なないさんの訃報に寄せて
8月9日、eSportsキャスターのなないさんの訃報が届きました。
本当に前日までEVOと言うアメリカ最大の格ゲー大会に参加していて、いつもと変わりなくTwitterや配信をしていた姿を見ていた為、急な逝去に言葉が見当たりません。
まずは故人様のご冥福をお祈りします。
また、ご遺族の方におかれましては、心よりお悔やみ申し上げます。
私自身はなないさんの放送や、ストリートファイターの公式大会などで見かけるだけのROM専であり、コメントなどもしたことはないのですが、突然の事に、気持ちを伝える機会を逃す事への後悔を痛感しております。
また、ストリートファイターのプロプレイヤーや関係者の間でも本当に突然すぎた様で、Twitter上で言葉にならない言葉をたくさんお見かけしました。
そんな周囲の方達の言葉や、自分の動画閲覧の感想から、なないさんは本当に優しくて、素晴らしい人だったのだと思います。
TwitterのTLを、昨晩は眠れずに眺め、考えを巡らしていました。
そこで、失って初めて気付く物、なんて陳腐な言葉ではありますが、なないさんが亡くなられて、どうしてこんなに喪失感を覚えるのか、と言う疑問に行き着き、気付いた事があります。
もちろん、突然のご逝去で心の準備が出来ていないから、と言うのも理由の一つです。
ですが、もう一つ。なないさんだからこそ、と言う事に思い当たりました。
生前、なないさんご自身の放送や、他の方のチャンネルに出演している事が多く、それを私は楽しませて頂いていたのですが、そこでなないさんがおそらく意識的にやっていたであろう、ある事に気付きました。
それは「興味を繋げる役割を担う」という事です。
格闘ゲームのキャスターであり、ご自身もセミプロ並に格闘ゲームの腕前を持っていらっしゃったなないさん。もちろんご自身の放送で格闘ゲームも多く配信されておりました。
ですが、それと同時にTRPGやマダミスなども精力的に参加、配信されていました。
私の記憶で、ではありますが、なないさんは元々TRPGのプレイヤーではなく、配信上でTRPGに馴染んでいったと思っています。
そして、次になないさんは、格闘ゲームコミュニティの方々を、TRPGやマダミスに巻き込んでいく事を配信上で行っていました。
プレイ歴があまり多くないにもかかわらず、キーパー(司会者)を務め、初心者が多い格闘ゲームコミュニティの人達を集めて卓を開く。そんな配信を、私はいつも楽しませてもらっていました。
生前、なないさんのインタビューで「実況はできるだけ印象に残らないように、プレイヤーを主役にして、それが見ている人に伝わりやすいような実況を心がけている」と言ったご発言がありました。
おそらく、本当に「楽しんでほしい」という気持ちが強い方だったのだと思います。
そして、その「楽しんでほしい」は、繋がりが無かった人達を集め、繋がりを作り、さらに新しい繋がりに……そんな風に、なないさんを結び目として広がっていったのだと思います。
ツイッター上で、なないさんの訃報に対して、心を痛めている配信者やプロプレイヤーの方が多く見受けられました。なないさんのお人柄から、と言う面ももちろんあると思いますが、それだけ多くの人が口にするのは、なないさんが繋いでくれた広がりの証拠とも思えるのです。
私自身も、ROM専としてではありますが、なないさんの配信でバ美肉の実質を知り、興味が広がりましたし、なないさんが繋がっていた先の配信者の方の放送を今でも見る事があります。
なないさんに直接の面識など無くとも、その繋がりで世界が広げられた人は、私以外にもたくさんいるはずです。
私風情が言うのもおこがましくはあるのですが、なないさんが亡くなられた穴は埋められないかもしれませんが、なないさんが残してくれた繋がりは、大事にして行きたいと考えています。
元々キャラの強い実況や配信があまり得意ではない私でもゆったり見られて、新たな広がりを与えてくれたなないさんへの、ほんのわずかではありますが、私の恩返しが出来ればと思います。
なないさんが務めてくれていた結び目は、普段なら少し面倒な場所にあって、気を許せばすぐに緩んでしまう様な。人にとってそんな場所だった様に思えています。だから、せっかく結んでくれた繋がりを、めんどくささにかまけて消してしまわないように……そんな風に思い、ここに書かせていただきます。
本来ならいよいよこれから、まだまだこれからもっと高みを目指せる、そんな最高潮のタイミングでご逝去された事が本当に悔しく、私ごときではありますが何か出来る事がないかと考えて、今回筆を取らせていただきました。
ストリートファイターの実況者として、アールさんや大和さん、ササさんと共に、でも格闘ゲームの激しさよりも温和でわかりやすい実況を届けてくれていたなないさんの実況、とても好きでした。心よりご冥福をお祈り致します。
末筆ではあるのですが、もしも、万が一でも、この記事をなないさんのお知り合いの方が見ていただけましたら、一つお願いがあります。
どぐらさんも少し言及していたと見かけましたが、なないさんを追悼する大会をどこかで開く事を提案して頂けませんでしょうか。
なんの見立てもないただの要望で申し訳無いのですが、みなさんの喪失感をTwitterで見ていると、私達自身にも、そしてなないさんを追悼する為にも、やはり大会がふさわしいと思うのです。
私自身が現在余力がほとんど無い状態で人頼みになってしまうのは心苦しいのですが、それでも追悼大会が開かれ、可能な限りが許されるのであれば、私も微力ながら協力させていただきたいと思っております。
あー、辛いなぁ、悔しいなあ……
なんかみんなに好かれる人や馬や、神様すぐに持って行っちゃうんだもんな……