短歌 街角の少女 令和版百人一首 【冬の部】 53 wsd983320987 2024年7月16日 20:30 雪降り日 暑さ感じる 胸の音 とどけとどけと みつめる横顔雪降り日 暑さ感じる 胸の音 とどけとどけと みつめる横顔 音が無い街で自分の鼓動だけ感じる。いつもの時間、いつもの姿、いつもの彼。「あの……」「……」 彼に声をかけてしまう。そっと見てるだけで良かったのに、魔がさしたように近づく。「その……」「何」 冷たい眼は拒絶を意味する。判っている、彼は心を許さない。「いっしょに……」「……わかったよ」 近づくと傘をさす。雪がいつのまにか強くなっていた。彼は言葉を選ぶようにささやく。「駅まででいい?」「はい」 嬉しかった、もうこれで死んでもかまわない。「きっと幸せになるよ」「そう……ですか」「ああ、迷う必要なんてないんだ」「はい」 もう駅が見えてきた、誰かに恋して失って身を投げた。彼はそんな私を見てくれる。 雪降る駅前で少女はすっと消えた。少年は傘を閉じると駅の雑踏にまぎれていく。お題枠 #令和版百人一首恋の巻 #百人一首恋の巻冬 #短歌 #怪談 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #短歌 #怪談 #令和版百人一首恋の巻 #百人一首恋の巻冬 53