『たまごの祈り』㊳
「伊田は?おれに話したいこととかないの?」
「うーん、話したいこと、何だろう」
「お鍋の日にちょっとだけ話した、夢の話、あれってきいても構わない?」
「ああ、あれはきっと、たいしたことはないの」
「でも、とても辛そうだったよ、ちょっと話しただけで」
「うん、そうだね、なんだろう、昔の夢を見てたの」
「昔というと、どのくらい昔?」
「私が幼稚園児くらいのときの、小さい頃の夢なの」
「うん」
「私、なんだろう、知らない男の人にね、襲われたというか、そこまでではないけど、怖いことを