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一年前の私に接続する

あまり安定していない。朝から少し症状が出ている。胸の奥が痛む。この状況からどうやって抜け出すのか。私は境界線を引いて、内側にはたらきかける。それでも、なかなか難しい。

 はっきりした答えがあるわけでもない。急に言葉がやってこなくなる。それは、そういう状況なんだろうなと思う。だけど、そういう状況なんだろうかとも思う。それで結局は、どういう状況かはわからないことなんだと気づく。

 私にわからないことが世の中に存在する。ただそれだけのこと。私の世界と、あなたの世界は、明らかに違うということ。違うのだから、わかることはむずかしい。情報がたくさんあれば、想像すること、感じることができるのかもしれない。それでも全てを理解することは原理的にできない。個体が違うのだから。

 超常現象的にあなたと一体になることはあるのかもしれない。でもそれは確実なことではなく、奇跡的な状態だと思ったほうがいい。たとえ過去にそういう状況があったとしても、それは偶然に過ぎないし、再現性はないと思う。

1年前の今日の日の朝は、とある喫茶店で時間を過ごしていた。2階の窓際カウンター席に座って、窓から外の景色を眺めていた。その喫茶店の珈琲はおいしかった。どんな味だったかは、もう忘れてしまった。


雨は止んだみたい。喫茶店の2階窓際カウンター席から窓の外を眺める。たばこの煙が右隣のテーブル席からやってくる。常連客が煙草を吸っている。珈琲を運んできたウェイトレスに「ありがとう」と言った常連客は、白いカップを口元に近づけて珈琲を一口飲む。

 私の前に置かれた珈琲からは湯気が立っている。店内の冷房は効きすぎていて寒いくらい。窓からみえる一方通行の4車線道路をひっきりなしに車が走っている。横断歩道で信号を待つ水色のポロシャツの男はリュックを背負っていて、閉じたばかりの折りたたみ傘を左手に持っている。

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