SS Aの真相【山のポ】#毎週ショートショートnoteの応募用(600文字くらい)
彼女が死んだ、原因を知りたかった。登山が趣味で俺とAはB子が好きでライバル関係だったがB子に選ばせる暗黙のルールがあると思っていた。
「俺はB子にプロポーズする」
「そうか、頑張れよ」
Aは顔はいいが自意識が高い嫌味なヤツで、B子は俺を選ぶだろうと確信があった。だがB子はAを選び登山の最中に死んだ。
(あいつが殺した、彼女が死ぬわけがない……)
登山のベテランなB子が死んだのはAがヘマして事故に起こしたからだ。真相を知るために失意のAを誘って同じ山を登る事にした。
「なぁなんでB子が死んだんだ」
「わからないんだ」
B子は足をすべらせて山から落ちたと繰り返す。
「どこなんだ」
「ここだよ」
くさり場は絶壁に近くナイフリッジのため落ちると滑落するがB子なら余裕だ。鎖をつかんで先に登る、こんな場所で落ちるわけがない。
下でAが歌い出した。
「山のポ、山ポポ、ポッポポ、ポーポポポポンポコポ」
「おい、やめろ」
真面目なAがふざけている、鎖をつかみながら下を見ると口を丸くして、眼を見開いてムンクの『叫び』のような顔だ。
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「容体はどうですか?」
「気圧の変化で脳圧が変わる奇病でしょうか……」
医者は治らないと宣言する。B子はAの異常に驚愕して落ちたのが真相かもしれない。地上に降りてもAは、あの異様な顔のまま病室で暮らしている。
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