医療広告ライターという仕事
わたしが今メインでしている仕事は「医療の広告を専門に扱うコピーライター」です。医療広告ライターというのはわたしの造語です。
医療というのは人の健康、もっと言えば生命にかかわる分野です。そのため、一般的なサービスと同じように
・価格を前面に出した広告
・競合と比較する広告
・大げさな表現や写真を用いた広告
・芸能人を引き合いに出す広告
などは不適切だと判断されます。
厚生労働省が定めている医療広告ガイドラインというPDF40ページほどの規定を順守しながら広告を制作しなければなりません。
そのため、(文章にせよ写真にせよ)多くの制限がある中で、医療機関の特徴や強みを表現する必要があります。医療広告ライターは、広告のうち文章部分を扱う仕事です。
医療広告ライターのやりがい
医療広告は、
症状に悩まされている患者
と
それを解消できる医療機関
をマッチングさせることをミッションに据えてキャッチコピーや本文を考えます。
もちろん治療をするのは医師や歯科医師ですが、患者との接点を作るということもあり、医療広告ライターは「人のより良い人生に貢献する」という点にやりがいがあります。
もしも自分が広告を作らなかったら、その患者さんは一生症状に悩まされていたかもしれない。もしくは生命の危機に陥っていたかもしれない…。
そういう意味では(間接的に)人の命を救っている可能性もあります。
もちろんその逆に誤ったマッチングを起こす可能性があります。だからこそ医療広告ガイドラインが重要になると考えています。
医療広告ライターの難しいところ
医療広告で難しい点は大きく分けて3つあります。
1.医療広告ガイドラインの規制が厳しい
2.医院側の希望を反映するのが難しい
3.医療の専門用語を理解しながら執筆しないといけない
規制が厳しく、表現の範囲がとても限定されるため、医院側の希望を広告に反映することが難しくなります。
そのため、しばしば認識に齟齬(そご)が起きて医院側から不満の声をいただくケースも少なくありません。
しかし、決まりは守らないといけないので、医療広告ガイドラインに抵触する部分に関しては納得してもらわないといけないのが現実です。
医療の専門用語を理解しながら文章を書かなければいけない点も、この医療広告ライターという仕事の難しい点です。
読者は医療の専門用語など当然知るわけないため、一般読者でもわかる言い回しを考えなければなりません。
医療広告ライターの需要
ライター中でも医療広告は特殊なジャンルで、
・医療広告ガイドライン
・その他の法令
・医療の専門用語
etc、、、
と、多くの知識を必要とされるため、ライター人口はかなり少数です。それだけ需要もありますが、途中で挫折してしまう人も多いのが現状です。
昨日までは良しとされていた表現が、急に使えなくなることもあり、かなり柔軟性を問われる分野ともいえます。
■ 需要過多だけど… ■
また、医療広告という分野の規制が厳しいということもあり、参入する企業も限られています。
しかし、広告を出したい医療機関は多く、特に今回のコロナにより患者離れを懸念した医院は積極的に広告を打ち出そうとします。
つまり、
医療機関の需要【多】
制作会社の受け皿【少】
医療広告ライターの人口【少】
と、需要過多な状態になりやすいのが現状です。
これから参入しようとする広告・HP制作会社にとってはブルーオーシャンといえます。
しかし、弁護士からライターまでしっかり体制を固めないと、行政指導・処分の対象になるので慎重にことを進めなければなりません。
結果的に規模の大きな企業が有利な業界となっています。そのため、医療広告ライターもその企業と周囲の請負企業に集中する傾向があります。