知らないという価値を見くびらない -2020.12.15(火)日記
※「鬼滅の刃」についてのごく個人的な記録です
11月末、「鬼滅の刃」を初めて読んだ
10月に映画「鬼滅の刃」無限列車編が公開され、爆発的にヒットした。
「話題になっているからそのうち読もうかな〜」程度に構えていたが、「知らないとまずい」と感じはじめた。もはや人気漫画・人気アニメというより、一般常識レベルで親しまれている。これは知っておいたほうが人生楽になるやつだと思った。
あとから追ってもきっと楽しめるだろうけど、どうせならブームの真っ最中がいい。
今買おう、とりあえず3冊。
そして私は「鬼滅の刃」Kindle版を3巻まで買い、翌日には22巻まで読破した。次の休日に映画を見ようと思ったが、結局待ちきれず、終業後にレイトショーを見に行った。
読める、読めるぞ
なにか世界の暗号が一つ解けたような、言語を一つ習得したような。そのくらい「分かること」が増えた。
コンビニのお菓子売り場。
家電量販店のガチャガチャコーナー。
子どもたちの洋服や持ち物、髪飾り。
世の中、こんなに「鬼滅の刃」であふれていたのか。
知らなかった時間を取り返すように、「鬼滅の刃」関連のインタビューを読み、映画のパンフレットを読み、まとめサイトを見ていった。
しかしTwitterで二次創作を検索しはじめたあたりで、取り返しのつかないことをしたと思いはじめる。
コンテンツの一気飲みをしてしまったことだ。
知らなかった頃には戻れない
このツイートから約2週間。
今ではもう、あの煉獄さんが鬼だと思ってたのかよ私、なんだよ信じられないな、と思う。自分がたしかに感じたことでも、あとから摂取した情報の激流に押し流されて、塗り替えられてしまうようだ。
「面構えからして鬼」という決めつけは、我ながらちょっと面白いとも思う。知った今だからこそ面白がれる、知らない人の視点だ。面構えのどんなところを「鬼っぽい」と感じたのだろう。知らなかった頃の感覚をちゃんと記録しておきたかった。
どんな世界観で、どんな物語なのか。
このキャラはどんな性格で、どんなバックグラウンドがあり、どんな声で、どんな抑揚なのか。
この顔ぶれはどんな関係なのか。
この物語はどんな風に進んでいくのか。
どうやって敵を倒すのか。
一つ一つわくわくしながら、ゆっくり楽しむこともできただろう。でも私は知ることに焦りすぎて、知らない時間を味わう楽しみを捨ててしまった。このさき決して味わうことはできない楽しみだったというのに。
次に新しいコンテンツに手を出すときは、せめて「ミリしら」をやってからにしよう。あれは素晴らしいフォーマットですね。
煉獄さんがアップになるたび頭をちらついた「餃子の王将」のロゴ。あの目に似ている。