見出し画像

生存率0%絶望にみる、『エイリアン:ロムルス』

エイリアン最新作を観ると、前回の『プロメテウス』でもそう、過去シリーズを振り返ってみたくなる。
1.2と立て続けに鑑賞したあと、手元には3.4が控えている、一気観させる良さがある。
ウルグアイ出身でホラー映画の名手フェデ・アルバレス監督による最新作は、第1作目と2作目の間に起こったこととして新たに構築された物語。
オマージュたっぷり、CGに毒されない映像表現で過去作の粋を十分に活かしていた。
主人公レイン(ケイリー・スピーニー)が強靭な女の子であるだけで、シガニー・ウィーヴァー、ノオミ・ラパス、キャサリン・ウォーターストンと継いできたシリーズに呼応してはくれる。
同時に乗組員が植民地からの解放を夢見る若者たちしかいない軽さは否めないけれど、そこはレインの弟でアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)が演出上の巧みなキャラ変で補って余りあった。

孤児のレインは生きる希望を見出せない現状から逃れるため、かつての恋人タイラーの誘いに応じ、ある計画に参加する。弟アンディとともに、それぞれに希望を求めた若者たちは、漂着した宇宙ステーション“ロムルス”へと足を踏み入れるのだった。しかしそこには、レインたちの想像も及ばない容赦なき絶望が待ち受けていた―

冒頭からウジャウジャ量で攻めてくる幼体から、フェイスハガー、腹を突き破って産まれるチェストバスターに至るまで往年の進化が踏襲されている。
アジア系女の子ナヴァロ(エイリーン・ウー)が真っ先に殺られるところまでお約束。
新しいのは先に書いた旧型ぼんやりなアンディが、ロムルスに着いてからのピンチで最新型アンドロイドの最新チップを移植され冷酷な切れ者に変化を遂げること。
存在する目的がレインを守る為一択であったのに、強靭なエイリアンの人体進化利用へとシフトして、ミッション遂行の為ならば仲間の命も顧みなくなる、AIの恐怖を冷やりと伝える。
演じたデヴィッド・ジョンソンの好演もさることながら、『エイリアン』のアッシュ、『エイリアン2.3』のビショップ、『プロメテウス』のデヴィッドなど、アンドロイドたちが本シリーズでは重要な一翼を担ってきたのだった。

終盤まで可も不可もなく、シリーズの途中からでもすんなり入れるSFホラーとなっていた。
熟練の乗組員や荒くれ者のいたほうが、若者の軽いノリに勝って、よいに違いないけれど。

それはそうと、ラストの”アレ”はなんだったんだ...。
人類とエイリアンの融合、まるで進撃の巨人みたくもっさりとした人型エイリアンは醜悪な出来映えだった。
あれさえなければ可も不可もなく劇場を出られたとおもうのだが、やっぱり不可!となってしまう。

いいなと思ったら応援しよう!