【初声】=ubugoe=
「どうしよう・・・きっとこのイヤホン、あそこで泣いている女の人の片方だよなぁ・・・届けるべきか・・・否か・・・」小さなイヤホンを掌に持て余し、ゆらゆらと転がしてこの先の行方を占う。躊躇してるのには理由がある。その持ち主がオフィス街の植え込みの陰で、下を向いたまま白いレースのハンカチを握りしめ何度も小さく震えている。声は殺しているけれど、その小さな手は真っ赤になる程、堪えた感情が大きな大きな涙となり彼女の気持ちを落ち着かせようと、いくつもいくつも放たれて零れ落ちて行く。泣いてい