欲望の再生産

マスクを外してテーブルの端に置く。左手でコーヒーカップを持って口元に運ぶ。一口飲んでコーヒーカップをソーサーに置く。マスクをしていないのに、マスクの感じが口周りに残っている。

普段マスクをしている時は、口がマスクの中央に寄る感じがする。このまま世界中でマスクを使い続けると、人類の顔の構造が変わるのではないか。デフォルトマスクの人類への影響とか。

そのうち、軽量電動式マスクが発売されるだろう。顔周りに装着するメカニックマスクで、耳の下あたりにセンサーボタンがあり、そこをタップすると「カチャリ」と両側に開き、もう一度タップすると「カチャリ」と閉まる。キャシャーンタイプ。


今日、生きている感じがするのは、昨夜、小さく揺さぶられたからだ。欲望に触れると、生きる力がわいてくる。ただ、触れたくて、確かめたくなる。欲望に触れることは生きることにつながる。

諦め続ける人生は哀しい。諦めない欲望をどう形成していくか。自分を抑えて生きてきたのなら、これから抑えを外して生きればいい。ひとつひとつ確かめながら、人生を使って欲望を形成していけばいい。なぜ諦め続けたのか。欲望に触れて、確かめる。