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噛みたくない(えせエッセイNo.15)

パンや米は1,000回以上噛むと「味の向こう側」へ行けるらしい。

SHARPさんのnoteを読んで衝撃を受けた。味がほぼなくなった後、さらに噛み続けると「味の向こう側」の境地に辿り着けるとのこと。興味はあるが、挑戦する勇気は出ない。

記事は「バイトスキャン」を紹介する内容で、噛むことに興味を抱かせる。とにかく現代人は噛まないらしい。私も加齢と共に噛めなくなってきた。それ以前に、歯並びが悪く上手く噛めない。

冷たい飲み物を飲むのもつらくなってきている。これが老いというやつなのだ。

50を過ぎて、ようやく立派な現代人になりました!


あまり噛めないから、ちょっとは小顔になれるかな?

我が家の子どもたちが親よりも小顔なのは、噛まないことに特化しているからだと思っている。同じ遺伝子から、あんなに小さなシュッとした顎のラインの顔が生まれるはずがない。

そうでなければ、昭和生まれの私が小顔でないことに納得できない。昭和は「牛乳をよく噛んで飲め」と言われた世代なのだ。牛乳なんか噛めるわけがないのに。

だから、「昭和の小顔=芸能人」のイメージなのだ。現代人は9割が小顔のイメージなので、同じ人種とすら思えないくらいだ。

マッサージをしても小顔にはなれない

ところで、噛むことはダイエットにもよいと聞く。胃腸にも優しい。日頃からよく噛もうとは意識していたが、食べ始めるとついつい忘れて、結局あきらめてしまう。毎食、丸飲み状態だ。

そんなヘビのような丸飲みの毎日を送っている私に、衝撃的なことが起こった。このときばかりは趣が少し違ったのだ。


できる限り噛みたくない!


そんな風に思ったのは、初めての経験だった。

事件は会議室で起きてるんじゃない!

『かつ亭 いろは』で起きてるんだ!

『牛かつ』なるものを食べた。
しかも、滋賀県が誇る日本三大和牛の一つとされる近江牛の牛かつだ。

『かつ亭 いろは』の近江牛かつ定食

衝撃を受けた。
噛んだら溶けてしまうのだ。

1,000回どころか、10回も咀嚼できない。噛みたい気もするが、噛みたくない。まだ、飲み込みたくないのだ。


この世に白飯より柔らかい肉があったとは……


イメージ的には、炊きたてご飯よりも柔らかい。
「あれ?お前、さっきまで肉やったよな?」
一瞬、その存在すら疑いたくなる。

よく噛んで食べようと思うことはあっても、噛みたくないと思ったのは初めてだった。かといって、飲み込みたいわけでもない。ただ、この幸せを噛み締めていたいのだ。

いや、噛めば終わってしまう。噛みたくないので、噛み締めるという表現もどうかと思う。もう、わけがわからない。

ちなみに、料金は2,800円。きっと、相場よりはかなり安いのだろう。安いとは言っても、貧乏人の私にとってはかなり高級だ。恐らく二度と食べられないのではないかと……

そんな幸せを噛み締めた昨日のランチはこちら。

昨日は豪華ランチだったので、本日のランチは質素に冷し素麺だった。

ほとんど噛んでない。

これはこれで幸せな気分だ。


食レポは苦手ですが、お店の紹介記事は得意です。取材のご依頼もお待ちしています。

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