【ゲームシナリオ志望者必須】ゲーム制作に必要なテキストとシナリオのお話し2-2.仲間がディレクターで、自分はシナリオを任されたゲーム
(※前項の2-1を読んだ後も、移行は以下の流れで作成して行きます。ここが合流点になります)
おめでとう!
キミは努力の末、
開発チームの中で見事シナリオ担当の座を手に入れた(以下略
というわけで、ここからはディレクターが提示する企画に沿って、
このゲームのシナリオを作る仕事だ。
とても辛い道のりになるだろうが、完成の暁には無限大とも思える
達成感を得られるだろうし、ゲームの顔の一つとも言えるシナリオは、
ユーザーの意見を直接浴びることになるだろう。
是非とも良い物を書き上げて、
お客さんの笑顔があふれる未来に辿り着いて欲しい。
2-2-1.企画時点でのシナリオテーマ、コンセプトなどの確認
まずは前項のおさらいになる。
シナリオ担当の君に渡されるのは、おそらく最低限、以下の資料だろう。
ディレクターから渡された資料の中に、上記のいずれかがない場合は、
早速シナリオ担当の君の仕事だ。
まずはディレクターへ、足りない資料を請求しよう。
正直、上記のいずれか一つでも不足していれば、
シナリオは書いても無意味になる可能性がある。
だからと言って、ディレクターに「これがなければ書けませーん」
と言うのでは芸が無い。
ディレクターに確認し、口頭で伝えられたならそれを文書化。
シナリオ担当に任せる旨を受けたなら、書面として作成しよう。
大事なのは、
いずれも文書化して重要書類として制作チーム全員に共有化
しておく事だ。
例えシナリオに関係が無いパートに対しても、共有だけはしておこう。
無理に読ませなければならない、とまでは言わないが、
できる限り読んでおいて貰った方がゲームシナリオへの認識が共有でき、
成果物への意思統一がやりやすくなる。
本当はディレクター範疇の仕事なのだが、
例えばプロットなどはディレクターがシナリオに任せる場合も多いため、
できるだけ早くプロットを作成し、ディレクターの承認を得て
チームに共有する事が、その後の制作に対しても
かなり有利に働く事は理解して貰えると思う。
(まあ正直、チームで制作する時は誰でもいいんでこれやってくださいねって話です(´・ω・`)
その【誰か】がシナリオが担当になることが多いです、
と言うお話しでした。)
さて。それでは資料が取りそろえられて、
これからシナリオの仕事をがんばるぞー!
と、そうはいかないのが色々と大変な所なのである。
2-2-2.制作するシナリオ関連物と、制作順の決定
前段で不安にさせてしまったが、そんな不安を払拭する為に、
シナリオ担当として今後制作していかなければならない
成果物の一覧を挙げてみる。
ひとまずシナリオライターとしてはこれらが目標になるので、
しっかりと認識しておいて貰えればと思う。
なお、成果物の中にはディレクターが作ってくれる領分の物も
存在しているが、最終的に把握して質問された場合に
返さなければならない責任者には、シナリオライターも含まれる為、
シナリオライター成果物の一つとして取り扱う。
最終的には概ねこれらの成果物を作成し、ゲームの完成へと向かう訳だが、ここでゲームならでは、集団で制作するならではの
【制作順】が重要になってくる。
【制作順】が重要になると言う事は、お察しの通り
【シナリオ担当者の作業の後パスが、他パート作業に重要】な物が
存在すると言う事である。
上に挙げた最終成果物に関して、後パスを記載すると以下の様になる。
それぞれの作業には大体後パスがある。と言うかほぼ存在している。
自らがパブリッシング担当などでなければ、
パブだって担当者の後パスがある。
シナリオ担当の作業はほぼ必ずと言って良いほど、
一人では完結しない事を十分に理解して貰いたいし、
理解している人も再度認知するべきだし、
こう書いている私も今この瞬間に再認識して
心を引き締めなければならないと何度目だろうか改めて考えている。
後パスがほぼ全ての作業にあると言う事は、
どういうことか目星が付くであろう。
そう。作業の優先順位をつける必要があるのである。
ここで言う優先順位は二通りある。
一つはシナリオを作るに当たって、不可逆の作業を順列通りに並べる事。
そしてもう一つは、後パスの作業量及び優先順位に合わせて
順位をつける事だ。
この複合条件により、シナリオ担当の作業の順序は決まるのである。
この順序決めは、必ずディレクターおよび制作進行、
また後パスとなる各パートのリーダーや担当社と相談して決めよう。
全体の制作スケジュールに大きく関わる所であるが、それと同時に、
シナリオ制作における不可逆性はシナリオを
担当した事がなければわかりにくく、
不可逆のスケジュールラインを勝手に決められてしまえば、
シナリオ作成は手を付ける前から難航してしまうからだ。
シナリオ担当側の要望と、各後パートの要望、
全体的な制作スケジュールを取りそろえて、ディレクターの指揮の下で
スケジュールを組み立てる、と言う事を覚えておこう。
だいたいの現場で、ディレクターがスケジュールを
コントロールしてくれると思うが、シナリオの不可逆性を把握していない
ディレクターも残念ながら存在するので、首を突っ込むようにした方が
後々の問題を回避出来る可能性は高いことに留意しよう。
それを踏まえた上で、優先順位を決める想定を考えてみよう。
なお、今回は各パートが関連する後パスタスクに関しては、
ひとまず置いておくこととする。
なぜなら、開発体制やアウトソーシングの形式によって
大きく変わる所だからだ。
なので、今回想定する「シナリオ担当の、不可逆性のある優先順位」を
携えて、各パートおよびディレクターと後パスを踏まえたスケジュールを
相談するようにしていただきたい。
大まかではあるが、おおよそこの順列になると思う。
可逆な箇所は「詳細プロット」や「世界観詳細」と
「詳細キャラクター表」ぐらいだろうか。
むしろ、この3つは平行して作成していく形になるだろう。
相互に影響しあう物達である。
その他は、プロットの前にシナリオを書くことはできない、
などと考えて貰えると、ごく自然な流れだろう。簡単だし明白ではあるし、これを読んでくれている人には釈迦に説法レベルだとは思うが、
これがシナリオを担当した事のない人にはあまりなじみがない。
プロットを作らなくてもシナリオは書けると断言されたり、
そうする人を知っていると言われる事もあるかもしれないが、
プロットがなくて書けるのは個人で執筆する作家の範囲であり、
ゲームシナリオは基本複数人で様々な箇所のテキストを記載する物なので、
ルールや標榜はとても大切になる。それを理解して貰う必要があるだろう。
ひとまず、ようやくプロットや世界観設定、
キャラ表などの着手が可能となりましたね。
制作する下準備はようやくできましたので、
次回からは実際の制作物に関して説明して行きます。
まだまだシナリオ本編には辿り着かなくて焦れさせて申し訳ありませんが、結局ここまで踏まえる事がゲームシナリオを潤滑かつ
クオリティを担保するスキームだと考えて貰えればと思います。
準備ができていれば、咄嗟の事にもかける時間は少なくて済みますからね。準備大切!
と言うか、準備まで含めてシナリオの仕事なので、
準備部分に時間がかかりすぎて費用対効果が薄い、
などと考えて欲しくないのが個人的な意見です。
何の努力も成しに成果物は産まれないし、ピカソの逸話にある
「キミに頼まれて描いたこのメモ帳のラフにかかった時間は、描いた3分と今まで積み上げた30年だ」という話の通り、
シナリオだって個々人の人生から作業に向けての準備まで全て含めた物が
シナリオの価値です。
前々の項目で、日本語の記載は軽く見られると書いた通り、
周囲からの評価は低い傾向にありますが、我々筆記者はそれに抵抗して、
理論立てて準備や努力で書き上げる物が価値のあるテキストやシナリオだと
認識して貰いましょう。
シナリオは特殊で技術性に加えて作家性が求められる相当に難しいクリエイションですからね……
次回はいよいよゲームシナリオの核心部分であり、
シナリオの根幹とも言える「世界観」の作り方をご紹介します。
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