X (Twitter)は何を目指しているのか
昨日10月6日にX (Twitter)が「いいね、リポスト、返信を非表示に」という報道がありました。
今日はそれについての是非を考えてみたいと思います。
Twitterが始まってはや15年、2008年ころから日本国内でも利用者が増え始めて、当時はまだスマホも一般的ではない時代。
ヒウィッヒヒーという流行語を生みだしつつ、じわりじわりとユーザーは増加していきました。
当時からTwitter自体は様々な議論や問題を抱えつつ、ユーザー増加という波に乗ることでサービスの価値観や利用者の構図が形成されていき、社会の闇や悪しき面とともに時代を経て現在に至ります。
その後マスク氏の買収を経てサービスの全体像が変わりつつありますが、今日は今後のX (Twitter)がどうなるのか、何を目指しているのかを推察してみたいと思います。
ヒウィッヒヒー
2000年代後半、Twitterサービス開始2~3年のあたりでヒウィッヒヒーは当時のロゴがそう読めるという事から広瀬香美さんを主としてネット上で話題になりました。
当時はフォロワーが数千人いれば多い方という時代ですが、2000年代後半からTwitterの利用者はアメリカと日本が中心でした。
特に国ごとの人口と比較したアクティブユーザー比率は日本が昔からずっと1位ですから、日本では利用サービスの選択肢としてユーザーに積極的に受け入れられたという経緯は間違いありません。
それはなぜでしょうか?
Twitterの利用者層
Twitterマーケティングによると、Twitterユーザーは内向的で慎重であり他のSNSであるFacebookやInstagramのユーザーと比べて、以下の特徴があるということです。
「『勝ち組』というより『負け組』」
「結婚に意味があるとは思わない」
「異性との交際にあまり興味はない」
「ネット上の人と合うのに抵抗はない」
「ネットで評判を確認してから購入を決める」
「付き合いよりも自分の時間が大切」
といった特徴が見られている、とのことです。
それらを踏まえて、世界の中で日本という国がTwitterで利用者数が特に増加していった経緯や背景は日本国民の民族性がTwitterのサービス特性(匿名性)に合致していた、という分析が一般論と言えます。
よく言われているのが、実名ではなく匿名のためTwitter上で安易に攻撃的敵対的な言動をするユーザー層の存在です。
また、匿名性に着目されて様々な犯罪やトラブルもたくさん発生しました。
利用者による犯罪・問題行為
Twitterでは一般的なSNSが問題のある投稿として削除する性犯罪・ドラッグ売買・違法な個人間取引・詐欺、誹謗中傷、裸の写真、犯罪投稿などもほとんど削除することがなく「グローバルポリシーには反していない」というTwitter公式の考えのもと、投稿をそのままにしていることがあると問題視されておりました。
一方で内容や実態が犯罪である場合には投稿者が犯罪になりえますので、実際にTwitter上での書き込みを元に犯罪の検挙が行われるという経緯も増加していき、未成年者のモラル低下や犯罪の敷居の低さなどがTwitterが元となり日本国内に悪影響となっていった背景なども明らかです。
また、Twitterでの犯罪行為の告白も流行ってしまい日本のネット上ではTwitterがバカ発見器やバカッターと揶揄されることもあり、特に若年層のリテラシー低下が問題視されるような議論も生じるなどTwitterをめぐる時代背景としてたくさんの負の面をこれまで歩んできました。
マスク氏買収後
マスク氏買収後は様々なサービスの改変が行われ、不透明な先行きやサービスの品質低下などが着目されて広告主が大きく離れているという結果が話題になっています。
しかし、それでも止まらずにサービスの変革は続けておりTwitterのサービス名もXへと変わりました。
そんな中で昨日10月6日に下記ニュースが報道されました。
さらにTwitterの変革は止まりません。
上記フォーブスジャパンの記事によると今後はX(Twitter)では返信、リポスト、いいねの数を非表示にするというビジョンが明確にされました。
いったい今後はマスク氏はどのように考えているのでしょうか。
今回はこれを読み解いてみたいと思います。
X (Twitter)は何を目指しているのかの背景
上記フォーブスジャパンの記事では、炎上している投稿をわかりにくくするための新たな試みだと確信している。との見解がありますが私の見解は異なりますので1つの推察として備忘録を残しておきます。
いいねについて
Twitterではもともと以前より、いいね、は無くしたほうがいいという議論は出ておりました。
結局いいねの数が多い投稿は真偽を問わずに話題になり、その論評の良し悪しを論ずることすら批判の的になりえる風土や論調がありました。
そこでマスク氏買収後の試みとしてコミュニティノートが実装されて物事の本質を付随して確認できるようになったことで一般的にはおおむね高評価をされております。
これにより真偽を抜きに世論が動くことが大きく減り、結果的に謝った方向に大勢が動くことは減りつつあります。
いいねの承認欲求の課題
いいねが欲しいからといって、犯罪に近いような過激な言動をする投稿が後を絶ちません。
これは目立ちたいという承認欲求なども影響しますが、過激な言動をすることで注目を浴びて多少でもバズろうとすることが要因ですので、いいねの数を無くして客観的な情報のみで投稿を判断されるという風土が根付けば、犯罪に近い言動も称賛やいいねの嵐ではなくただの通報案件の扱いで客観的に寒い投稿になりえます。
政治的要因の課題
また、先日までのマスク氏買収前までのX (Twitter)は非常に政治的な色が強いコミュニティとなっておりました。
その後マスク氏買収後の政治的要素の払拭や排除などを経て、コミュニティ自体は健全化されていきましたが、コミュニティノートが存在するX (Twitter)になってからはさらにユーザーに謝った情報を阻害する仕組みが明確になっていき、一部の声の大きい人の意見などもしっかりと是正される方向が明確になっていきました。
つまり、いいねという機能は健全なコミュニティ及びコミュニケーションにとってはメリット以上にデメリットが目立つ状況に発展していたという背景も考慮する必要があります。
しかし今まではそのいいねを活用するユーザーをX (Twitter)にどっぷり浸からせるためにどうしてもいいねの機能を排除しきれないという経緯があったわけです。
X (Twitter)のコアユーザー
現在のX (Twitter)月間利用者数は6000万人程度のようですが、ニールセンの調査によるとSNSでは、2割のヘビーユーザーが8割の総利用時間を占有しているということです。
つまり日本では1200万人のヘビーユーザーがX (Twitter)に日々膨大な時間を費やしているということで、これは日本国内では非常に影響が大きいツールとして明らかです。
それと同時にX (Twitter)でバズっている出来事であっても日本国民の1.1億人程度にはそのバズりが直接的には届いていない可能性があるということになります。
そこからマスメディアなどを経て抽出された話題が取り上げられるわけですが、これがいいねの数が基準になっているとすればいいねの数のコントロールで意図的にある程度のバズりや流行りやトラブルなどを生み出すことが可能という見方もできます。
マスク氏としてはこういった操作的な意見や価値観の偏りも是正したいという意図も見て取れます。
X (Twitter)の健康被害
X (Twitter)の健康被害にも着目しなければなりません。
以前からSNS全般の悪影響は多々指摘されておりますが、X (Twitter)の健康被害の研究については以下のようなものも指摘されています。
wikiによるとある海外の大学教授は、Twitterは10分間見ただけで多様な感情的刺激が呼び起こされ、止めどない情報の波に触れることは脳震盪を起こすような打撃を頭に連発されるような物であると説いています。
また、別な海外の大学教授の研究チームでは、高校生1500人に対してX (Twitter)利用可否に関するグループ分けをした試験の結果、Twitterを利用していたグループは全体的にマイナス影響を受け、テストの平均点が標準偏差の約25-40%分低下したという結果があるとのことです。
日本国内の医師もTwitterで悪口をつぶやき続けるとこうした感情は脳の中で怒りを作り出す働きをしている「扁桃体」をより刺激するため、相手への不満や悪意を更に感じやすくなるといった脳への悪影響があると説いています。
その他にも世界中でたくさんの健康被害の論文がありますが、その根拠を否定する意見もX (Twitter)上にはたくさんありますので様々な意見がSNSには存在するということです。
マスク氏の目指す方向の推測
マスク氏買収後のX (Twitter)は「従来の日本人のX (Twitter)の使い方を脱却させる」という意図が明らかになりつつあります。
それと同時に「ビジネスとして健全なサービスに改善をする」という方向性も明確に意図していることが明らかです。
さらに、様々な機能の有料化や、サービスの枠組みなどの変化の推移をみる限り「無料ユーザーのためだけに存在するサービスにはしない」というメッセージも見て取れます。
これは今までのマスク氏買収前のTwitterの広告売上ありきのビジネスモデルではなく、「広告主は減っても構わないビジネスモデルへと変革させる」という意図も読み取れます。
したがってマスク氏の目指すX (Twitter)は広告主から広告料をもらってユーザーに無料ツールとしてSNSを利用してもらうビジネスモデルではなく、コミュニケーションプラットフォームとしてビジネスとしてのGoogleに対抗できる使い方の利用が出来て、個人としても実名ありきで個人の生活に充実したコミュニケーションツールとしてFacebookとは異なる立ち位置でFacebookに取って代わるコミュニケーションプラットフォームを目指していることが読み取れます。
つまり、ビジネスと個人双方を今後は包括的に対象ユーザーとして意義を確立できるサービスに仕上げていきビジネスではGoogleに、個人ではFacebookに対して対等以上に対抗ができるプラットフォームに仕上げていくことが可能になります。
その手始めとして様々な変革を行っていますが、今回の「いいね、リポスト、返信の非表示」についても同様の視点での戦略の一環であると考えられます。
別に一切非表示にするという話ではなく段階的に様子を見ながら調整をしていくわけなので、クリックを進めれば従来通りに見れる環境で当面は様子を見てそのままにするかさらに改革をするかを考慮すると思いますが、いずれにしろ健全なサービスに向けた準備であることは間違いありません。
よって、無料で使えるSNSの方向性や使用感は今後はより消していくことになると思いますし、それで離れるユーザーには離れてもらって構わないというスタンスは継続すると思われます。
そしてアクティブユーザーが少なくなっても、それ自体は問題視することはあまりありませんし、むしろ健全なサービスへと生まれ変わるために排除すべきユーザー層は排除するという方向性でサービスの枠組みを進めていくだろうと推測されます。
現状では可読性のためというキーワードが出ていますが、ものは言いようで真相や戦略的な視点としてはより深いところを目指した結果の有害な言動のユーザーや投稿を排除するという方向性のための改善であることが明白です。
今後もクリック数の調整で表面に出す情報と出さない情報の調整は繰り返されると思われます。
X (Twitter)の未来はどうなるのか
その上でX (Twitter)の未来はどうなるのかですが、コミュニケーションプラットフォームとして仕上げていった際に、そのあとの話としてAIの利活用などを加味したプラットフォームに進化させてメタバースなどと連携連動した日常生活に必須のコミュニケーションツールに仕上げていくというビジネスモデルが推測できます。
まずはAIの要素をX (Twitter)に組み込んでいくところから始まるでしょう。
むろん私がマスク氏と同じ立場でもそのように戦略を立てて道筋を描く可能性がありますので、マスク氏のような天才であればさらに包括的な視野と視点で相乗効果や囲い込みを描いているのだろうと推測できます。
X (Twitter)の今後はますます建設的な未来に向かっていますので楽しみなところです。
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