【読書】キング牧師 人種の平等と人間愛を求めて

出版情報
タイトル:キング牧師 人種の平等と人間愛を求めて
筆者:辻内鏡人 中篠献
出版社:岩波書店
発売日:1993/6/21

先日読んだキング牧師の本について書いて行こうと思う。

「キング牧師 人種の平等と人間愛を求めて」
この本は岩波ジュニア文庫から発行されており、端的な文章で無駄がなく読みやすく書かれているため、読書が苦手な方にもおすすめ出来る本である。

内容としてはキング牧師の幼少期である1930年代から、彼が息を引き取る1967年4月4日までのキング牧師の人生を描いたものだ。

大多数の人は「I have a dream」の名言や学校の教科書で名前は知っていても、実際に、彼がどのような思想や活動を行っていたかについては知らない人も多いのではないだろうか。

人種差別を無くすために行なった彼の活動は多岐に渡り、アメリカだけでなく世界に訴えるが、あくまでスタンスは非暴力である。
ヘイトや暴動が渦巻く中で非暴力な訴えをどのように行うのか。
私はそこに興味を持ちこの本を手に取った。

キング牧師が生きた時代は黒人差別が色濃く残っており、今の観点から見ると信じられない決まりや法律が多い。バスに乗った際に黒人は白人に席を譲らなくてはいけない、といった理不尽極まりない事が法律でまかり通っていた時代である。
そのような事態を変えるため、キング牧師が最初に行なった運動がバスボイコットである。
非暴力を貫きながらも最終的に勝利を勝ち取り、バスの人種隔離を廃止した。
この運動を皮切りにその後は様々な運動を行うのだが、この本を読み終えて思う事はあくまでキング牧師の思想の根本にあるものが、キリスト教の教えと愛なのだという事。

人種差別という社会の不正との戦いでありながら、敵を愛し、血みどろの争いを避け、勝利を勝ち取る。そのような事が現実に可能なのか…と疑問に思ったなら、是非この本を読み彼の思想、人生に触れてみるといいだろう。

近年、SNSなどでヘイトや愛の無い誹謗中傷が溢れかえり、自分の考えが正しいと主張し他者を貶めるような投稿も数多く目にする。愛の無い行動の先に一体何があるのだろうか。不安を多く抱えた現代人にこそ、この本を読んでほしいと思う。

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