ドラゴンテイマー(11)
三ヶ月が経った。
ドラゴンの名前は、一度はプリンに決まったものの、カイ王女がごねだして、『エレメントの精・エルレーヌ』になった。
長いのでみんなはエレエルと呼ぶ。
けんたろうの飾らない人柄は、カイ王女だけではなくラルゴ王にも気に入られた。
王から直々に、王宮に一室を与えようと言われたが、けんたろうはそれを断り、自分で城下町に下宿先を見つけた。
『樫の木のパイプ亭』という宿屋で、人の良いおとっつぁんと料理自慢のおっかさんが二人で切り盛りする、けんたろうにとっていかにも居心地の良い下宿先だった。
けんたろうは週のうち6日働き、その間ドラゴンと共に過ごす。けんたろうが休みの日は、ドラゴンも檻の中でじっとしている。
プライドの高いドラゴンに取って、檻の中で生活する事が面白い訳もなかっただろうが、幼くして『これも運命』と悟ったのか、けんたろうと出会った日以来、檻を破ろうとして暴れたことはまだ、ない。
そんな休日の一日に、けんたろうが朝寝坊していると、カイが元気良く訪ねてきた。
「けんたろう〜、居る〜?」
けんたろうはシャツを羽織りズボンを履き、ボタンをとめながら階段を降り、玄関で王女に応対した。