくのも楽しいんじゃ。だいたい後半になると飲み疲れてくるので、溶ける氷によって自然にアルコールの度数を下げて飲んでいけるのは合理的じゃ。
オン・ザ・ロックにすると、ウイスキーの味は相当変わる。液体が冷えるので、香りや味の特定の要素は奥に引っ込み、特定の要素は強調される。音楽でクセの強いイコライザー設定をかけた時のようなものじゃ。香りが引っ込んで甘さが前に出てくる事が多く、経験的に日本のウイスキーはオン・ザ・ロックにすると美味くなる事が多いが、スコッチはイマイチな事になりやすいんじゃ。
水割り
大きめのグラスに氷をたくさん入れて水と混ぜる。日本独自の、昔に流行った飲み方じゃ。正直、これはどういう意味なのかよくわからない飲み方じゃ。短絡的に考えれば「ウイスキーは度数が強いので低くして飲む」という事かもしれん。2020年代の今、あえてこれをやる必要はないが、バーで頼めば美味しい水割りを作ってもらえるじゃろう。
ハーフロック
トワイスアップをオン・ザ・ロックにする。薄い。
どんなグラスを使うのがよいか
ストレートで飲むにあたり、グラスは何を使うべきか? 必ずゲットしておきたいのは「グレンケアン」じゃ。これはブレンダーが皆使っており、ウイスキーの香りと味がとてもよくわかるグラスじゃ。そして何より安いんじゃ。これがあればどうにかなるんじゃ。
他は好みなので、今はとにかくこのグレンケアンをゲットしてほしいんじゃ。グレンケアンで飲むことを覚えれば、次にどんなものを選べばよいかなんとなくわかってくるのじゃ。コップでストレートを飲むのはやめたほうがよい。
今日はここまでじゃ。またの!