『傍若無人(ぼうじゃくぶじん)』紹介
先日出版した『刎頸の交わり(ふんけいのまじわり)』の中に収録してある『傍若無人』についてご紹介します。
秦の始皇帝を殺そうとした刺客、荊軻(けいか)。
その荊軻の友人の高漸離(こうぜんり)が主人公の物語です。
始皇帝暗殺に失敗し殺された荊軻を悼む余裕もないまま、感情を押し殺した日々を送る高漸離。
しかしある日たまたま大好きな筑(ちく)という楽器を再び演奏する機会を与えられます。
高漸離は筑を演奏し、荊軻を思い出していく。
彼の演奏の腕前は世間に知れ渡り、いつしか荊軻を殺した始皇帝の耳に届きます。
始皇帝に目の前で演奏することを命じられ、その腕を気に入られた高漸離は、始皇帝専属の奏者になります。
……
死んだ友人への思いと、その友人を殺した男に対する恨みと。
その二つに苦しむ高漸離の姿を、読んでいただけたらと思います。