「君たちはどう生きるか」を観て。
映画にここまで心を動かされたことは、いまだかつてあっただろうか。
「君たちはどう生きるか」
この映画は、僕の人生をほんの少し、いやだいぶ変えてしまったのではないかと思う。鑑賞後1日が経っても胸の高鳴りは抑えられないし、「地球儀」を聴いた後の気持ちは今も変わらずに残っている。そして、何かを創りたくてたまらない自分がいる。
生きなきゃ、と。
そう強く思わせてくれる映画だった。
生きて、自分の想像力を最大限に生かして、想像に助けられながらも、時には裏切られながらも、そして、自分の世界が壊れてしまったとしても。僕らが生きている現実の世界で、想像力から生み出されたものを大切にしながら生きていくことが、僕たちの生き方なのではないかと思う。
君たちはどう生きるか、と問われたというよりかは、「私はこうやって生きてきた。次は君たちの番だ」と訴えてきた映画だ。
しかし、この映画の賛否は分かれるだろう。モノローグがない、説明過多ではなくむしろしていない。自分の頭の中で想像しなくてはならない。
そのような映画はここ最近減ってきていたように思える。「シンエヴァ」ですら説明をしていた。庵野監督は説明をしないことで有名だったけれども、初めて心情を吐露していたキャラクターがいた。
それに対し今回の主人公は全く喋らない。モノローグが入ることもない。それが心地よかった。自分の受け取り方次第だと感じたから。何を受けとったのか、がとても大切な映画だ。
感想や解釈は個々人によって異なる。なぜなら、解釈の仕方が無限大だからだ。突拍子もないファンタジー、どうとでも取れる要素たちが、ここまでの強度を持って僕たちに語りかけてくる映画は、いまだかつてあっただろうか。
僕たちがどう生きていくのか、この現実の世界で。そのためには僕は創造をしていかなくてはならない、何かを創らなくてはならない。
そう感じた映画だった、鑑賞後は何故だか涙が流れてきた。
文章にまとまりがなく、ただ感想を吐露するだけになってしまった。
しかし、僕が感じたことのすべてがたぶんこの文章の通りなんだろう。
綺麗なだけの自分の世界のみで生きていくのでなく、想像力を働かせながら現実の世界で生きていく。
僕はそうやって生きていくのだと思う。
とても生きるための希望をもらえた映画だった。多分もう一回観るだろう。その時は、この感情とは違ったものが生まれるかもしれない。
しかし、この衝動を忘れずに、僕は生きていきたい、そういう生き方をしたい。そう強く思った。